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観覧希望

「そう言えば春夏、貴女紅白の観覧ってどうなってるの?」


年末の国営放送ホールで行われる紅白歌合戦には当然ながら観客が入る、その観覧希望の募集は10月2日から16日までの約2週間の間に行われる、出場者の発表前に募集かけるなよな、誰が出るかわかんないだろ。

しかしその当選倍率は約150倍と狭き門となるのだ、意外と見たい人って多いんだな。

当選者は12月1日webで発表される、ちなみに2020年のコロナ禍の紅白は無観客で開催された。


「お父さんは会社で社員総出で応募してるらしいけど、春夏は身内枠とかあるの?」


「私は家族でTVを見る事になってるよ、年末に東京行くの面倒臭いし、お母さんはスタイリストでいきたいとか言ってたけど、お父さんに止められてた」


「そっか、でもお姉様の晴れの舞台なのにいいの?」


「へ、だってただの歌番組じゃん、ミュージックセッションは見に行ったし、同じようなもんでしょ」


「あ~、そう言われれば、そんなに違いないのか?」


いや、規模が違う、視聴率が違う、出演者の数が違う。


「でも、お父さんてば当選した時に備えて横断幕なんて発注してるのよ、甲子園出場じゃないんだからねぇ」


陽子のお父さんは広告代理店だから芸能人と知り合いと言うのは、メリットが大きいんだろうな、実際お兄ぃの出たワインのCMは反響凄かったらしいしね。


「へぇ、身内としてはありがたいけどね、でも発表はまだなんだよね」


「12月になってからよ、当選して私の分もあるようなら付いて行くつもり」


「そうなったら、ちゃんと応援してあげてね」


「おまかせあれですわ!」


陽子が自分の胸を叩く。





スタジオエム


「うひぃ~、疲れたぁ、指痛え」


「何、お前まだ曲弾けないの?完成したの結構前だったじゃん」


「違うよ、HOTOMIさんが納得しなくて、演奏する度にアレンジ変えるんだよ~」


「ハハ、菅野すがのさんの時もそうだったけど、売れる人は俺達アマチュアとは音に対するこだわりが違うんだろうな」


広告業界は11月、12月と年末が近づくと忙しさが増す、所謂いわゆる年末進行って奴だ、正月のイベントに合わせて広告を打ち出す場合、新聞広告も締切が早くなり大体が年内のデータ入稿になる、チラシだって印刷所の長期休業に伴う前倒しで仕事をしなくてはならない、年末年始の前に印刷・納品が基本となるのだ。


カチカチ、カタタ


「ねぇ丸ちゃん先輩、去年も思ったけどこの会社の広告、1週づらした方が目を引くんじゃないかな」


「内海くん♡そうよね~、クライアントに相談してみるわ!」


「こらこら、世間様がお休みの時じゃないと集客がイマイチだから、正月に広告出すんだろうが!それを1週づらしてどうすんだボケ」


内海の提案に、経営者である丸山が甘やかしで乗っかろうとするが、即座に藤崎に突っ込まれる。しっかりしろ経営者、恋愛脳を仕事に持ち込むな。

まぁ、お正月ムードで人々の財布の紐も緩くなるし、イベントする時期はどこも被るんだよな。



「そうだ!内海くんの出る紅白歌合戦を観に行こうと思ったら、観覧募集もう締め切られてたのよ、残念」


「えっ、丸ちゃん先輩もしかして観に来てくれるつもりだったの?」


「だって、やっぱり生よ、生の迫力には敵わないわ!うん、やっぱ生」


「なんかエロく聞こえるから生々言わないで。でも中山さんに頼めば席用意してくれるかも、藤崎はどうする」


「本当に♡お願いしていい」

「いや、面倒だし俺は家でどん兵衛の天そば食べながらTVで見て笑う」


「紅白ってお笑い番組じゃないぞ」




夜にアミュズエンターテイメントの中山さんに電話すると。


「ああ、良いですよ。こちらとしても丸山社長には恩を売っときたいですしね」


総座席数3,601席の1席は早くも埋まった。この世の中は色々な損得勘定が行われている。

感想や★★★は作者のモチベーションの向上に繋がります。是非お願いいたします。


年末で忙しくなりそうなので週一ペースに致します。次は11月11日ポッキーの日に投稿です。

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