表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/53

ミッションインポッシブルゴーストプロトコル?

内海 敏夫としお61歳


トゥルルルルル♪


「あ、兄さん、ご無沙汰しとります、敏夫としおです」


「おう、本当に久しぶりだな、元気か」


「はは、今じゃ会社も若いもんに任せて半分隠居状態ですよ」


「そうか、それで、どうした?なんかあったか」


「いや、ウチの娘が歌手なんて目立つ事やり始めまして、下手すりゃ兄さんの所にも雑誌や新聞が取材に行って迷惑かけるかもと思いまして」


「ほぉ、あの子ももうそんな年になったか、確か春夏…ちゃんだったかな、秋江あきえさんに似てえれぇ別嬪べっぴんさんになったんじゃないか」


「いやぁ、お恥ずかしい、では何か取材の電話とか来たら適当に流してください」


「まぁ、お前の娘には幼稚園の頃に会ったきりだから、話せる事は別に無いからな、じゃあ秋江あきえさんにもよろしく言っといてくれ」


「そうだ、兄さんってまだカローラ乗ってます?ちょっと普通車を使いたいんですけど俺の軽トラとしばらく交換しません」


ガチャ


「ふぅ、兄さんの所はこんなもんで良いか」


しかし兄さんには、俺のカミさんの印象が強いから問題なさそうだな、あのスケベめ、まぁ秋江あきえは美人だから仕方ないか。

元々、秋江あきえの方は親戚付き合いは無いし、俺の方も兄さんが残ってるくらいだ、ご近所さんはどうやったか知らんが秋江あきえが誤魔化してたからな、催眠術の本なんか熱心に読んでたが、まさかな…。

問題は学校関係だが、あいつ昔から目立つ奴だったから心配だ。


まぁ、国の方で用意してくれた戸籍はデタラメも多いから、そうそう辿たどれるものでは無いと思うが。

なんだこの双子で片方は病弱でずっと入院生活が長かったって設定、御涙頂戴か!逆に笑えるわ。

あ、一応兄は死んだ設定だから、位牌とか用意しといた方がいいんかな。








ウチの学校でお兄ぃが兄だった頃を知っていて見ているのは竜太と陽子ぐらいだ、他は全員姉になってからだから問題はない。そう考えると現代社会は人間関係が意外と浅いな、私の小・中学校の友達にお兄ぃの事カッコいいとか抜かして奴もいたけど、あいつらまで取材される事はないだろう。


「陽子、お姉ちゃんのことは」


「安心なさい、お姉様の秘密をバラすようなヘマはしませんわ、父もお兄様時代は知りませんしね」


「竜太」


「馬鹿にすんな、いずれはお義姉さんになる人に失礼なことはしないよ」


「竜太♡」


「お義姉さんには胸も見せてもらったしな」


上げて下げやがったコイツ、私の感動を返せコラ。






長野赤十字病院2階ナースセンター。


「月岡先生、2番にお電話入ってます」


ナースセンターで若いナースと雑談していると電話を回される、基本的にこの病院で私に電話が来ることはないのだが?

首を傾げつつ、受話器を取る。


「はい、心臓血管外科の月岡です」


「お忙しいところすみません先生、実はご担当されている患者さんについてお聞きしたく」


「あぁ、医者はそう言ったプライバシーについては答えられませんので」


「いや、一つだけでいいんです、UTUMIと言う患者の…」


う〜ん、内海さんめっちゃ芸能人しちゃってるから、こう言う手合いも出てくるか、可哀想に。


「それ以上はやめておいた方がいいですよ、この番号も報告しますのでご注意ください」


「えっ、それって…」


ガチャン


「……」


「先生?」


「あぁ、保険の勧誘でした、全く勤め先にまで困ったものです」


この2日後、いくつかの雑誌の編集長が会社を解雇される、その後その編集長を見た者はいなかったと言う。

この日本にも覗いてはいけない闇は当然ある。UTUMIの場合は国の保護対象者とされている為、一般人よりは厳重に守られているのだ。ムーはその点世間の信用度が低いので見逃される事があるようだ。







ある建築会社にて、事務の眼鏡美人のお姉さん。


「内海さんですか、えぇ、知ってますよウチの会社のチラシとか作ってもらってますから」


「カッコいいですよね〜、宝塚の男役って雰囲気で、私なんて冗談でも口説かれた事あるんですよ」イヤ〜ン


「あんな美人なのに工務店の人にも愛想良いし、事務の子にも何人かファンがいますよ、実は社長もファンですね」


「ほら、このチラシ内海さんが作ってくれたんですよ、見やすいでしょう!ほらほら」





広告代理店K部長


「娘が学園祭のパンフレットを作った縁で知り合ったんです」


「だから彼女のデビューのきっかけは娘の学校の学園祭かもしれません(笑)」


「凄く仕事が出来る印象でしたね、ウチで依頼したCMにも二つ返事で企画・出演してくれて「やったー」って思いましたね」


「えぇ、企画からです、彼女はデザイン事務所に勤めているわけですから」


「スポンサーからの評判も良いですよ、でもあれだけ有名になってしまうともう気軽には仕事が頼めませんね(笑)」





作曲家 菅野すがの洋子


「UTUMIちゃんね、あのは特別だね、普通じゃないよ」


「人間としてどこか不自然と言うか、あの声だって不思議だよね、別に凄い高音が出るわけじゃないのに、ホールの隅々まで声が通って聞きやすい」


「ほら、いるじゃん、誰の歌でも本人より上手い歌手って、あのもそうなんじゃないかな」


「音感が良いからギターも上手いけど、1番の魅力はあの声だよね、また一緒に仕事がしたいなぁ、あの主題歌を作った時からイメージ湧きまくってるんだよね」





爆風スタンプ仲野


「えっ、この前のM-HOTOMIさんのライブ?」


「あぁ、あれね。UTUMIちゃんに誘われちゃったんだ、そしたらオーケストラみたいなギターをバックに武道館の玉ねぎ歌えって言われて、まいっちゃったよ〜」


「そうそう、UTUMIちゃん、僕の大ファンなんだって、そこはちゃんと記事にしといてね」

感想や★★★は作者のモチベーションの向上に繋がります。是非お願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ