こ、こいつ意外と。
この前の撮影した動画の編集が終わり、CMのプロトが出来てきたので自宅のTVでDVDを見てチェックする。
明日はこのデータを関係各社に見てもらう予定だ。
にしても編集の小川さんは仕事が早いね、家族旅行にはちゃんと行けたのかな?無理してなければ良いけど。
「ん〜〜っ、うむむ」
う〜む、長野県のタイアップがついたのは儲かるし放映回数が増えるから良いんだけど、この最後、抑えの画面にアルクマが入るのはダサいな、俺アルクマ嫌いなんだよな。
やっぱくまモンだよな、でも九州には熊はいないのになんで熊本のマスコットは月の輪熊なん?
後、長野県のワインですのコピーは入れる意味あるか?そこは社名をバーンと入れるべきだろ、あの県庁のクソオヤジ、ゴリ押ししやがって、世知辛いなぁ。
「あ、凄え、ちゃんと枯れ木に葡萄が実って行く、今は個人レベルでここまで自然なCG出来るんだからAI生成って便利だ、10年前だったら時間も手間も桁違いだもんな」
LaLaLa~♪
「しっかし、自分でコンテ切っといてなんだけど、なんだよ葡萄畑の女神って、誰だよこんな恥ずかしい設定考えた奴、俺だよ!」
羞恥心に苛まれ、TVの前でゴロゴロと転がり回る。だって北欧神話見たらピンと来ちゃったんだものぉ!!
「しかも自分で考えて自分で出演ってめっちゃ痛い人じゃん!黒歴史決定じゃん!」
編集の小川さんはお世辞でベタ褒めしてくれたけど、そこまで美しいかぁ、こんなキャラじゃ俺は全然欲情出来ないぞ。
「…………」
「欲情と言えば…」キョロキョロ
自分の股間をじっと見つめる。すっかり寂しくなっちゃってまぁ、もう立つもんはないんだよな。
パンツの中に手を突っ込んで確認、弄っても穴しか空いてない、ちょっと弄ってみる。
「…………あれ?」
とりあえずカーテンは閉める、時間は、まだ春夏が帰ってくる時間じゃないな。
今はまだ4時、まだ2時間は余裕がある。
「あっ」
「うふぅ…ひぐっ…、んあっ……」
「あっ、あっ、うぅん、あぁ〜〜〜〜〜っ!!」ビクビクン
秋の日はつるべ落とし、この時期の空は変化がとても早い、さっきまではオレンジ一色だった世界がもう暗くなり始めた。
日中はまだ暑いと感じる事もあるが、朝晩は涼しくなって生活しやすくなった、暑さ寒さも彼岸までとは良く言ったものだ。
学校帰りに立ち寄ったスーパーデリシアで、お惣菜のメンチカツにまだ5時30分なのに半額シールが貼られていた。(半額シールは6時以降が多い)ラッキー!
思わず手に取ってニヤリと笑う、今日の夕飯は1品追加だよ。
ホクホク顔でスーパーを後にする。
カチャ
「お兄ぃ、あれ?もう帰ってるの〜、今日スーパーでさぁ」
「…………………!!」
「きゃあ!」
きゃあ!じゃねえよ、何してんだこの馬鹿兄貴、いやナニしてたんだけどさ。
せめて自分の部屋でやれや、何が悲しくて自分の兄妹の自慰行為を見なきゃならんのよ、めっちゃ気まずいわ。
「お兄ぃ、正座!!」
下半身パンツ1丁で正座している兄をキッと睨みつける。
「全く、お日様がまだ完全に沈みきってない時間に、何、オマン○弄くってんのよ!」
「いや、つい弄ってたら止まんなくなっちゃって、ほら、割れ目のとこにちっちゃいポッチあるじゃん、そこ弄ってたら変な気持ちになってだな、お恥ずかしい」
「誰がそんなどうでも良い感想を言えと言った」ギロリ
その感想に妹の私になんとコメントしろと、ええい、同意を求めるな!私はクリちゃんではなく指を入れる派だ。
「まだ変な物は挿れてないでしょうね、お兄ぃもまだ処女なんだから大切に使いなさいよ」
「えっ、春夏はおナニーの時になんか挿れるの?まさか、いや、もう竜太くんと…」
「ば、ば、バカ言ってんじゃないにょ、私達まだ高校生だよ、そんな事まだしてないわよ!」
「えっ、でも俺、初体験は高校2年の時には先輩に食べられ……あっ」
「はぁ〜〜〜〜っ!」
今、聞きづてならない言葉を吐きやがったぞコイツ。
元々、男の時も顔は悪くなかったから彼女くらいはいるとは思っていたけど、高校2年だぁ、今の私の歳じゃねぇか。
「その人とはちゃんと好きで付き合ってたんでしょうね?」
「いや、家に誘われて、いきなり押し倒されたから」
おいおい積極的な先輩だな、肉食女子だな、飢えてたのか。
「!?……何回やった?」
「その人とは1回だけだ……」
その人とはぁ!この際だから、全部吐け。吐いて楽になっちまえ。カツ丼食うか?メンチカツしかないけど。
「そ、そんな多くはないよ2・3人、いや社会人も入れると6人かな」
「えっと9年で……こ、こいつ意外とヤリチン野郎だな」
家じゃ彼女なんか居ない雰囲気出しといて、しれっとやる事やってんなオイ。ちゃんと合意の上だろうな。
でも、考えて見れば今は同じ女だ、立場が逆転している、自分の兄が、いや今は姉がビッチと言われないよう、私がしっかりと見張ってないと危険だな。
この日から私の兄を見る目が変わったのは言うまでもない。
「あ、お兄ぃは当然だけど今日メンチカツ無しね」
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