表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

兄は〜夜更け過ぎに〜雪絵《ユキエ》に変わるだろう♪

内海春夏うつみはるか17歳。


私は現在、兄の住んでいるマンションから高校に通っている、高校に入学して実家から通うことも考えたのだが田舎町でバスと電車の乗り継ぎが悪かったので面倒だったのだ、そこで目をつけたのが、2年前に会社勤めのために長野市内に引っ越して、一人暮らしを始めた兄の家に転がり込んだのである。

フフフ、通学時間の大幅短縮である、これでバスや電車の時間を気にする事なく学校帰りに寄り道が出来る。




朝、学校に行く支度をしながら兄に話しかける。


「お兄ぃ、学校の帰りスーパー寄るけどなんか欲しい物ある?」


「それなら、醤油買って来てくれ、もうじき切れそうだったんだ」


「えぇ〜、醤油かぁ重いじゃん」


「彼氏に手伝って貰えば良いだろ」


「やだよ、そんなの。夫婦じゃないんだから生活感有りまくりだもん」


「お前もお年頃だね〜」


兄はいまいち乙女心がわかってないんだよ、そんなだから顔は良いのに彼女出来ないんだぞ。



トントンと靴のつま先鳴らし玄関でローファーを履く。振り返って部屋を見れば、今日は会社が休みなのかパジャマ姿でまだ歯を磨いていた兄がいた。

そんなに暇だったらお前が醤油を買い行けと思わずにはいられない。


「じゃあ、行って来ま〜す!」


「おう、醤油頼むな」





ドアを開ければ外はよく晴れた青空、朝日が眩して目を細めてしまう。


そして、これが兄の姿を見た最後の瞬間になろうとは、この時の私は想像もしていなかったのだった。










スーパーの帰り、エコバッグに詰めた醤油を持ってエレベーターを上がる。

廊下を歩くとの303号室が目に入った。


ガチャ


「ん、鍵が閉まってない?」


「う〜醤油重かったよぉ〜、ただいま〜」



あれ、真っ暗。兄の奴、コンビニでも行ってるのかな?鍵空けっぱで不用心だな。

え〜と、電気のスイッチは……。


パチッ



「………………」


「はえっ!誰?」


リビングの電気をつけると、髪の長い綺麗な女の人が缶ビールを持って床に倒れていた。

目の錯覚かと思って一度目をつぶってリセット、もう一度見直すが、やっぱりお姉さんはそこに居る、これは幻ではない。


「…………」



いかんいかん、フリーズしてた。

え〜っと、呼吸はしてるな、良かった死体じゃない。


あれ?よく見ればこのお姉さんが着てるパジャマって兄ぃのだよね、まさか兄ぃの彼女、聞いてないぞ!


「……ん、んぅ〜」


あ、目覚ました、胸元はだけてて色っぺぇな、それにしても実に立派な物をお持ちで。


パチ


「あれ、春夏はるかおかえり、やべ、寝ちゃってたわ、今何時?」


「へっ」


覗き込んでいた私とお姉さんの目が会う、あれ?なんで私の名前を。



「ん、どうした?変な顔して、醤油買ってきたか」


「はあぁーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」



「うわぁ、びっくりした。いきなり大声出すなよ、って、あれ?俺の声が?」









静まり返ったリビングで、兄と思われるパジャマ姿のお姉さんと向かいあって座る。


「で、昼間っからビール飲んでたら眠くなって、起きたらその姿になってたと…」


「なぁ、これ本物のおっぱいだよな、凄え柔らかいんだけど!」


目の前の美人さんが大きくなった自分の胸を揉みしだきながら興奮してる。馬鹿だ。


「そんな事より、お父さん、お母さんの名前、生年月日、星座、好きなミュージシャン、それと私の好きな食べ物を述べろ!」


「ヒッ、何怖い顔してるんだよ、え〜、内海うつみ敏夫としお秋江あきえ、2000年11月4日、蠍座、Creepy Nuts、角煮」


「昨日の夕飯は?」


「えっ、あんかけ焼きそば紅生姜たっぷり」


「くぅ〜〜〜〜〜スラスラと、これはお兄ぃで間違いない!」


「何言ってんだお前?当たり前じゃん」


「なんでお兄ぃはそんなに落ち着いてるのよ、突然女になっちゃってるんだよ!女に!」


「まぁ、さっきはびっくりしたけど、これ明日になれば戻ったりしねぇかな」


そう言えば、兄ぃは昔から細かい事は気にしない性格だった、でも性別変わったのには人間としてもうちょっとリアクション取ろうよ。

さっきからドキドキしてる私の方が馬鹿っぽく思えちゃうじゃない、私はため息を一つ吐くとスマホを取り出してポチポチと検索をかける、今の世の中、大抵の謎はネットでわかるのだ。



“突然、性別が変わる病気ってある?”



「おっ、出た、何々」


二人してスマホを覗き込む。何々。


トランス・セックス病:ある日突然性別が変わる病気(TS)発病しても健康に害は無いが、元の性別に戻った例はまだ確認できていない。1000万人に一人の発症率と言われ日本でも過去4例程が確認されている奇病。主に高齢の男性が発症する事が多い。

問い合わせ:厚生省TS特別管理課


「ニセ詐欺サイト?」


兄が画面を見ながら首を傾げる、気持ちは分からんでもない、けど政府のマーク入ってる。


「いや、本物っぽいわよ」


リンクを辿ればちゃんと政府内閣府の公式サイトに行き着く、マジか、今まで生きていてそんな病気聞いた事もないぞ。まぁ、普通に生きていればこんな検索かける機会は皆無だからな。


「と、とりあえずこの厚生省TS特別管理課ってのに電話してみる?」


「う〜ん、仕方ねぇな」



トゥルルルル


「はい、厚生省TS特別管理課相談室、担当の米山よねやまみのるです」


「あの、すいません今日起きたら何故か女性になってたんですけど…」


「ほぉ、それは大変吃驚なさったでしょう、ではまずお名前と年齢、住所をお聞かせください、あと情報確認の為にマイナンバーを教えていただけますか」




「ではお両親や親戚にも同じような病気にかかった人はいないと、遺伝ではないのかもしれませんね」


「普段は喫煙や飲酒はなさいますか、喫煙はしてる、1日に2・3本、近年タバコの値段も上がっちゃってますから喫煙者にはきついですよね、いえ、政府が値段を決めてるわけではないですよ、飲酒、今日はビールを2缶、350ミリ?500の方で、いえ、飲酒や喫煙で発症するわけではないですよ、参考までにです」


「ではTS病に詳しい医師がいる病院を紹介しますね、ちょうど内海さんのお住まいの所に1カ所ありますね、ご自宅から近いから便利ですよ、あと診断の時、性別が変わる前の毛髪なんかがあると検査がスムーズに行えますので是非お持ちください」



「はい、ありがとうございました」


ポチッ


「う〜ん、普通に対応されたな、1000万人に一人の珍しい奇病じゃないのか。とりあえず明日紹介された病院行ってくるわ、あ、休むなら会社に電話しとかないといかんか」


「私も一緒に行くよ、お母さん達にはその結果の後で報告しよう」


「あ、免許証。男のままだけど車の運転大丈夫かな」


「途中で事故った時は本人証明やばいか、タクシーの方がいいかも。それと会社には私から電話しようか、その、お兄ぃ声が女の人になってるし」


会社もいきなり聞いた事ない女の人から休むと言われても、信用して貰えないだろう、私だったら上司の丸山さんと話した事あるから大丈夫だと思う。


「あぁ、そっか。めんどくせぇな」


なんかお兄ぃが普段通り過ぎて、私も落ち着いちゃったよ。



とりあえず、今日は脳みそが疲れて働かない、今日はもう寝よう。


現実逃避とか言わない!!

感想や★★★は作者のモチベーションの向上に繋がります。是非お願いいたします。


TSの現代物ってジャンルここで合ってる?ご意見ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
面白い(笑)私は声質あいまいで、電話だとよく男かオカマか聞かれます。続きを楽しみにしています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ