僕らがつけた神秘の力の名
しばらく僕はいろんな意味で痛い目線をぶつけられながらも、くず鉄の塊に覆われた手のまま授業を受けていた。
時々、僕のことを「磁石人間」や「ロボ琉斗」や「金属フェチ」などと言いたい放題だったのだが、僕が目に涙を浮かべたので、皆んな僕のことを慰めに来てくれた。
ちなみに──僕は金属フェチじゃありませんのでご安心を……本当ですからね?
──────
4時間目が終わり、昼休みが始まった。僕はさっきの宮崎と外にあるベンチで昼ご飯を食べていた。
「お前……まさかその手で食べるのか?」
「仕方ないじゃん! 取れないんだから! 早く取れないかなー……」
僕は叶うはずのない願いをボソッと呟いた。
──すると
「……おい琉斗……取れたぞ」
「うぅ……そうだよね……取れるわけないよね……え? 今なんて──」
「だから、取れたんだよ。お前のそれ」
いきなりありえない事を言う宮崎に驚きを隠せず、おそるおそる僕の手を見ると、僕の左手は元の人間の手と五本の指がしっかり残っていて、床には沢山の金属のガラクタがゴロゴロ転がっていた。
「あ、あ、あっちょんぶ──」
「それ以上はやめろ」
危ない危ないと僕は体制を整えた。
「うおぉぉぉ‼︎ やったーー! やっとこれで弁当が食べれる!」
「いや、お前そんなこと気にしてたのかよ……ん? お前ってさ、指輪してたっけ?」
「は? そんなわけないじゃん! 僕そんなチャラいことしたことな──」
僕は左手を見ると、キラリと光る鉄製の指輪が目に入った。
「……」
しばらく沈黙の時が過ぎた。
──────
お昼休みが終わり、56時間目が終わり、全生徒の話し声が再び聞こえるようになった。
僕は帰宅部なので用事がない限りは家に一直線なのだが、今日はやらなければならないことが一つある。
それは──
「おーい琉斗ー! その指輪について何か分かったかー?」
宮崎はこっちを向いて手を振っていた。
そう、僕のやることとは公園に行くことである。
僕とこいつは公園に来ていた。公園と言っても、とてもちっさい広場のようで、遊具は滑り台やブランコぐらいしかない。
ただ、僕と宮崎はいつも悩みとかがあると、そこで打ち明けて一緒に考える。僕にとってこの人は唯一無二の友だ。
「うん、2時間の授業で少し分かった」
僕は頷いて左手の指輪を改めて見た。
基本的に普通の指輪とはあまり変わらないのだが、違うのはどうやっても傷付かない頑丈さと指輪の中心にある小さい玉だ。
この小さい玉は2時間使っても全く意味が分からなかった。ぼんやりとした赤い光を放っており、時折耳を傾けると誰かが唸っているような音が聞こえる。
「多分この指輪は鉄とかプラスチッとかの『金属』を操れるんだよ」
「き、『金属』⁉︎ どうやってだ?」
「えーと、例えば……あのポールがあるだろ?」
僕はその辺にある休憩所の金属製の柱を指差した。
「そうだな……仮にこう思ったとしよう」
そう言って僕は左手を鉄柱に向け、とりあえずと思ったことを口に出した。
「『こっちに来い』」
──すると、鉄柱がバギッという強烈な音を立ててこっちに向かって飛んできたのだ。
「──え」
勢いよく飛んできた柱はすぐに僕達の目の前にまで来ていた。
「ちょ、危な──」
宮崎は目をつぶり、次の衝撃に備えようとした──
その瞬間、宮崎の目の前でズドンという音がして静かになった。
「──という感じで金属で出来たものなら、僕が思うだけで切り離したり、移動したり、くっつけたりできるわけだ」
「お前なー! 俺の方に向かってそれ飛ばしてくんなよ! 死んじゃうかと思ったじゃん!」
宮崎は涙目で僕に訴えてきた。
「ごめんって! あ、あとさ! こういうのもできることに気づいたんだ!」
宮崎をあやしながら僕はポケットに入ってる金属製の動物の像を取り出した。
「おぉ! なんだこれ⁉︎ 犬か⁉︎」
「うさぎだよ‼︎」
我ながらうまく作れたと思ったのだが、どうやらそれほどだったらしい……。
「と、とにかく! こんな風に自分の考えたものを金属で加工したり他の金属とくっつけていろんなものが作れるんだよ」
「じゃ、じゃあさ! それってロケットも作れるのか?」
僕が改めて指輪の能力を説明してると、宮崎が目をキラキラさせてこっちに質問してきた。
「いや、形だけならできるけど、飛ばすには細部までイメージしないと無理っぽい」
「……やっぱ作れないのか……はぁ〜」
宮崎は出来ないことがショックなのか膝を抱え込んだ。
そんなにショックになることかな……
「なぁー、ところでさ! それってなんか技っぽいしなんか技つけよーぜ!」
いきなり立ち上がったかと思ったら、ウキウキしている子供のような顔で突然意味のわからない提案をしてきた。
僕はどう考えても嫌そうな顔で返した。
「えぇ……でも、大丈夫? 前だって金魚に『紅岩製海中水泳型地雷爆弾』とかつけてなかった?」
宮崎はネーミングセンスが全然ない。
金魚もそうなのだがこいつは何でも兵器のような名前をつけてくる。
「いやいや! あれでも結構悩んだんだぜ⁉︎ 地雷にするか魚雷にするか迷ったくらいだからな!」
「それ爆発する点においてどっちも同じじゃん! 金魚爆発しないじゃん!」
「いいじゃん別に! どうせ魚なんてどうせ地上で生きられない雑魚な生物なんだから爆発物にしてもいいだろ!」
もうこいつの言ってることがメチャクチャ過ぎてツッコミが追いつかない。
「──だとしてもなんで兵器の名前になるんだよ!もうちょっとマシなやつにしろよ! とにかく、名前は俺がつけるから!」
「ふむ……こいつの指輪は鉄を操るんだよな……でも、鉄を作る兵器って、なんだったけな……」
最早聞く耳も持たず名前をかんがえていた宮崎を僕は呆れた顔で見ていた。
だが、イメージするだけで好きな形を作れるのだから、言葉にすれば、より良いイメージができるはずだ。
そう思った僕はそこにあったベンチに座って宮崎のように名前を考えていた。
「でも、こういうの考えるのって簡単な名前が適当だってどっかに書いてあった気がするな〜」
「それどこ情報?」
「いっちゃんねる」
「……」
僕はもう突っ込みたくなくなった。
──────
しばらく色んな名前を考えたが、しっくりくるものは一つも見つからなかった。
──すると
「好きなものを作るゲームってなんだっけ?んー、なんちゃらクラフトだったような──」
あ──
「そうだ! それにしよう!」
宮崎が、なんとなくで言ったことを僕は逃さずそれにピカリとまるで新たな方程式を見つけた数学者のような電撃が脳裏を走った。
「『創作』……これいいんじゃない?」
僕はベンチから立ち上がって僕だけの力の名を呟いた。
「え〜? 『鋼鉄製指輪型製鉄所』がいいと──」
「あ、そうだ! これ使って僕の部屋直せるかも! 僕行ってくる!」
「──あ! ちょ、おいっ!」
宮崎の言う事も聞かず、僕はアパートへ駆け出した。
──────
「もうっ! なんでこんな可愛いレディに対していきなり勝負をかけてくるなかしら⁉︎」
「は? どこが可愛いんだよ、笑わせんな! それに俺の神様のためなんだ! しょうがないだろ!」
町の小さい通りで男と少女は言い合いをしていた。
──というより、少女が倒れている男に対して一方的に言いかかってるようだが──
「はぁ……神様ねぇ……こんな恐ろしい指輪を着けられて、勝手に私達で戦い合えって言ってきたあの人達が? ──いえ、人じゃなくて神だったわね。だけど、私はあんなヤツらの言うことを聞く理由がないと思う? 私達がこれだけ戦って何の意味があるの? そういうこと考えたことある?」
「う──」
「本当に意味があると思うのなら、こんな戦争……やめといた方がいいと思うわよ。いつか絶対死ぬわ」
少女はそう言って男とは反対側の方へ歩いて行った。
「……しましまパンツは見れてラッキ──」
「1万V」
「──な」
少女は後ろから聞こえる断末魔の叫びが聞こえる中“大きなクレーターのある道路”から立ち去った。
こんにちは!ルナサです!
いや〜テストが厳しいですよ……もうすぐテストだけどもう“死にそうですよ”。
と言うわけでまぁテスト前の中投稿したわけですが、やっとヒロインが登場しましたね〜
この子がどんなふうに物語と関係するのか、気になるところです。(書け)
というわけで次回もお楽しみに!




