Op.7『ワイの能力』……
一時間後。
私とミカンは、本日二度目の両者相討ちによる気絶から同時に目覚めた。
私は自分の左頬を押さえながら自分のベッドの上に戻り、ミカンも自分の左頬を押さえながら床の上に胡座をかく。
左頬を押さえながら、私を諭すような口調でミカンが言った。
「……そない『自分のスタンド』のことポンポン叩くもんやないで?人を叩くと自分にもいずれ『痛み』が返ってくるもんやで?物理的に」
度重なる二度の打撃で左顔面の黄色い皮がポッコリ腫れ上がっているミカンは、痛む箇所を黄色い手のひらで擦りながら私に言った。その腫れ上がった黄色い頬は、ミカンというよりも『デコポン』のようになっている。
「……自分のスタンドじゃねえわ」
左頬をさすりながら私は言う。
『ムーディー・B』並の破壊力しか持たないミカンのヘナチョコパンチは全然効かなかったけど、ボクシング部員で子供の頃から空手を習っていた私の『打ち下ろしの右』はかなり効いた。……私の右ってこんな痛いんだ。最近部活で伸び悩んでたけどちょっと自信出たかも。
自分の左頬を手のひらで撫でながらエヘヘ…と微笑む私を真剣な表情でじっ…と見て、ミカンが言った。
「……オマエ、なんぞ『悩み』あるんと違うか?ワイ聞くで」
温かい目をしてそう言いながら、ヴンッ…という音とともに黄色い右手の中に『ポンジュースの瓶』を出現させるミカン。
……聞きたいことが渋滞してきた。
しかし、ミカンに色々ツッコんでたら実際キリがない。私は一つ一つ頭の中で整理しながらミカンに言った。
「……まず私に『悩み』なんてない。強いて言えば『アンタが部屋にいる』ことが悩みかな。それと、『ポンジュース』どっから出したの?」
……コレ?という顔で右手の中の『ポンジュースの瓶』を左手で指さして私の方を見るミカン。
黙って頷く私。
「……こんなんも出来るで」
そう言ってミカンはポンジュースの瓶を床に置き、腕組みをしてムンッ…!と気合を入れる。
すると、ミカンの頭の天辺にある緑色の『ヘタ』がくるくると回転し始めた。ミカンは息を止めて少し苦しそうな表情をしている。
どうやら、『ミカンが息を止めている間だけ』頭のヘタをくるくると回転させることができるらしい。
……『意味』は?
「……どやぁ!こんなん誰にでもできへんで!」
明るいドヤ顔で言うミカン。
どうやら、『エアロスミス』のプロペラについての記憶はすっぽり抜け落ちているらしい。
つまり、『右手からポンジュースを出せる』ことと、『腕組みをして息を止めてる間だけ頭の上のヘタをくるくる回せる』ことがミカンの『能力』であり『才能』であるらしい。
……はぁ!?いらねぇえ!!!
………
昨日、久しぶりに『ポンジュース』飲みました。
「こんな味だったっけな?」って思いました。
『ばらの花』みたい。