表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

Op.10『今は、これが精一杯』……

 翌朝。


 学校に行く道の途中、私は前を歩く『敦くんの背中』に気付いた。


 朝の通学路は、同じような黒い学生服の後ろ姿が溢れているというのに、敦くんの背中には私はすぐ気が付く。……どうしてだろう。


 声をかけようかどうしようか迷っていると、敦くんの方がすぐ後ろを歩いている私に気付き、挨拶してきた。


「オス彩ノ」

「……おはよう敦くん。ていうか、なんで分かったの?」

「……なにが?」

「なんでもない別に」

「……なんかオレ、『皆の中でお前のことだけ』分かるんだよな昔から。『オレのスタンド能力』なのかも」

「……いや、普通にキモいって!」

「そうか?……そうだな、キモいよな普通に。でも仕方ないじゃん分かるんだから」

「……昨日『牛人』読んだよ。でも私は『悟浄出世』の方が好き」

「そうか、オレも好きだな」

「うん。好き」


 それからしばらく。

 私と敦くんは二人共黙ったままで並んで歩いた。

 まっすぐ前を向いたままで、私は敦くんの顔を見ずに歩く。

 ……見えないけど、多分敦くんもそうしているのが何故か私には分かる。


 私達は黙ったままで、もうすぐ学校の正門に辿り着く。二人だけの時間がもうすぐ終わる。


 でも、

 なんか知らないけど。


 ……私は、『もう大丈夫』。



………

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ