12 この世界について、戦闘職と目的と、それとみみずく被り
戦闘職について、カイゼルからの説明が出る。
「戦闘職ですが、これは世界の人々が戦闘をするために都市の神殿で身に付けるもので、私も含めて大抵の人は身に付けております」
「ということは、俺たちも身に付けるべきと」
「はい、例を用いて説明をしますと、剣士という職を身に付けると、神殿から剣士の知識と力が一部共有されます。最初は一部だけですが、戦闘に慣れていくと共有する知識と力が増えていきます」
「へー、それは便利だし身に付けて損はなさそう」
カイゼルの説明に柄池はなるほどと理解を話す。
どことなく、RPGのゲームに近いところもある世界だと感心する。
ここで愛川はよくわかってなさそうだけどなんとなく分かっている顔で言葉を出した。
「いろんな職もありそうだね」
愛川の言葉にライオロスから解説が入る。
「はい、戦闘以外の職もあります。漁師であったり、司書であったり、あと、みみずく被りなんて言うよく分からないものもありました」
「みみずく被り……!」
ライオロスの職の説明に愛川は反応する。
柄池も気になる上に、彼女の目が輝いているように見えなくもない。
更なる説明が今度はカイゼルから入る。
「あと、一つの職をある程度極めると、剣士が剣豪になるように上の職を選べることも可能です。もちろん、魔法使いのような別の職も可能ですが」
カイゼルからの話。
それに柄池から疑問が出てくる。
「選んだらずっとそれって縛りはないということですか?」
「はい、特殊な技術書を神殿に持って行って特殊な職を持つことも可能です。そういうわけで、水の都市の神殿で戦闘職を選んでいくことを勧めたいわけです」
「なら、行った方がいいね。戦闘力はこれからあって困らないだろうから」
カイゼルの勧めを受けて柄池は行った方がいいと考えた。
これから先、戦闘しなければそれに越したことはないが、戦闘の可能性もあり得る。
「それと、帰れる可能性のもう一つですが、水の都市以外にも火の都市という者がありまして、そこに可能性があると考えています」
「火の都市? 水の都市よりも技術が発展しているのかな?」
「はい、その通りです。この国には4つの主要都市、水の都市、火の都市、土の都市、木の都市があります。4つの都市の中で火の都市は一番技術が発達しています。ほとんどの技術者はあそこで勉学に勤めるほどに」
「なるほど、技術が発展しているのであれば行く価値はありそうで」
「なので、火の都市に行くという方法もありますが、水の都市よりも遠いのでこの方法はお勧めしません」
柄池は合点がいったと話して、カイゼルは改めて水の都市に行くことを勧めた。
そして少し考えた後に柄池は自らの考えを話す。
「じゃあ、次の行き先は水の都市にしよう。愛川さんもこれでいいかな?」
「はーい。私は問題ありません」
「なら、ここで話のまとめに入ろう」
愛川の肯定に柄池は話のまとめへと移った。
議論はほぼ尽くされたので、まとめに入ってもいいと判断した上でだ。
「ここまでの話をまとめると、俺たちの目的は元居た世界に帰ること。その手掛かりを探ると同時に力を得るために戦闘職を身に付ける、それで水の都市に行くと。間違いないね?」
「はーい。間違いないです」
「分かった。それとね、もう一つ目標も考えているんだ」
愛川は再び肯定の言葉を出して、さらにと柄池は目標を話す。
「元居た世界に帰れるようにするのもあるけど、救済者と呼ばれるようになったし、出来る限りは困った人やモンスターを助けていきたいね」
「それはありがたい話です。しかし、そこまでして頂いて本当にいいのでしょうか?」
「元居た世界でもモンスターや人を助けることをしていたんだ、今回もそれの延長線でもあってね。こういう救済業みたいなのは慣れっこさ」
カイゼルからの疑問に柄池は慣れていることだと話した。
事実、友人と共に高校生の時からモンスターに近い存在やそれに関わった人々を助けてきた。
友人の父親ともその活動から知られて、柄池の名前は周辺地域の同業者からも知られているくらいだ。
元の世界の日本で柄池を知らない同業者はいない、というところまでいかないが。
大学に入ってからは愛川、そして他に5人の仲間も共にだ。
モンスターに近い存在から助ける活動は現在進行形だ。
「本当にありがとうございます、救済者様」
「私も感謝の言葉を。そして、これから手足のように霊となった私を使ってください」
カイゼル、そしてライオロスから礼の言葉を贈られる
「こちらこそ、今回は本当にありがとうございます。話はこれで以上です」
「宿もこちらの方で用意しましたので、それを活用してください」
「ああ、それはありがたいです。宿もまだ考えてもいなかったので」
柄池はカイゼルの用意にありがたいと答える。
「あと、そういえば、救済者様と話をしたいと言っていた方もいましたので、明日の午前中にあってほしいのですが構いませんか? この町で唯一の研究施設の者からなのですが」
「あ、そうですか。なら、明日には出発したいし、早めに行っておこう」
「それは良かったです。なんでも、救済者様の持っていた細長いものをさらに便利にできるかもしれないとの話でした」
「細長いもの? えっとよく分からないけど、これのことですか?」
カイゼルの抽象的な例えの話に、柄池は見当のつく細長いものをポケットを取り出す。
その取り出したものは自身のスマホであった。
「ああ、確かそれです。現物も見せてもらいましたので、それだと。確かスマホ……と言う機器ですね」
「このスマホがね。ここでは使えなかったし、これがどうなることやら……?」
カイゼルの肯定に柄池はスマホを見つつ語る。
実際にこの世界では使えなかったので、スマホが順応するようになるのであればありがたいことだ。
「そういえば、この世界にスマホってありますか?」
「いえ、私は初見でしたし、そういう物が火の都市で作られているという話も聞いていません」
「そっか。ここじゃ、やっぱり電話もできそうにないか」
カイゼルからのスマホの話に柄池は納得の声を出した。
「それでは、私もここらへんで戻りますので、あとはお休みになってください、救済者様」
「分かりました。それではここらへんでお言葉に甘えるとします」
カイゼルは席を離れて、柄池は宿で休むと話す。
彼は見張りに戻り、柄池達は指定された宿へと向かうのであった。




