原子炉錬金術の命
初めて書きました。
原子炉錬金術、それは簡単に言えば原子炉を使い元素を変換する、いわゆる「錬金術」。
俺はこの錬金術を体内で行うことができる一人だ。この錬金術は水銀やウランなどの有害物質を使用するため、俺の体は丈夫にできている。
―そう、鋼のようにね。
そんなこと言ったって、まだまだ未熟な俺はこの仕組みについてよくわかっていない。
俺の家系は代々錬金術師だ。錬金術についても、人生についてもよく知っているじいちゃんがいる。
家に着く、靴を脱ぐ、靴をそろえて、廊下を歩いて、扉を開ける...じいちゃんがベットに横たわっている。
「じいちゃん、錬金術について詳しく教えてよ。」俺は勢いよく質問をぶつける。
話は小一時間続いた。
錬金術師は長生きをする。そして錬金に失敗すると代償がつく。そして、じいちゃんは世界の終わりを見た。
そんなことを語った。じいちゃんも現役を引退した。錬金術は体力を消耗する。今のじいちゃんにできることなのか、はたまたできないことなのか。
そんなことはどうでもいい。今はただ、もう少ない命を生きているじいちゃんの体温を感じているだけでいい。
「俺、じいちゃんの意思を継ぐよ。」じいちゃんはにっこり笑った。それからじいちゃんの体温はもう、上がることはなかった。
国にとって俺たちは重要な存在だ。長生きしてくれるだけじゃなく、比較的安価な水銀が錬金術で金に変わるというのだから。
でもその分厳しかった。何に対しても。
俺たちがこの国にいる以上、ほかの国はこの国に攻撃はしない。その国が破滅するから。
”錬金術”は世界を変える力を持ってる。ふと思った。もし俺たちが、なんでもできる俺たちが世界を壊そうとしたら?世界の頂点に立とうとしたら?
苦しい顔が脳裏によぎる。
俺はひたすら一人前の錬金術師になるために修行した。血反吐をはいて、努力をして。
五年の月日が経った。
国の重要な資金源である親を殺した。
戦争が終わるまで俺は隠れる選択をした。
武器を失ったこの国は格好の餌食だ。各国が領土を狙い戦う。それは世界大戦にまで発展した。核爆弾が使用された。もう跡形もない。戦争というものは急速に文明を発達させることができる。新しいテクノロジー...いや、殺人兵器が発明された。
何百年と月日が経ち、戦争は再び深い眠りについた。この眠りから覚ましたのは俺だがな。
―もう感情は捨てた。この世界で生きるのは俺だ。
ありがとうございました