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13 愛川の秘密

 そして、時間は夜。

 柄池達は食事を済ませて、後は寝るだけとなった。

 その暗い夜道を一人歩いていた女性がいた。


 明かりもほとんどなく、町の皆も寝静まっているようである。

 夜の町は冷たく、元の世界の風とそう変わらないように感じた。


「まさか異世界なんてね、私が」


 夜道を歩く女性、愛川が呟く。


「そりゃ、急に異世界に連れられるなんて、誰も想定できねえ話だあ」


 それにと、石垣は同意を話す。


 愛川は夜の風に当たりたいためにこうして歩いていた。

 外見は一人での行動だが、石垣とにゅるじの入ったポーションビンも携帯していて、何かあったときは頼れる形である。

 柄池は寝てたが、ライオロスはそれならばと許可をした。


『大丈夫にゅす。何かあったらにゅるじはあの時のように守るにゅす』


「ありがとうね、にゅるじ。あの時は本当に助かったし、これからも頼ると思うから」


 愛川の手に触れてにゅるじは意思を伝え、それに愛川は礼を話す。

 歩いている中で、人通りのないところへとたどり着く。


「夜風に当たりたいってことは言ったけど、実は皆には伝えておくべきことがあってね」


「なんだべ? 救済者様の……えっと、柄池さんには言っておかなくてええだべか?」


「いや、これは柄池君には言えないことなの、なにせね」


 石垣の質問に愛川は言葉と共に片足を軸に一回転をする。

 すると、愛川の髪の色は紫に変わり、そして、黒い翼と尾を生やして、服までも露出の高いものへと変わったのだ。

 その姿で愛川は呟く。


「私、人間は仮の姿で、本当はサキュバスなの」


「うっわ! こんりゃまたびっくらだべあ!!」


 愛川はこう告げて、石垣はポーションビンを揺らして驚く。

 サキュバスの力があって、愛川は無意識を経由して相手の内面も探れることが出来た。


「これは柄池君には言えないけど、二人には伝えておいた方がいいと思ったから」


「ああ、そりゃおらたちにしか言えねえだな」


「前の世界では柄池君の友人とこの姿で揉めてしまったから、この姿のことを今は言わない方がいいと思って」


 石垣の肯定に愛川は正体を言わない理由を話す。


 実際に柄池の友人はこの姿の愛川と戦ったことがあり、それ以降この姿を敵視していた。

 ならば、元の世界に戻る前にこの姿のことは知られない方が一番安全と考えたため、話さない方がいいのである。

 彼はこの姿を知っても友人に話すことはしないかもしれないが、安全な道は出来れば選びたい。


 にゅるじは再び愛川の手へと体を伸ばす。


『にゅるじはどんな姿でも愛川さんをお守りするにゅす』


「ふふふ。ありがとね」


 愛川はにゅるじに礼を言った。

 前の世界でも人とは違う外見を受け入れてくれない、そんな中でにゅるじの言葉には心が温かくなる。

 その後に石垣もポーションビンから出てきて、地に立った状態でゴブリンの姿を見せた。


「まあ、おらもこんな姿だし、いまさら救済者様の本当の姿で悪いことを言うつもりはねえから」


「石垣さんもありがとう」


「ところで、サキュバスってえことは誰か誘惑してえ人もいんのか?」


 愛川が礼を話して、石垣は誘惑したい人について聞く。


「それは、誘惑はダメだと思っているけど……こう、もっと近づきになりたいって人は……」


「なるほどだ。救済者様の柄池さんだべな?」


「ああ、まあ、そうなんだけどー」


「だったらな、もうちょっと攻めてもええと思うだ、おらは。きっと柄池さんを好きになる人が多いはずだから、誘惑してもええと思うだ」


「まあ……そうかもしれないわね。それは私も実感しているし」


「……一応確認しておきてえんだけどよ? 救済者様って誰か誘惑したか? それに近えことでもいいけど?」


 石垣は愛川に質問をした、誘惑はしたかと。

 その質問に少しの間があった。


「えっと、夢の中でやらしいこともしてないです」


「じゃあ、他に誘惑に近え行動はしたか……?」


「わざとエッチなポーズを見せることもしてないです」


「さすがにキスぐれえは……?」


「キスもまだです」


 石垣の質問に愛川は解答する。

 その後、彼は黙っていた、割と難しい顔をして。


「救済者様、本当にサキュバスなんだか? 実はサキュバスだと思い込んでいるとかの方がおら分かるだわ」


「本当にサキュバスなの! これでも他のサキュバスもできることはできるんだから!」


 石垣の怪しむ声に愛川は握った両手を振って断言した。


「ああ、済まねえことをしただ。謝るだ」


「あ、謝る必要はないから、うん」


「それにおらを誘惑する必要はねえからな。まあ、救済者様が誘惑しても動じねえ自信はあっけどもよ」


「え? そうなの?」


「おらはな、ゴブサキュバスに襲われた経験もあっから」


 愛川の疑問から石垣が出した言葉はゴブサキュバス。

 その言葉に変な興味が出てしまう。


「ゴブサキュバス……」


「ゴブリンだけを襲うサキュバスだ。だから、大抵の誘惑は通じねえ自信があるだ、すげえべ?」


 愛川の呟きの後に石垣はゴブサキュバスについて話すと、さらに彼はポーズをとった。

 そのポーズは脚を交差させて、頭の斜め上に腕で×印を作る。

 誘惑が通じないという意味が強くこもる。


(これは……スタイリッシュ否定ポーズ……)


 強い否定をするときにこのスタイリッシュ否定ポーズをとると愛川は伝説に聞く、

 ということは全くないが、このかっこいい否定の仕方をスタイリッシュ否定ポーズと自身は心の中で名付けていた。


「まあ、さっきのゴブサキュバスはどうでもいいとして……せっかくだし、救済者様の柄池さんを誘惑しに行くのはどうだべ?」


「え゛!? いきなりなの!?」


「無理強いはしねえけどよ、きっと早めに手を打たねと、救済者様は後悔すんじゃねか? これから、多くの人に出会って、救済者様の柄池さんを好きになる人もどんどん増えてくはずだ」


「ぐ、それも一理ある……」


 いきなりの石垣の提案に愛川は一理あると悩んでいた。

 唐突な提案だったが、説得力は彼の言葉にあったのだから。

*サキュバス時の愛川のステータスを設定場所に公開します。

また、ここでも少しだけ公開します。


名前:愛川愛理栖

種族分類:サキュバス

職業:異世界の大学生

性別:女


耐久力:500

魔法力:500


その他、称号など

称号:サキュバス変化能力

説明:人間は仮の姿、その本当の姿はサキュバスなのだ!

一般的なサキュバスは男の夢の中に入ったり、現実世界で誘惑をして生命力を奪う存在である。

目を合わせると、めまいや軽い幻覚を起こす怪しい光を目から放つ。

まれに女性を誘惑するサキュバスもいるとかそんな話も



称号:サキュバスボディ

説明:男を誘うのに適した体系。

サキュバス時もそうだが、愛川は人間の時でも男受けのするスタイルである。

その体は愛川本人が意識してないもの、周りの男の気を引くくらいに。

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