277.金色の王子は手を焼いた。
77months ago
「取り敢えずは社交界に出してみてはどうかな。」
セドリックが十才になった頃。
教師から逃げ続け、勉学どころか教養やマナーすら全く学ぼうとしないセドリックに若干頭を悩ます俺へそう助言したのはヨアンだった。
「取り敢えずは、…か。」
ソファーに背を埋めながら、俺に寄りかかったままうたた寝をしているセドリックを眺める。もう年齢が二桁になったというのに、俺の弟であるセドリックは二年前から教師や勉学から逃げ続けている。その為、マナーや教養すらも満足になく、未だに国内の社交界にすら出れないのが現状だった。
国外の社交界ならば成人してからだ。しかし、閉ざされたハナズオ連合王国内どころかサーシス王国内の社交界すらまだ一度もセドリックは出ることを拒み続けていた。
「だが…セドリックは必要なマナーも教養も知らん。無理に出させ、取り返しつかないことになれば…。」
「でも、実際にその目で見せるのがセドリックには一番良いだろう?…それに、何より先ずはあの空気に慣れた方が良い。」
結構、社交界の空気も独特だから。とそう言って苦笑するヨアンに確かに一理あるとも考える。
ただでさえ兄であるこの俺とヨアンにしか未だに心を開かないセドリックだ。その上いつまでも外に出さず、このまま引きこもるようになってしまっては、それこそ取り返しがつかない。
それに現に今も、二年前まではチャイネンシス王国に踏み入れることすら怯え、酷く嫌がっていたセドリックがこうしてチャイネンシス王国の第一王子であるヨアンの部屋内でも寛ぐことができるようになった。それを鑑みても先ずは慣らすというのは有力かもしれない。
「今度、ファーガス摂政主催のパーティーがあるだろう?僕もチャイネンシス王国の第一王子として招待されているし、君も居るなら丁度良い。」
どうかな、と笑みと共にヨアンは自ら淹れた紅茶のカップを俺の前に置いた。以前は自室の人払いをする前に侍女に淹れさせていたが、俺がセドリックを連れて来るようになってからか、ヨアン自ら茶を淹れてくれるようになった。
「ファーガス摂政は君が外界との交易を進めたいと話した時に相談に乗ってくれた人だろう?いくつか有望な交易国の候補まであげてくれたし、信用できるんじゃないかな。」
ファーガス摂政。前摂政であるバートランド摂政がその座を立ち退かされた後、以前よりその候補として期待されていた、経験もあり革新的な視野も持つ優秀な摂政だ。確かに彼主催のパーティーならばセドリックもある程度は安心して過ごせるかもしれん。
熟睡して目を覚ます様子のないセドリックの頭を撫でる。過保護かもしれんが、なるべく…憂いは避けたい。
「…そうだな。」
その為にも、この機会は生かすべきだろう。
俺は、セドリックを社交界に出すことを決めた。
まさか、それが予想の斜め上を行くことになるとは思いもせずに。
……
「ッセドリック!いい加減に観念しろ‼︎降りねばいつまで経っても馬車を片付けられんだろう⁈」
扉の前から力の限り足を踏ん張らせ、馬車から出されまいと抵抗するセドリックに思わず声を荒げる。社交界用に身なりを整えられたセドリックは、その衣服に皺をつけんばかりに腕を引く俺に抵抗した。袖ごと服が引っ張られ、一年前にヨアンから貰ったペンダントを襟元から覗かせた。
「ッちゃんと城は出た。あとはパーティーに参加したと父上に報告すれば良いだろう!俺は兄貴が終わるまで馬車の中で待っ」
「良いわけあるか!ちゃんとパーティーに参加しろ!国内ならば未だしもこの広き世界でいつまでも避けては通れんぞ!」
ぎゃあぎゃあとセドリックと言い合いをしながら、騒ぎにならぬようにだけ細心の注意を払う。
「…これは…予想以上だね、ランス。」
ふいに背後から声がし、首だけを回す。ヨアンが口だけ笑んで驚いたように俺とセドリックを見比べていた。俺がそれに気づき「ヨアン!お前も手伝え‼︎」と助けを求めると、今度は俺よりも遠慮のない大声でセドリックが「兄さんも知っていたのか⁈約束違反だぞ!」と怒ったようにヨアンへ声を上げた。一体何の話だ⁈と聞きながら、もう一度セドリックを引く手に力を込める、が離れない。
「う〜ん…別に無理矢理強要するつもりはないよ、セドリック。でもね…」
ヨアンは困ったように笑うと、馬車の中にへばり付くセドリックへと歩み寄る。俺の横を過ぎる際に、何気なく俺の首元の鎖を下へと引っ張った。どうやら俺もペンダントの鎖部分が服からはみ出ていたらしい。そのままヨアンはセドリックと目線を合わすように腰を落とし、真っ直ぐに正面から顔を合わせた。
「ランスも僕も、君が社交界デビューを果たしてくれたら安心できるし、何よりそれをちゃんと直接この目で見届けたいと思っている。…君は、僕達と一緒にパーティーに参加するのは嫌かい?」
セドリックの腕を引く力を抜き、ヨアンの話に集中するように掴んだままセドリックの反応を待つ。すると、セドリックは少し悩むように目を伏せ、唇を強く結んだ。
二年前、紹介したその日からすぐヨアンに懐いていたセドリックだったが、一年前からは更に慕い始め、ヨアンのことを〝兄さん〟と呼び、時には俺よりも話をよく聞き入れるようになっていた。教師による勉学からは逃げても、ヨアンからチャイネンシス王国の歴史や文化などは聞きたがるほどに。
黙って話を聞くセドリックにヨアンは温かく笑うと、その頭を撫でた。そのまま優しく「そうすれば、ランスへの誤解も少しはマシになると思うよ」と囁く。
近頃は昔のようにセドリックの噂や異名を囁かれることは風化したお陰で殆どなくなったが、代わりに俺のセドリックへの躾を疑問視する声が増えてきていた。俺としてはそんな今更な陰口よりも、代わりにセドリックが生きやすくなったことを安堵していたのだが…ヨアンやセドリックにはあまりそれも受け入れられなかったらしい。
ヨアンの言葉にセドリックは幼いながらに整った顔を少し険しくさせると、最後に一度だけ頷いた。そのまま俺の手を握り直すと、ゆっくりと馬車から降り始めた。
「何故セドリックはお前の言うことは聞く…?」
「ランスはいつもセドリックの為としか言わないからだよ。」
そう言っておかしそうに笑うヨアンは、そのままセドリックの後ろに続くようにして俺達と共にファーガス摂政の屋敷へと歩みを進めた。
ファーガス摂政の娘の誕生祝いであるそのパーティーでは、両国の貴族が多く出席していた。
我がサーシス王国の摂政ということばかりでなく、そのファーガス摂政の妻がチャイネンシス王国の貴族令嬢であったことも大きい。民同士の婚姻なら未だしも、両国の上流貴族同士の婚姻は珍しいものだった。
「よくぞ、お出で下さりました。ランス第一王子殿下、セドリック第二王子殿下、ヨアン第一王子殿下。」
ファーガス摂政と家族へ挨拶を交わし、俺とヨアンはセドリックを間に挟むようにして広間の壁際中央に立った。
既に俺達が広間に入った時には多くの貴族達が挨拶を交わし合っていたが、俺達に気づいた途端に誰もが注目し、口を閉ざした。
流石に両国の第一王子が揃い踏みであることに来賓の注目は大きく、更には今迄一度も社交界に出なかったセドリックへの注目もまた大きかった。
特に、セドリックと年頃の近い令嬢は誰もが頬を紅潮させ、その姿に目を奪われていた。中身は実年齢よりいくらか幼いが、セドリックのその整った容姿は黙ってさえいれば逆に大人びても見えるものだったから余計だろう。
「…早速モテモテだね、セドリック。」
一回話してきてみてはどうだい?と俺達から一向に離れようとしないセドリックの背を軽くヨアンが叩いた。だが、セドリックは「どうせ皆、興味本位だ」と言い切り、どの令嬢からも目を逸らした。
「別にお前を悪く思っている者ばかりでもない。友人ができるかもしれんだろう。」
「兄貴と兄さんがいれば他は要らん。」
俺からの誘いにも叩きつけるように断るセドリックにヨアンも少し困り顔をした。俺達を慕ってくれることは嬉しいが、一生そうする訳にもいかん。使用人からグラスを受け取り、考えあぐねていた時だった。
「あの御方が、噂に聞くセドリック第二王子殿下か。」
チャイネンシス王国の上流貴族の囁き声が、俺達の耳まで届いた。俺もヨアンも互いに聞こえぬ振りをして耳だけを傾けた。セドリックに聞こえぬようにとヨアンがセドリックにグラスを手渡し、俺が身体を声の方向から身体ごと逸らさせるが、セドリックはそれを拒むように身体の軸に力を込めた。
「噂には聞いていたが…。」
その途端、目を向ければ明らかにセドリックの顔から血の気が引き始めていた。俺の袖を掴む指が僅かに震えている。
またセドリックへの例の風潮ならばここで一度咳払いで断ち切るべきかと悩んだ時。
「耳にした通り、なんとも見目麗しい。」
…予想外の言葉に、俺もセドリックも一度固まった。どうやら例の噂の方ではなかったらしい。その後も貴族同士が「齢十であれ程の容姿とは」「まるで金色の魔性ではないか」「噂では姿を目にした城下の者が美しさのあまり卒倒したとも」「歴代の王族でもあれほどの美貌を持ち合わせた者は…」「!口が過ぎるぞ‼︎それ以上は国王陛下や王妃殿下に無礼だ」と口々に話し、囁き声が更にははっきりと聞き取れるほどに広まっていた。比較的穏やかなその噂話に、俺はほっと肩の力を抜く。
「セドリックがランスと一緒に我が国に訪問することが多いから、それを見かけた人も多かったのだろうね。」
大分誇張されてる部分もあるけれど、と付け足しながらヨアンも胸を撫で下ろした。そのままセドリックの肩に手を置く。
「大丈夫、君の敵は誰も居なさそうだよ。」
そう言って微笑むヨアンの言葉に俺も、そしてセドリックも息を吐いた。周りを見ても皆、セドリックの容姿に目を奪われ褒め称えるだけだ。これならばセドリックも安心して
「だが、面倒を見られているランス第一王子殿下の方針により、他者とは一切関わらないらしい。」
…また、別の噂だ。俺は思わず溜息混じりにもう一度息を吐く。
民からはまだしも、上層部では時折俺の変な噂が流れる時がある。ヨアンが明らかに表情を険しくさせ、前に出ようとするが俺が手で止める。ああいうのは逐一否定したところで何も弁明にならない。
その間も気づかぬ貴族達は「やはり王族とあれば他者と距離を置くということか」「いやだが、自身はああしてヨアン第一王子殿下と親交を」「まさか、弟君だけを外界と遮断しようと?」「しかし一年前から両国の民に支持が高いランス第一王子殿下がまさか…」とこそこそと囁き合いが波打った。次第に雲行きも悪くなり、咳払いで収めようとした時だった。
「!セドリック…!」
少し慌てた様子のヨアンの声で気づく。さっきまで俺の隣にいた筈のセドリックが、いつの間にか手を離れて広間の中央へと自ら足を進めていた。まさか噂を語る張本人へ直談判でもするつもりかと肝を冷やす。セドリックは以前から時折、自身が敵意を抱く相手に対しては大人でも構わず牙を剥くことがあった。
だが、セドリックが歩み寄ったのはその張本人ではなくその娘らしき歳の近い令嬢へだった。セドリックの容姿に驚いたように顔を火照らせながら身を硬くする令嬢に、セドリックは正面から向き合った。そして
「…お初にお目にかかります。美しき方よ、突然の無礼をどうぞ御許し下さい。私の名はセドリック・シルバ・ローウェル。この国の第二王子です。」
礼儀に則った話し方で令嬢へ語りかけると、セドリックは優雅に笑み、そして顔をさらに火照らす令嬢の髪にそっと手を伸ばした。
「美しき髪だ。あまりの眩さに思わず目を奪われてしまいました。…どうかこれからも私と我が兄君、そしてヨアン第一王子共々宜しくお願い致します。」
そう言って正面から令嬢に笑いかけ、令嬢の髪を指先で摘むようにして軽く触れた。最後には令嬢の手を取り、その手の甲に口づけを交わした。…瞬間、令嬢が湯気を火照らせその場で腰が砕けた。
横で様子を見ていた父親である貴族が、慌てたように「こらっ!第二王子殿下の前で何という無礼をっ…」と娘の背を支え、そのまま立たせて第二王子であるセドリックとの会話を継続させようと必死に声を掛けた。だが、令嬢は完全に赤くなったままその場から動けなくなってしまっている。
「申し訳ありませんセドリック第二王子殿下!我が娘が失礼をっ…」
「どうかお気になさらず。甘い果実の如く赤く染まる女性は何にも勝り、愛らしい。」
フッ、と大人びたように笑いながらセドリックは貴族相手に余裕の笑みで返した。更には自分に周囲の視線が集中していることに気がつき、目だけで素早く周りを見回した。驚きや興味、更には多くの令嬢がセドリックに熱のこもった視線を送っている。そしてセドリックは、それに応えるように燃える瞳を彼女らに向けた。
「私は皆様とも是非お近付きになりたいと思っております。我が兄君、ランス・シルバ・ローウェル第一王子とヨアン・リンネ・ドワイト第一王子が望んで下さったように。…勿論、美しき華君は例え一輪であろうと大歓迎です。」
次の瞬間、歳の近い殆どの令嬢が顔を真っ赤にしたままセドリックへと釘付けになった。そして瞬く間に一人、また一人とセドリックを囲むようにして令嬢が集まってくる。俺やヨアンでも引くような数の令嬢達が一斉に自分の名や家柄を告げ、我先にとセドリックへ声を掛け出した。
「……デビュー…成功、かな…?ランス。」
ぽかん、とした表情のヨアンが、視線を令嬢達の中心地となっているセドリックに向けながら俺へと問いかける。見守っている間、ヨアンも大分緊張したのか固く胸元のクロスを握りしめていた。…恐らく、俺も鏡を見たらヨアンと同じ表情をしているだろう。
「………恐らく。だが、何故あのような物言いなんだ…?」
セドリックのまるで女性慣れでもしているかのような言動に、俺もヨアンも共に首を捻る。あんな口振りを教えた覚えは全くない。あの見目と第二王子という肩書きがあるセドリックだから許されるが、それ以外の者がやれば全員に引かれても文句は言えない。
ヨアンの「後で聞いてみようか…?」とグラスを口へ傾けながらの提案に俺は無言で頷いた。俺達が茫然としている間にも大勢の令嬢や貴族に次々と囲まれたセドリックは、何の物怖じをする様子もなくその全員と会話を見事成立させていた。
折角の誕生祝いだというのに騒ぎを起こしたことはファーガス摂政にも詫びたが、「そんなことよりもセドリック第二王子殿下が同年代の者と会話をできていることに安堵しました」と笑みが返された。ファーガス摂政もまた、以前よりセドリックのことを気にかけてくれていたらしい。
その日、パーティーが締め括られるまでセドリックの周りに人が絶えることはなかった。俺やヨアンも何度かは気にかかり、顔を覗きには行ったがセドリックの表情は思った以上に生き生きとしており、その目も輝いていた。
パーティーが終わり、セドリックが語り合った令嬢や貴族一人一人と改めて挨拶を交わした後、やっと俺達はセドリックと合流した。ヨアンが馬車の中まで俺達を見送ってくれた後、扉を閉める前に先ほどの物言いについて尋ねるとセドリックは何てことない表情でこう答えた。
「昔、本で読んだ。女性はああ言われれば皆喜ぶのだろう?」
…私とヨアンは同時に頭を抱えた。まさかの本の知識だ。それも、教養やマナー関係の本でないことはセドリックが話したその題目からも明らかだった。一体当時、他にもどのような本を読まされたのかと考えるだけで頭が痛くなる。
偏った知識だと訂正しようとしたが、次に告げられたセドリックの言葉で俺もヨアンもそれを躊躇った。
「…他者と関わるのも、悪くはなかった。社交界くらいならばまた出てやっても…良い。」
…どうやら、本人にとって予想外に良いひと時だったらしい。少し照れたように俺達から目を逸らすセドリックは最後に小さな声で「今日は感謝する」と呟いた。
「…まぁ、社交界の挨拶とかも一応言えるようになっていたし取り敢えずは〝よくできました〟かな。」
変な言動がついてはいたけれど、と付け足しながらも嬉しそうに顔を綻ばすヨアンに、俺も軽く同意する。確かに、あの余計な言動以外はちゃんとできていた。社交界に行くこと自体は嫌がらなくなったのだし、このまま社交界で経験を重ねていけば、その変な物言いも周囲に合わせ、自然となくなっていくだろう。
取り敢えず今回はセドリックが外界に一歩踏み出せたことを喜ぼう、とそう思い、セドリックの頭を撫でた。俺の後にヨアンも馬車の外から手を伸ばし、同じように頭を撫でる。
わしゃわしゃと俺が髪をかき混ぜたせいで逆撫でられたセドリックの金髪を、ヨアンが最後に元どおりに整えるようにして手の平で撫でた。
「これで少しはマナーや教養を学ぶ気になれたかな?」
「それとこれとは話が別だ。」
柔らかい物言いを一刀両断するように放つセドリックに、ヨアンが無言でセドリックの髪を再びぐしゃぐしゃに掻き回した。「兄さんまで何をするんだ!」と喚くセドリックに、ヨアンは「マナーと教養は身に付けておいても誰も困らないよ」と返した。むしろ、身につけておかねば困ることばかりなのだが…ヨアンの物言いはセドリックに対しては特に柔らかい。だがそれでもセドリックは首を縦には振らなかった。
「じゃあ、また次も楽しみにしているよ。」
「ああ。…おやすみ、兄さん。」
今日は色々助かった、と俺からも礼を告げて挨拶を終えた後、とうとう馬車の扉が閉められた。緩やかに馬車が揺れ始め、横目で機嫌の良さそうなセドリックを見る。
鼻歌交じりに外を眺め、楽しそうな笑みがそのまま窓に反射して映っていた。
「…なぁ、兄貴。」
馬車が揺れて暫くしてから、セドリックが口を開く。どうした、と聞き返すと俺の方に真っ直ぐと顔を向け、今までになく力強く笑ってみせてきた。
「俺はどうやらこのままでも充分価値があるらしい。」
ニヤリ、と笑う陰りの無い笑みに、何故だか俺は安堵よりも妙な不安が募った。どういう意味だ、と問いたが答えは返ってこなかった。
この日の社交界デビューをきっかけに、己が容姿の良さを自覚してしまったセドリックは、数々の社交界のパーティーや城下の視察で女性を中心とした多くの民を沸かせるようになる。
更には無駄に着飾り、女性への甘い言動が改善どころか拍車が掛かってしまうようになるのもこの時からだった。
それから七年。
俺とヨアンは急激に謎の暴走を遂げたセドリックに今まで以上に手を焼くようになる。