こどもにはちまき
その森ではフジの木が紫色のたくさんの花を垂らしていた。
木の根元に小さなタヌキくんと、頭に王冠のようなものを乗せた白いおサルさんがいる。
二人の間にあるお皿には、三角形の包が乗っている。
皿の横には湯気のあがる湯呑も置かれていた。
「んとね。白猿さん。五月五日は『こどもの日』だよね」
「こどもの日は日本の祝日だな。子狸くん。これは男の子も女の子も含めて、子供の人権を尊重することと、母親にも感謝するという日なんだ」
「ぼく、男の子の日だと思ってたの」
「祝日としての『こどもの日』と、男子の成長を祝う『端午の節句』は別の行事だぜ。まぁ、祝日は端午の節句に合わせて決められただろうけどね」
「んとね。こどもの日はこいのぼりや五月人形が飾られるの。あと、『ちまき』を食べると思うんだけど。地域によっては白いやつじゃなくて中華ちまきを食べるところもあるみたいなの」
「白いちまきは西日本で普及しているようだな。そもそも、ちまきは中国が発祥なんだ」
「そうなんだ。もしかして、中国では茶色の中華ちまきなのかな」
「中国のちまきでも、今の中華ちまきに似た茶色のものと、白いモチのがあるぜ。奈良時代に日本に入ってきて、白い方が西日本で普及した。東日本ではちまきじあまり普及せず、端午の節句で柏餅や笹ダンゴが食べられた。場所によって中華ちまきやそれに似た食べ物が食されているぜ」
「中華ちまきでも間違ってないんだね」