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【かんわきゅうだい】 そのに

優しくドアが閉じられ、喧騒が隣室になる。

独り残された少女。

明かりもなく、窓から差し込むだけの狭い暗室に1人きり。


(あの夜も、こんな暗い夜だった……)


思い出すのは過去のこと。

後悔と懺悔と悲痛の過去。

少女は小机にあるお椀に手を伸ばそうとして――


「あ、一応これ」


突然開いたドアに、慌てて手を引っ込めた。


「服置いとく。一昨日買った新品があったから。それとランプも。それじゃ」


慌ただしく届け物を置いてドアを閉めた高良。


「……ノックくらいしなさいよ」


再び訪れた1人きりの空間で小さく文句を言ってみる。


『分かりました魔王様! こうやって恩を売っておいて後から高額請求するんですね! それで払えないのを体で――ぎゃう!』


少し間をおいて、再び彼が姿を現さないのを確認すると(薄板越しに聞こえるのは食器を片づける音だ)少女はゆっくりお椀に手を伸ばす。

シチューの入ったお椀は温かく、香しい匂いを運んでくる。

少女は少し呼吸を置いて1口すすった。


「美味しい……」


久しぶりに食べた人の温かみのある食事に、少女は独り泣いた。


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