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お仕事は笑顔で

実家に帰った翌日、兄は今日も忙しく会社に出かけて行く、まだ一人だと微妙なメイクだけど私がバッチリ仕上げをして送り出しました、意外と人のメイクするの楽しいな、こう言う仕事結構、私に向いてるのかも。

兄はお仕事の方がなんかこの1ヶ月で凄い事になってるらしい、と言うのも兄の所為でクライアントがメッチャ増えているらしい、丸山さんが先日電話でこう言っていた。


なぜに?



「やっぱ美人は営業で強いのよ、しかもあの内海くんのモデルみたいな容姿で、気安く話されたらお偉いおじさんだってイチコロよ」


なるほど、兄は男同士で話してる感覚だからフレンドリーだし、女性に対しては口説くように話すからな。

こう言うのも両刀使いになるのか、営業としては最強だな。


「男って幾つになっても単純なんですね」


「「ねぇ~」」


うちの兄は、歌舞伎町No.1のキャバ嬢かよ、頼むから変な恨みは家庭に持って帰ってくるなよ。


「私と内海くん、若くて美人な女性二人で打ち合わせ行った時なんか、いつもは絶対に顔を出さない社長さんまで同席してきて、速攻で仕事取れたのよ!」


丸山さんあんたもかい、丸山さんは可愛いタイプだけど男に興味ない人だったから男受けがイマイチだったらしい、本人が言うのだから本当にそうなんだろう、でも兄はモデル系の容姿に同性のような気やすさでメッチャ男受けがいいらしい、しかしそういう事なら今日の兄はお母さんの用意した服や淑女講座のせいで戦闘力がさらにアップしているぞ。ワハハ、圧倒的じゃないか我が軍は!


「そうそう、桐山さんのお父さんからもお仕事もらえそうなのよ」


「陽子のお父さんから?」


「桐山さんのお父さん、会社で広報部長やってるんだって、陽子ちゃんに紹介してもらっちゃった、結構大手で広告費も多いから、取れれば中々美味しい仕事よ」


「へ~、それは知らなかったです」


確かに、陽子はちょっと良いとこのお嬢様っぽい所があるもんな。

将来は兄に貢ぐアホ令嬢になりかねん、注意せねば。


ん、これでは兄はキャバ嬢でそのうえホストでもある事になるな、それって両立する物なのか?








ヴゥアン!ボボボ、バタン



「初めまして、エムの内海です、今日はお時間をいただきありがとうございます」


「あぁ、娘から聞いているよ、広報部長の桐山陽治きりやまようじだ、よろしく」


社会人らしく名刺交換を済ますと桐山部長から話しかけてくる。


「内海さんは随分と懐かしい車に乗ってるんだね」


応接室の窓から駐車場を見て、桐山部長が微笑む。


「ご存知なんですか、私が生まれる10年も前の古い中古車ですよ」


「はは、私にとっては若い頃に乗ってた車ですよ」


「おっ、もしかして昔は走り屋でもしてらっしゃいましたか」


「もう30年も前の話ですよ、私の年代は車好きの若者が多かったからね」


「へぇ、凄い。もしかしてドリフトとか出来ちゃいます」


「いやいや、もう老眼も始まってしまって、今ではとても」


「ほぉ、昔はブイブイ言わせてたんですね♪、私も山道とかあの車で良く走るんですよ、長野は山とか多いですから楽しいですよね」


「それは勇ましいお嬢さんだね」


「勇ましいなんて言われたの部長さんが初めてですよ、もう~」


「内海さんみたいなお綺麗なお嬢さんに、勇ましいは言葉を間違えましたね、これは失礼」





ガラス張りの応接室の向こうでは。


「おい、あの桐山部長が商談中に笑ってるよ」


「嘘っ!あの鬼部長が、やるなあのお姉さん、まぁ、あれだけ美人なお姉さんなら部長も笑顔くらい見せるか」


「いいな~、俺も仕事出せば、彼女と打ち合わせ出来るかな」


「あ、俺、ちょうど出せる仕事ある!」


「あ、ずりぃぞお前」





「では、このスケジュールで進めさせていただきますね」


「こちらから言っておいて何だが、無理を言ってすまないね、他のデザイン会社には、このスケジュールでは無理だと断られてしまって困っていたんだ」


「我が社は大きい所と違って、少人数で結構融通が聞きますから大丈夫、余裕ですよ!」


内海は満面の笑みでガッツポーズを作る、内心は大きな仕事が取れてウキウキだからしょうがない。


「では、失礼します!」



ヴァボボ





内海との打ち合わせの後、桐山は自分のデスクに置いた名刺を見て呟く。


「ふむ、美しい容姿に似合わずとても話しやすいお嬢さんだったな、まるで息子と話しているようだった」


今度は自分のPCに届いているメールを確認する。


「それに仕事も出来るときたか…」


打ち合わせ中に自社の社長の了承とスケジュール・予算の確認を済ませ即決し、見積書まで寄越して来る、良い仲間にも恵まれているようだ。

娘から熱心に推薦されたので会ってみたが、これは思わぬ拾い物だったな。

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