Op.5『「スタンド」や。おまえの』……
両者相討ちした私とミカンは、それぞれベッドの上と床の上に正座して二人とも頬っぺたの同じところをさすっている。いやミカンだから一人じゃなくて『一個』、かな?
……分かんないもう。
私は目の前で、初対面の人蹴るヤツがいますかいなホンマに…とグチグチ文句言いながら黄色くてブツブツの頬っぺたを抑えるミカンに対し根源的な『問』を発する。
「アンタ、一体『なん』なの?」
「……ワイ?ワイは、あの……アレやアレ。…アレ。……『スタンド』や。おまえの」
ミカンは『スタンド』という単語をなぜか言いにくそうに自分の黄色い口元に片手を添えながら小声で発した後、辺りをキョロキョロと伺う。そして私に向かって「……一応念の為『作品名』は言なや。……おこられるで多分知らんけど」と、より一層小声で話しながら分厚くて黄色い唇に人差し指の指先を当てて私にウィンクするミカン。
……ウィンク妙に上手いのが逆にハラ立つ。
「……は?」
「スタンド!……もぉっ!スタンドやぁ、おまえのぉ!」
もう!かなんなぁ…と何故か照れながら黄色い頭の後ろを緑色の爪でかくミカン。そして、頭をかいた時に大きな黄色い頭を後ろに反らせたことでお尻の穴が緩んだらしく、ミカンは『ブッ!』と大きなオナラをこいた。スマンスマン!と慌てながら右手で空間を仰ぐミカン。
仰いだことで逆に空気中にミカンのオナラ臭が拡散され、私の部屋が『おじさんのオナラのニオイ』に包まれる。
そのニオイを嗅いだ私は、思わずミカンに対して激昂した。
「んなわけあるか!?ボケェ!!」
「……そない言われたかて!!ワイおまえの『能力』やで!?『才能』やねんで!?」
自分で自分の黄色くてブツブツの胸を両手で触りながら私に必死でアピールするミカン改め、黄色いおっさん。
……まだ部屋がおっさんのオナラ臭い。
窓を開けようか、いや……。
『女子高生の私』がこんな黄色いおっさんを『親の居ぬ間に』自分の部屋に上げたことが万が一にもご近所さんに知られたりしたら……!!
私の内面の葛藤をよそにミカンは自分勝手に一人で喋り続ける。
「……ま、彩ノが信じられんのもムリないか。……『初めて』やものな。まあ徐々に慣れてや」
『ジョジョに』ってこれシャレちゃうで!…と笑いながらミカンが足を崩して床の上に胡座をかく。『……よっこい庄一』と言いながら、動作を何段階にも分けて腰への負担を最小限にしたその座り方は、間違いなく『おじさんの座り方』だ。
なんで、ピチピチ女子高生の私のスタンドが『おじさん』なのだ!
……中身がおじさんだから?やかましわ!
………