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友達の輪

「アハハハハ、本当にUTUMIは面白い!行動がまるで予測出来ない」


アミュズプロダクションの自分のデスクでヤホーニュースを見ていた中山の笑い声。

パソコンのモニターにはアメリカに帰ったアリアンティのインタビュー記事とUTUMIの写真が大きく写っている。


「UTUMIを私の全米ツアーに誘ったんだけど、思いっきり振られてしまったわ。でも絶対に諦めない、それほど彼女とのライブはアメイジングだったのよ、あの神の声はもっと大勢の人が聴くべきだわ」


プロダクションの人間にとってタレントの話題作りはとても難しい、特に最近は情報の消費スピードが早い為に同じようなニュースはすぐに人々に忘れられてしまう。

今回それなりにインパクトを与えられたのは、アリアンティやエリック・クリプトンなど世界の名だたる有名人を巻き込めたのは大きい、中山にとって予想外もいいとこだ。

TV局からも出演のオファーがひっきりなしに来ているが、肝心のUTUMIが週末でないと時間が取れない、平日はデザイン会社に時間を取られてしまう。やはりここは時間調整の効くCMの仕事を何社か受けるべきか、とにかく顔と名前を露出させて日本中の国民に覚えてもらわなければ。


「いっその事、あのデザイン会社を辞めてくれれば、話は早いんだが」


あれほどの才能を持ちながらUTUMIは芸能界に興味が薄い。

何度そう言って誘っても首を縦に振らないUTUMI、いい加減頭が痛い。






「やっぱり、パスポートは本人が行かないとくれ無いんじゃん、面倒くさいな」


「何、お前アメリカに行く気になったのか?」


「違うわ!藤崎がバカにしたから一応調べてるの!」


外回りのついでに行けばいいのに、それは面倒臭いらしい。


「いいのよ〜、内海くんはずっとこの会社にいてぇ〜」


「やったー、丸ちゃん先輩大好き!」


「うへへ、内海く〜ん♡」


「駄目だコイツら」


そんな馬鹿な話をして油断しているとM-HOTOMIが会社にやって来た、暇なのか忙しいのかわからん人だ。


「UTUMI、アメリカに行かないんなら俺のコンサートにゲストで出てくれよ、国内で週末に来れる所だけでいいからさ」


どうやらヤンキーギタリストに対して独占欲を感じてるらしい、いい歳したおっさんが大人気ないな。

だが内海としてもHOTOMIには曲を書いてもらってるしお酒も奢ってもらった、非常に恩を感じている、まぁ国内ならいいか。


「日帰り出来る所ならいいですよ」


「良し!じゃあ来週の土曜日、武道館な」


「ええ、また東京ぉ〜、私大阪の方が良いなぁ、たこ焼き食べたい」


「お前気にする所間違ってるぞ、武道館だぞ武道館」


「あ、じゃあサンプラザ仲野さん呼べないかな、武道館繋がりで」


中山さんに連絡取って誘ってみたら「いいよ〜♪」と二つ返事で出てくれるようになった、ついでにジャーさんも暇だから出るそうだ。

なんか賑やかになりそうでワクワクするね。




M-HOTOMIの武道館ライブは結局凄いメンバーの数になった。ジャーさんだけでなくアメリカからブライアン・シャッター、さらにアリアンティまで再来日して参加させろと迫る始末、そして俺に興味を持ったカルロスサンターナまで彼女について来たからステージの上はカオス状態。もう誰のコンサートやねんって感じ、観客にはめっちゃウケてたから良いけど。ええっ!雅さんもいるじゃん、HOTOMIさんのリフを雅さんがスラップで弾いてるヨォ!感激!

でもねHOTOMIさん、俺ゲストで来てるはずなのになんでステージに出突っ張りなの、指つりそうなんだけど。

その上、何曲も歌わされるし、ギャラにはちゃんと色つけてよね。


サンプラザ仲野さんはこの豪華メンバーのギターをバックにかの名曲を熱唱して涙していた。うんうんわかるよその気持ち。(なぜか上から目線)


今回は明日が日曜日と言う事もあって打ち上げにも参加できた、が、ライブの時より色々な人が押しかけてきて大変だった、ベーシストの光さんも来てくれて、紅白でサポートベースをしてくれると聞いた、えっ!ジャーさんも出るの?暇なん?

だからそんなに色々ゲストで来いと誘われても、こっちも仕事があるんですよ、無理ですって。


「奢りのお酒はやっぱ美味いよね、サイコー!イエ〜イ!」


凄く楽しい1日だった。


武道館に集まった1万人の観客はその日の感動をSNSで拡散して行く。

それぞれのアーティストのファンの数だけ拡散されるんだから、そりゃあ反響もデカいよね。



次の月曜日、俺は会社を休む事になった。


あれ?



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