お嬢様が穿つ神への裁き
──チカラとはなんだろうか
チカラといっても沢山あるが、そのどれもが何かに影響するものばかりである。
水力、火力、神通力、風力、遠心力、助力……そして、電力
これらのチカラのほとんどは何に使われるのか?
そのように問われたのなら、私は「破壊」であると答えよう。
自然のチカラは全て自分で作り上げたモノを次々と破壊し、そして新しいものを作っていく。
人間はそのチカラを自分達の役に立つようなものに作り上げただけに過ぎない。
だから、私はそのチカラをあるべき姿に戻すために、「大嫌いなこのクソ世界」を壊すために、そしてあの人に復讐するために……
──────
「1万V」
その名を口にした途端、うんざりするほど聞いた男の叫び声が耳に入った。
雑音が止み、砂埃が風で吹き飛ぶとそこには隕石が落ちたのかと錯覚させるほどのクレーターが出来ていた。
そんな中私は1人で身動き一つしない遺体の指輪に手を出した。
だが、早速先ほどの人男の断末魔を聞きつけた人々が押し寄せてきた。
「お、おい……そこの嬢ちゃん……この穴……何が起きたんだい?」
野次馬達はこちらにも押し寄せてきた。
まぁ、私がやったといっても信じるはずがないので、適当に誤魔化そう。
「さきほど雷が降ってしまい、この方に直撃してしまったんです。それはあまりにも不運な事故でした……ご家族はきっと涙を流されることでしょう。あ、少なくとも私は何もしてませんよ? こんなか弱い少女がこんなことできるわけないでしょう? だから、わたしは何もしていないのです。では皆さんごきげんよう」
私は誰にも崩すことのできない完璧な言い訳を何も知らない野次馬達に告げて、ここを立ち去──
「いやお前、今雲一つない青空だぜ? 雷すら降る気配も無いんだが? それに、そこまで違うって言い張ってると、逆に怪しく見えてくるんだが……」
「っ⁉︎」
予期せぬ返答が返ってきて、背筋が凍ったかのような感覚を覚えた
……まさか、たった1分も持たずに破られるとは……やっぱり上目遣いで油断させたところで逃げた方が得策だっただろうか?
「それにその指輪……お前もしかして──」
私は後ろを振り返らずにダッシュで逃げた。
「やっぱりあいつ、電撃の茉莉だ! 捕まえろ!」
──────
「ハァ……ハァ……何よ……あいつら……ホントしつこい……」
途中で隠れてたらくしゃみをしてしまい、また鬼ごっこが始まってしまったというハプニングがあったものの、男達を振り切り、家の近くの交差点に逃げることに成功した。
荒い息を整えると、口の奥が少しヒリヒリしてきた。
そういえば、奴らと走り回ってたせいで喉が渇いてきた。
「公園で何か飲もうかしら……そういえば、今月あとどれくらいだろう……」
財布の中身を見ると数えるほどの小銭しかなかった。
だが、その原因はすぐにわかった。
先月、私がショッピングモールで新作のパフェが出たのが原因である。
もちろん、当時の私の財布には一切の汚れのない発行されて1年も経たっていない紙幣でパンパンであった。
しかし、そのパフェがあまりにも美味であったのだ。
細めに切られたイチゴと生クリームで挟まれたウエハースの味は今でも頭の中に焼き付けられていた。
それからは……お察しの如く、毎日そのパフェを食べ続けてしまったのだ。
そして、今や私の財布には少し汚れのある金属で出来た小銭の数々が居座っている。
「ダイエット……しよう……」
私は誰にも聞こえない心の嘆きを呟き、自動販売機に小銭を入れた。
──────
僕と宮崎は未だに僕が考えた能力の「素晴らしい名前」についての異議と反論を繰り返し行われていた。
「なんだよクラフトって! 単純すぎだろ! 必殺技なんだからもっと複雑な名前にしろよ!」
「その複雑な名前のセンスがお前には無いんだよ! 何でいつも軍事的な名前しか考えつかないんだよ! 」
「誰がノーセンスパーマだよ! その複雑そうな技を漢字だけで表現した俺を崇めろよ!」
「言ってねえよんなこと! 誰が崇めるかお前みたいなノーセンスパーマ! もっとバトル漫画であるようなのがあるでしょ⁉︎」
「あーーー! 今言った! 絶対言った! もう許さないからなお前の秘密ここで打ち明けてやるもんね〜!」
「ほー? なんだよ言ってみろよ」
その時、宮崎はぶん殴りたくなるにやけ顔をして言った
「確か、お前緑色のノート大事に持ってたよな?」
「……いやちょっと待って、それは勘弁してくれ」
「昼休みのうちに見ちゃったんだけど、あの中身すごいよな」
「い、いやいやちょっと待ってくれ……」
宮崎はため息をついて、にやけ顔から哀愁の顔へと変わっていった。
「いや〜……中学の頃からずっとそれ治しなって言ってたのに……まだお前……治してなかったのかよ」
え……嘘……あいつ知ってたの……?
「……あ、いや……その……うぐう……」
「厨二病……乙」
「ぐわああああああああああああ!!」
静かで騒がしいとある公園は今日も平和であった。
──────
「うるさいわね……その元気、私にも欲しいくらいだわ」
右から聞こえる大声の話し声はいつも以上に疲れていた私をイラつかせていた。
そのイライラを中身の無いペットボトルを指で弾いて騒がしさを誤魔化した。
(背からして高校生? どこのか分かったら苦情を言──)
「ぐわああああああああああああ!!」
「ひゃん⁉︎」
あまりにも急すぎる大声が私の耳に反響し、脳にアッパーカットを放ってきたのだ。
「ハハハハ! 馬鹿だなお前ー!」
どうやら、さっきの高校生2人の内の1人が叫んだようだ。
その叫び声はドッキリ耐性のある私に屈辱を覚えさせるほどの猛者であった
「……これは、ちょっとガツンと言わなきゃね」
私は先程までペットボトルだった不純物を左手から拭き取り、制裁対象の元へ歩き出した。
──────
「ところでお前、その指輪取らないのか?」
先ほどの声でおかしくなった喉を治す僕に…は素朴な質問を
学校での午前中は金属の塊が手にひっついてため指輪に触ることすら出来なかったのだが、午後からは金属は僕の手から離れたので、こんな見るからに忌々しい指輪をさっさと外せば良かったのだが──
「実はこの指輪外れないんだよ……爆破してもダメだった……」
「そうか……ダメだったのか……いや待て、今爆破って聞こえたけど」
さすがに、爆破は嘘だが、たくさんの術を探してみたが、何をしても傷一つ付けられなかったのだ。
「……じゃあさ、これからお前ずっと“その手”で過ごすのか?」
宮崎の顔は薄暗く、声は少し弾んでるようであった。
「多分な〜……ってかこれ外すの無理だろ。あれだけ切ったり削ったりしてもこの輝きよ? 今度塩酸でも持ってこようか──」
「あの〜…」
「「っ⁉︎」」
急に話しかけられた僕達は少女の姿を見て、驚きのあまりにベランダから飛び出してしまった。
「……ちょっといいですか?」
動転で倒れそうな体を起こし、改めて彼女を見た。
金髪のツインテール、日本ではまず見かけない蒼白の瞳、シワが目立つ制服から、彼女も下校中のようであることが分かった。そして、美しく輝く宝石をはめ込んだ指輪が彼女の出身を明白なものにした。
しかし、そこまで可憐な少女が、何故今にも襲い掛かってきそうな程のオーラを出しているのかは見当も付かなかった。
「あの……さっきまでここで話をしてましたよね?」
「あ、はい……」
不満そうな口から放たれた質問に僕は情けない声で返答した。
──いや待て、彼女はさっきこう言った。──「さっきここで話をしてましたよね?」──と……
まさか、彼女は先ほどの、人生の黒歴史に匹敵するようなあの話を一部始終知ってたというのか……⁉︎
僕は今すぐにでも忘れてもらうために彼女の手を取り、周りにも聞こえるぐらいの大声で叫んだ。
「最終的に私が言いたいのは──」
「忘れてくれ!!!!」
「ふぇっ⁉︎」
いきなり手を取られ赤面する少女をよそに、僕は涙目で事情を詳しく説明した。
「ち、違うんだ! あれは決して恥ずかしい話しではなくて……いや、それも間違ってるわけで……恥ずかしくないことが恥ずかしいという訳であって……ん? なぁ、僕は一体何を言いたいんだ?」
「ししし、知るわけないでしょ‼︎ と、とにかく……その手をどけ──」
少女が乱暴に僕の手を振り切ろうとした瞬間、彼女の目の方向は──
「あ、あなた……その指輪……どうしたの……」
そう、僕の“指輪”を見ていたのだ。
「え? これは……話が長くなるけ──」
「駄目! 答えて! その指輪いつ嵌めたの⁉︎」
先ほどのような鋭い目は無くなり、何か危険な物を見て、そして確かめるかのように、物語でしか見ることのない真剣な目を彼女は僕に向けていた。
「い、いや……いつって言っても、今朝いつのまにか着けてて……」
「……あなたも……敵なのね……」
「……は──」
その時、僕らの周りに突如大きな雷が公園を襲った。
「なんだこりゃあああああああ⁉︎」
宮崎と僕の叫び声が公園をコダマした。
はい!みなさんお久しぶりでございます!ルナサです!
いや〜あっという間の3ヶ月でしたよ〜待っていただいた方は本当に申し訳ない!
ここの作者は亀のごとくゆっくり小説を書いていたのでこんな感じになってしまいました…
物語ではついに初ヒロイン登場で興奮してくれた方もいるのではないでしょうか?(←読者が沢山いると思い込んでいる精神異常者)
次話ではついに戦闘ですよ戦闘!
いやー本当にいつ書けるんだろうな(白目)
また投稿する日を楽しみにしていただければ作者も嬉しいので気長に待ってくださいませ!




