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還暦過ぎてんのに元気だなオイ!

「ごめん、もう1回良いかな、ソロの所もっとこう静かな感じで」


ピロピロン♪


もうここだけで10回以上繰り返している、全体だったらもう数えきれないほど弾きまくっている。

ずっと頭の中で音が鳴ってて、なんか途中から違いがわからなくなってきたぞ。


「こんな感じですか?」


ジャリラ、キロキロキロ♪


「う~んまだちょっとテンポが早いね」


「は~い」


ジャリラ、キロキロキロ〜♪


「うっさいわ内海!弁当食ってる時ぐらい静かにしろよ!」


藤崎がのり弁食べながら声を上げる、それに応えるのは目の前に座る菅野すがのさんだ。


「藤崎くん、君はベースも弾けるんだって、ちょっと合わせて来んない」


「うガァーー!このおばちゃん人の話聞かねーーー!」


何故か菅野すがのさんが長野のスタジオエムに来ている、週末やリモートだけでは満足出来ないらしい。

菅野すがのさんって超売れっ子作曲家で忙しいんじゃないの?それとなんでウチの事務所にそんなに馴染んでるの?藤崎の奴、菅野すがのさんに肩組まれて嫌そうな顔しとる。


「まぁまぁ、藤崎もあんまりイライラすんなって、これが終わった後で写真の色調整手伝ってやるから」


「終わるんだよな?」


「終わるんですよね?」


藤崎と二人で菅野すがのさんに視線を送る。


「さぁ?」


ガックシ


終わりが見えないのってキツイ。





パクリ


「UTUMIはさぁ、絶対音感に頼りすぎてて感情を込めるのが下手くそなんだよ、音楽は弾けた後でどれだけ感情を乗せられるかが勝負なんだよ」


モグ


「そうですか?これでも感情込めてるつもりなんですけどね」


「まだまだだね、そうだな〜、女としての経験が足りないのかな、ま、そこも君の魅力にはなってるんだけどね」


「うププ、お姉ちゃんはスケベだけど、まだ初心うぶだからなぁ」


「うっさいよ春夏、お前だってそうなくせに」


モグモグ


「へぇ、意外だね、二人とも凄くモテそうなのにね」


菅野すがのさんが味噌汁を啜りながら言う。


「私は可愛いからモテるし彼氏もいますよ、あ、菅野すがのさん、味噌汁のおかわり入ります?」


「いただく」


結局、会社では途中で丸ちゃん先輩に強制的に仕事させられたので、アパートに戻っても曲を作っている、今は3人で松茸ご飯を食べていた。いつ終わるんだこれ?

コラ、春夏、それは俺のアジの開きだ、勝手に食うな。




そんなこんなで2週間。



ギャギャリン!!


「おっ、今の感じ良かったんじゃ」


菅野すがのさんを見ればニカッと笑って親指を立てている。


「で、出来たぁ~~~~」


ギター弾き過ぎて指がジンジンするぅ。




「じゃあ、後は作詞だね」


…………笑顔のおばちゃんに死刑宣告された。


「えっ、それはもう私は関係ないですよね?私にも仕事が」


「何言ってんの、UTUMIが歌うんだから、自分で感情込めれる歌詞じゃないとダメでしょ」


「ま、マジで……」


幸い歌詞を考えるのは、半分以上は菅野すがのさんが考えてくれた。

英語歌詞がほとんどでメロディに乗せやすい、これならジャニスのような絶唱する歌い方が会うんじゃないか。

でも、これ最初から全部菅野すがのさんが考えても問題なかったんじゃないかな、俺が考えたフレーズ1割も残ってないような。





お兄ぃと菅野すがのさんの曲が完成したらしい。


「う~~~ん、もう歌えにゃいヨォ~」


リビングでパンツ一丁で腹出しながらうなされてるお兄ぃにタオルケットをかけてやる。

今回は作詞、作曲に思い切り関わってしまったので随分と苦労したみたい、だからこんなだらしない姿でも、今は許してやろう。

完成した曲をお兄ぃと菅野すがのさんの二人で目の前で弾き語ってくれた時は、気づけばわんわん泣いてしまった。

クソッ、お兄ぃの歌で泣かされるとは思わなかった、菅野すがのさんにニヤニヤ笑われて恥ずかしかった。

今度家に来た時、イナゴの佃煮無理やり食わせちゃる。


曲は完成したけど、正式なレコーディングは1ケ月後に東京のスタジオでメンバーをいっぱい集めて行うらしい、ベースにはカシオペの成瀬さんて言うおじさんを呼ぶって聞いた時はお兄ぃはなんか興奮していた、チョッパー走法ってなんだ、早く走れるのか、おじさんが?

ドラムの人は聞いたけど私は覚えられなかった、前に一緒にTVに出た光さんや穂奈さんは、今回スケジュールが合わなかったのかな?


それにしてもHOTOMIさんといい、菅野すがのさんといい、音楽やってるおじさんやおばちゃんは皆んな元気だな、私もなんか楽器やろうかな。ウクレレとか可愛いよね。


タンバリンもいいな!オォ~レッ!!

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