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11 この世界について、女神様とは

 柄池達は新たな仲間を加えて、町へと戻っていた。

 時刻は夜も近いところか。

 今、柄池達は騎士団たちの使う町の駐屯所、その区間の一つの部屋にいて、愛川からの言葉が出る。

 駐屯地は一軒家よりも小さく、少人数で集まって何かするために作られたことは分かる。


「ねえ、私一つ提案があるんだけど」


 一つの部屋の中で愛川は提案をする。

 カイゼルとこの世界について話をしたいと提案をして、その提案に乗ってくれたわけだ。

 ただ、彼は今見張りをしているので、柄池達は駐屯所で待機をするようになっている。


 愛川は提案の言葉を続けた。


「あなたのこと、ボバヘって呼びたいのよ」


「……」


 愛川からのあだ名の提案にライオロスは言葉を詰まらせていた。

 どう考えて名前を付けたか分からないが、ボンバーヘッドの略であるなら彼も嫌がるあだ名である。

 自身が彼の立場であれば嫌がるのも予想はついた。


 そのフォローに柄池が当たる。


「あのね、愛川さん。ライオロスって立派な名前があるんだから、それで読んでよ。もしくは本人が言うようにライオって短く」


「えー、私がせっかく考えたのに」


「愛川さん。名前のないモンスターだったら分かるけど、ライオロスって名前に近くないと、本人も分からないでしょ?」


「むー……」


 柄池の説得に愛川は不満を言う。


「誰かモンスターが仲間になってくれるなら、その時はあだ名付けていいから、ね?」


「んー……はーい」


 柄池のもう一度の説得に愛川は一応納得はする。

 愛川なりの善意であるのは一応わかるので、彼女のフォローもしたい。

 長い間ではないが彼女を見てはいるので、悪気があっての提案ではないことは分かっていた。


 そこで、ドアを開けてカイゼルが部屋へと入ってきた。


「お待たせして、申し訳ありません。救済者様」


「いや、こちらこそ申し訳ない。デュラハンの件で突き合わせた上に、急な提案までしたから」


「いえいえ、救済者様が急にこの世界に連れられて、それでこの世界が分からないならば、私が教えましょう」


 柄池から申し訳ないと言われて、カイゼルは否定する。

 その後に彼は柄池と向かい合う形でテーブルをはさんで座る。

 ライオロスは柄池の近くで光玉として浮きながら、先に話す。


「私は死んで年数もたちますから、カイゼルの方が説明は適任でしょう。力添えできず申し訳ない」


「大丈夫だよ。これからたくさん力添えしてもらうから、気にしなくても」


 ライオロスは申し訳ないと話し、柄池は気にしなくてもと伝える。

 その後、カイゼルが今回の本題を切り出した。


「では、話について早速、聞きましょう」


「分かりました。では先に一つ、俺たちが何のためにこの世界に来たのかということをお聞きしたいです」


 柄池がカイゼルにこの世界に来た理由を尋ねると、彼は難しい顔をする。


「何のために、ですか……私は正直分からないところです。時期的に前にこの世界に来たというのであれば、まだ、理由は分かりますが……」


「そうなのですか、俺たちが女神に何かしら伝えられて、この世界に来て救済者と呼ばれるようになったので、何か呼ばれる目的があると思うのですけど……」


「えっと、女神に会ったのですか?」


「ええ、この世界に来る前に一対一で会ったのですが、その女神は声を出す様子は見せても、全く聞こえて無くて。しかも、俺の声まで聞こえてないようでした」


 カイゼルの話に柄池は答える。

 そこで、愛川から反応があった。


「あれ? 柄池君は女神にあったんだ。私は誰にも会わずにいきなりあの世界に連れられた感じだったから」


「愛川さんはそんな感じだったんだ。ということは女神に会ったのは俺一人か。あの水色の髪で周りに泡が出ていた女神には」


 女神に会ったことを愛川は驚き、柄池はあの時の状況についてを言葉にした。

 女神という言葉に他の人たちも反応する。

 先に見分を出したのはカイゼルだ。


「水色の髪の女神……か、私には見当もつきません。この世界は男性の神様は多いので、男性ならば見当はつくのですが。ライオロスはどうだ?」


「カイゼルもか、私もそんな女神様は思い浮かばない状況だ。して、ゴブリン殿は?」


「女神様はおらも思い浮かばねえだな」


 カイゼル、ライオロス、石垣の順に意見を出した。

 突然の石垣の声にカイゼルは左右を見て驚き、その後に愛川がこそこそと小声で説明をする。

 小声の内容を察するに、石垣のことを説明しているようだ。


 意見のまとめとして柄池は言葉を出した。


「皆の話を聞くに、女神については分からずか」


 柄池からの意見のまとめの後に、カイゼルから提案が出る。


「そこはひとまず置くとしまして、他に聞いておきたいところがあるようでしたら、そこについて話してはいかがでしょうか?」


「ああ、それもそうだ。俺たちは異世界から来た人間なわけだし、元居た世界に帰ろうと思う訳だ。それで、帰る手段ってあるかなと思いまして」


 カイゼルからの提案を受けて、柄池はもう一つの聞きたいことである元の世界に変える方法を尋ねる。

 自身も元の世界の友人や仲間に心配されているのが気がかりで、愛川も聞いてはいないが帰りたいと考えているだろう。


「帰る手段ですか。申し訳ありませんが、そこも分からずですね。ただ、ここより遠く遠く離れたところで、別世界の門を研究しているところもあるので、そこならば何かわかるかもしれません」


「帰るとなると、そこに当たればいいかもってところか」


「そうなります。ただ、私としてはそこよりも別の場所へと向かう方を勧めておきます」


 そこならばと柄池は話し、別の場所を勧めるとカイゼルは話す。


「別の場所?」


「水の都市という場所です。先ほど私の話した場所よりこちらの方が近いので、そこを勧めます」


「そこに行くと何があるわけかな」


「水の都市は人口も多く、ここの倍以上に発展しています。技術、知識的な意味でも。あと、女神の髪色が水色と聞きまして、近いものがあると感じました」


 柄池が場所について聞くと、水の都市に行く理由をカイゼルは話す。

 理由はテレビである朝の占いレベルの関連性ではあったが、関連性のある要素はこれくらいしかなかった。


「すごい率直な理由……でも、現状それくらいしか手掛かりなさそうだし」


「それと勧める理由ですが、もう一つ。水の都市へ行けば、救済者様も戦闘職を身に付けて戦いも有利になるという利点が」


「戦闘職? それは一体……?」


 カイゼルが出した戦闘職との語句、柄池はその語句と共に聞き返した。

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