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込められた想いは
「彩」彩りある人生を。
それが、私の名前に込められた想いだ。両親が私を想い付けてくれた、分不相応な名前だ。
私が三歳のとき、父が交通事故で死んだ。職場に向かう途中でトラックと衝突したのだ。即死だった。それから、母は心身ともに衰弱し、私が四歳のときに父の後を追うように亡くなった。
両親を亡くした私の家にはたくさんの人が来た。私に慰めの声をかける者、これからのことを話し合う者、不躾にも遺産の話を持ち出す者。当時の私には理解出来ない話もあった。結局遺産は私が相続し、私自身は親戚筋に養子に出されることとなった。
そして、比較的裕福な老夫婦に引き取られて十一年の月日が経った。