(4)
「あのレティーシア様・・・?」
恐る恐ると言う様子でかけられた声は、今たぶん一番会いたくない人のものだった。
レティーシアはうずくまったまま、くぐもった声で拒絶を示した。
「出ていって」
「・・・申し訳ありません」
いつも元気なシンファの瞳が曇ったのは容易に想像がついた。
それにもまた、レティーシアは胸を痛める。
「あの、でも・・・」
「出ていってと言ったのが聞こえなかった?」
けれど出てくるのは冷たい言葉ばかりだ。
自己嫌悪がひどくて、もっと吐き気がしてきた。
「あの、あの・・・でもどうしても・・・」
「出て行って!」
金切り声をレティーシアは上げた。
八つ当たりと分かっているのに言葉が止まらない。
「も、申し訳ありません!」
シンファが涙を溜めて踵を返した。
後悔しかない。
それなのにレティーシアは謝る術を忘れてしまったかのようだった。
出て行きたい。
自由でありたい。
対等でありたい。
心の奥底が冷え冷えとする。
(やっぱり私は壊れてしまっていたのだろうか。間違った選択をしたんだろうか)
あのとき、許すと言ったことが間違いだったのか。
痛々しいあの彼を放り出せないと思ったのはもうおかしくなっていたからなのか。
アーヴが正しかったのか。
あのとき、彼の言葉に従って離れていたらこんなにも苦しくならなかっただろうか。
(わからない)
閉じ込められてこんなに不利益を受けて辛いから特別だと思わないとやってられないのか。
傷ついたプライドがそれだけを求めているのか。
(・・・わかりたくもない)
いずれにせよ自分のことしか考えていない傲慢な思いでしかないことに、やはりレティーシアは傷ついた。
誰かを思えていたはずの自分はどこに行ってしまったのだろうか。
ライザックを許すと決めたその時は確かに彼とわかりあえたような、不思議に温かな気持ちだったはずなのに、もうその温かさは思い出せない。
***
昼食を運んできたのはシンファだった。
気まずいだろうにめげない彼女の献身に、時間を置いたこともあってレティーシアの冷静な部分が戻ってきていた。
「レティーシア様、あの」
「シンファ、ごめんなさいね。八つ当たりしたわ」
とても淑女といえない不恰好な微笑みだったと思うがレティーシアはどうにか笑った。
「いえ、あの。私が、お気に召さないことを・・・」
「いいえ、違うわ。私が傲慢だったの」
「ご、ごうまん?」
シンファが目を白黒させている。
頭の中にぐるぐると渦巻いていたものも、言葉にすればすんなりと胸の中で消化できた。
消化というよりも、あきらめだ。
「私が余分なことを考えたからいけなかったの」
「よぶんな、こと、ですか?」
「ええ、何も考えなければよかったのに。受け入れていればそれでよかったの。それをいろいろと・・・なぜ自分のすることが、思うことが正しいだなんてなんで思ったのかしら。別の人間なのに」
「レティーシア様?」
「シンファに迷惑をかけるつもりじゃなかったの」
「め、迷惑だなど・・・あの、お話が、よくわからず・・・申し訳ありません、私、ばかだから」
困惑しきりの年若い侍女に、レティーシアはため息をついた。
こんな子供にもよくも嫉妬し、当たったものだと今更ながらに思う。
「シンファ、ごめんなさい」
「いいいえ!あの!私、本当にそんなことを言われることされていないです!どうしたのですか、レティーシア様?」
レティーシアは純粋に見つめるシンファの茶色の瞳から逃げるようにうつむいた。
「私、駄目なのよ。もうわからない。何も考えたくない。もう疲れてしまったの。考えが通じない人のこと考えるのはもう無理だわ」
「あっ、レティーシア様・・・!あの、ライザック様はっ!」
「ふふ、シンファはライの行動がよくわかるのね。でも私にはわからないわ。もうわかりたくもないって思わされたの」
「レティーシア様!申し訳ありません!でもライザック様の話も聞いて・・・」
「話?話なんてしないじゃない。聞いてくれもしないじゃない」
「・・・」
「ああ、ごめんなさい。シンファを責めているわけじゃなくて」
悲しそうな、泣きそうな顔をするシンファに、レティーシアも釣られて表情を歪めた。
彼女はライザックのことをよくわかってそして慮ってあげているんだな、と思い至り、ますます自己の価値がぼろぼろと失われていく。
ひどく力が抜け、投げやりな思いが強くなった。
一人でずっと同じ思考をぐるぐるとしていたものが、ほろりほろりと弱音となって自然と溢れてきた。
「どうせ、私は何も分かってないもの。分からないもの。話し合いにすらならない。かといって、シンファのように、彼の考えていること、ちっともわからないの。それなら、私じゃなくて、シンファがいればいいじゃないのかしら。別に私なんかいなくたって・・・私にこだわらなくたって・・・」
「何を言っているんですか?!違います!レティーシア様じゃなければ、駄目なんです!」
シンファが、レティーシアの苦しそうな声に突然大声を上げた。
その勢いに、はっとレティーシアは一度口を閉じる。
シンファは今にも泣き出しそうな顔をして、僭越ながらと続けた。
「ライザック様は、レティーシア様のことだけをとても大切に思っていらっしゃるのです。レティーシア様が何を誤解されているのかわかりませんが、私なぞではおそばにいることはできません。そんな、当たり前のことをなぜレティーシア様がおっしゃられるのかわからないです」
「誤解、って・・・でも、シンファはずっと彼のことを知っているし、私は、そんなことはないし」
「私などとレティーシア様を同列に比較することそのものがあり得ません!人間と虫けらを比べますか?!」
あまりにもきっぱりとした口調にレティーシアはなんと返していいか咄嗟にわからなくなった。
一方でシンファの口調に一切の揺らぎはない。
「ライザック様は、私を拾ってくださってからも、一度も感情の起伏をお見せにならない方でした。いつもお屋敷では退屈そうにしていらっしゃって、何にもご興味が無い様子で・・・。お声を聞くことなんて全くなくて、誰かに視線を向けることもなくて、ずっと一人でいらっしゃいました。正直誰かに怒ったことすら見たことがありませんでした。けれど、レティーシア様がおそばにいるようになってからは・・・全然違うんです。それは苛立っていることも、考え込むこともたくさんおありでしたし、正直後悔しているんだろう、困っているんだろうと思うこともありました。そのうえ、私たちにレティーシア様の様子を聞かれたり、レティーシア様が穏やかな様子の時はほんの少しでも嬉しそうにしていらっしゃることもあるようになったんです。そういうのって分かるんです。何も感じていないライザック様をずっとみてきたから!レティーシア様に関してだけは、戸惑ったり、苛立ったり、喜んだり・・・ライザック様が人間らしいって初めて感じられているんです!」
だから、自分がどうとかなんて何一つ関係ないとシンファは言い募った。
「レティーシア様だけなのです。ライザック様が・・・あんな風に変わったのは、レティーシア様がいたからなんです。だから・・・必要ないなんて言わないでください。どうか、ライザック様のおそばにいてください・・・お願いします。私が気に入らないのならもうお目通りいたしませんから。でもライザック様のことだけは許してください。どうか、どうか・・・」
必死な様子のシンファを見ているうちに、レティーシアは何と返すべきか悩み、何度か唇を湿らせ、そしてようやくポツリと本音をこぼした。
「でも・・・私は、ライをわかってあげられない・・・」
「レティーシア様?」
「いつも、彼を傷つけてばかりで・・・どうしたらいいのかわからない。シンファのように、彼の感情の起伏はわかってあげられない。私の前では・・・ライはちっとも笑ってくれない」
「そんなことありません!ライザック様はレティーシア様が嬉しそうにしていると、それは幸せそうで・・・。あ、でも、笑ったりとかはしないですよ!ライザック様が笑ったところなんて私も見たことはないです!」
「嘘」
「え、うそって・・・?」
戸惑うシンファにレテは暗い瞳を向けた。
「今朝、笑っていたよ。ライ」
「え?」
「ごめんね。見ちゃったの。中庭でシンファが花をあげたら、ライは笑ったでしょう?」
「・・・今朝?あっ」
思い至ったかのように、シンファは目を見開いた。
ふっとレティーシアはあきらめたかのように吐息をつく。
「だから私はもう・・・」
「違います!違うんです!あれはレティーシア様のことを話していたから!だいたいあれって笑ったっていうレベルじゃやくないですか?!」
「え?」
だが、シンファが慌てたように必死で首を振るので、今度はレティーシアがきょとんとする番だった。
「私、本当はそのことを伝えたくて来たんです」
「何を・・・?」
シンファは昼食のワゴンと一緒に乗っていた花瓶を差し出した。
「これをレティーシア様に、って」
「・・・え?」
それはシンファが朝摘んでいた花たちだった。よくよく考えればレティーシアが好きなピンクの大ぶりの花だ。
彼女がライザックに渡して、彼が受け取らず、またシンファの手の中に戻ってきていたもの。
「ライザック様がレティーシア様にひどいことをしてしまったから、謝りたいって・・・」
「え、あやまる?」
「はい。それで私はレティーシア様付きなので、何かレティーシア様の好みそうなものを知らないかって尋ねられたんです。チョコレート以外でって。正直に言ってそんなこと聞かれたのは初めてで驚いたのですが、レティーシア様はこのお花をお好みのようでしたから、朝に摘んでお渡しすればよいのではと僭越ながら助言させていただいたのです」
レティーシアは目を見開いた。
では、二人で話をしていたのはレティーシアのためだったと言うのだろうか。
「けれど実際切り株をお渡ししたら、自分の柄じゃないとおっしゃって。結局、私が渡せと仰せつかったのです。自分はまた、何か違うものを考えるからと」
シンファはそのとき、「ライ様のお気持ちが伝わればレテ様はお優しい方ですからきっと許していただけますよ」と言ったそうだ。
それにライザックが「そうだといい」と答えたと。
「その時に確かに表情が緩んだなあとは思いましたけど。笑ったとは思いませんでした。レティーシア様はあれを部屋から見られていたということですよね?それで笑ったと評価なされるのは、それがわかるのは、凄いですね」
「すごい・・・?」
「だって私はあれが笑ったお顔だと認識すらできませんでしたし、つまり、レティーシア様には笑われるということですよね?だから凄いなと。そもそも、ライザック様が笑うことができるなんて知りませんでした。そもそも、あれが笑って、微笑まれたのだと評価するとしても、レティーシア様のことを考えていたからで・・・私に微笑まれたわけではありません。ライザック様にとって私なんて壁だか石ころ・・・いえ、最近はレティーシア様といることを認識していらっしゃるのでもう少し人間に近いのかもしれませんが、でもそんな何かの価値のある人間ではありませんから」
とんでもない言われ方である。
侍女に自分は無機物と思わせるというのは一体どう言う扱いなのか。
レティーシアはふとそっちの方が気になってしまった。
「ええと、シンファは、ライに不当な扱いされていたの?」
「ええっ?!違いますよ!ライザック様は他の貴族のように食費がかかる穀潰しとか家畜の方がマシだとか私たちに当たりませんし!ちゃんとした寝食を与えてくださってお優しい方です!酷いこともしません!」
「ても、壁とか石とか」
「あっ、それは単に興味がないからです。ライザック様は誰にも興味がないので。最低限偉い人のことは覚えているみたいですが、興味はないと思います。いつも舌打ちしてて、嫌いそうですし。ライザック様はレティーシア様にしかまともに興味はない、あ、興味っていうか、えーと、好意ですかね」
「好意・・・」
「・・・申し訳ありません、レティーシア様にとってはひどい話なんでしょうが、でも」
シンファはことん。と枕元に花瓶を置いた。
「先程から何度も申し上げているとおり、ライザック様にとって大切なのはレティーシア様だけなのてす」
本当は自分のことはいわずに飾っておけ、といわれたが、結局朝に喧嘩別れのようになっていたのでどうしても彼の気持ちを伝えたかったのだ、とシンファは言った。
思わぬことにレティーシアはしばらく言葉を失っていた。
「ライザック様がレティーシア様にしたことは私も・・・よくないとは思います。レティーシア様がお怒りになるのも当然でしょう。けれど、それを悔いても、謝罪しようとするなんてことはいままでのライザック様には考えられなかった。レティーシア様といるうちにライザック様も変わってきたと思うのです。ですから、どうかもう少しだけ待っていてくださいませんか」
シンファは頭を下げた。
絨毯に蹲り、額を下に付けてまで。
「シンファ?」
「私なんかがこんなことを言うのは差し出がましいことは承知しています。申し訳ありません。でも、でもっ、ライザック様は・・・不幸な方なのです。けれど、ようやく、ようやく人並みの安息を手に入れられたと、私たちは喜んでいるのです。私たちは皆、ライザック様に恩があります。お願いです、レティーシア様。どうか、ライザック様を許してあげてください。またライザック様を孤独にしないでください・・・お願いします」
「・・・私は・・・」
レティーシアはなんと答えて良いのかわからなかった。
口ごもったため、シンファは悲しそうな瞳を向ける。
「駄目、でしょうか?何をしたら許そうと少しは思えますでしょうか?きっとライザック様はそれをしようとすると思います。レティーシア様のためなら・・・」
「私のためなら・・・?」
「はい!無理難題でも力づくで叶える方ですから!こちらに来てからもレティーシア様のためにめちゃくちゃ・・・あ」
「めちゃくちゃ?」
「あ、い、いえ・・・その、えっと、皇帝陛下を脅したとかそんな噂が軍部で。噂ですよ!」
シンファが顔の前で慌ててパタパタと手を振った。
レティーシアが怯えたらいけないと思っているのが丸わかりだ。けれど彼女はかえってポロポロとレティーシアの知らないことをこぼしていく。
「あの、レティーシア様が従弟の君のことを気にされていたり、クリデミアのことを大切に思っているので元に戻してあげようとしたりとか、結構性急にいろんな無茶を押しとおしていて。そんなことが許されるのって陛下の差配があってのことなので」
「・・・そんな」
「でもライザック様は陛下のことは信用しているみたいですし、陛下もライザック様のことは重用しているのですよ。元々継承権は第二順位だった陛下が御即位されるにあたってはライザック様がかなりかかわっていると聞きましたし、だからこそ御即位と同時に将軍になられたと」
それは皇帝陛下の側近レベルなのでは、とレティーシアは目を丸くする。
そんな状況を全部捨ててこの国に来たと言うのか。
彼が言うには、レティーシアを殺させないために。
そしてシンファが言うことが本当なら、レティーシアが望んだことを叶えるために、ずっと無理を押し通していると。
「本当に、私の・・・私のために?」
「はい!ライザック様がレティーシア様以外の他の人のために何かをするはずがないので!それに自分のためにだって何もするわけがないんです。それくらいわかりやすいです、ライザック様は」
レティーシアは混乱した。
だったら、自分の勘違いでしかなかったということか。
彼が他の人を受け入れているとそう思い込んで、苛つく必要などなかったのか。
彼の行動は全てレティーシアのためで、レティーシアが怯えたから困ってしまったのに、レティーシアが他の人と話をしたからいつものように怒ってしまって、それを彼は謝ろうとしてくれて、でもレティーシアが頑なに受け入れずに詰ったから・・・。
レティーシアは顔に熱が集まるのを感じた。
「レティーシア様?」
「あ、わ、私・・・なんてこと」
赤くなっているであろう頬を押さえ、レティーシアは俯く。
ライザックを傷つけていいだなんてなぜ思ったのだろうか。
ぶつけた言葉を思い出してひどく後悔する。
「レティーシア様、やはり、あの、まだお怒りですか?」
この状態でなぜ怒っていると思うのだろう、と疑問だったが、悲しそうなシンファに、言葉にしなければわからないとレティーシアは口を開いた。
「違うわ。そうじゃなくて。そうじゃなくて、むしろ私、恥ずかしくて。つまらないことでライに対して苛ついていたし、あなたにもライが笑いかけるのだとやつあたりをした。そんなどうしようもない人間だと・・・」
「レティーシア様はどうしようもない方なんかではありません!とてもお優しい、素敵なお方です。他の誰かのために気高くおられて、ライザック様に対しても真摯に向き合ってくださった。ライザック様を分かって差し上げることができるのは、レティーシア様だけです。そもそもライザック様はレティーシア様しか必要とされていませんので。やり方が良くないと私も本当はそう思うのですが・・・」
シンファがよくないこと、と繰り返しもどかしそうに言う。
彼女は普通の感覚を持っているからこそ、ライザックが一方的に閉じ込めるという方法を厭って、レティーシアに肩入れしてくれ続けているのだろう。
レティーシアがライザックを憎み続けないように、ライザックのために。
その献身にちりりと焦燥が浮かんで、そのことに、レティーシアは自嘲した。
彼を分かろうとする人間がいることはとてもいいことのはずなのに、やはり自分は偽善者だ、と。
「また話を聞いてくれないことは怒っていたけれど、ライがそれを謝ってくれようとしていたのなら、ひどいことを言ったのは私の方だから、今度は私がライに謝らなくちゃいけないわね」
「レティーシア様・・・!」
許す、と同義の言葉を伝えたレティーシアに、ぱっとシンファが瞳を輝かせた。
「ありがとうございます!」
なぜシンファがそんなにも彼を肩をもつ割にレティーシアを責めずに彼を受け入れてほしいと依頼するのか、その真意は付き合いの浅いレティーシアにはよくわからない。
けれど、自分の愚かしさを再び認識した。
何を焦っていたのだろう。
まだ、ライザックとまともな言葉をかわすようになってから一月も経っていないのに。
わからないことがあって当然で、お互いに今までの関係を超えるにはまだ時間が必要で。
時間はまだこれからたくさんあるのだから、少しずつわかればいい。
それだけのことを理解するのに、どうしてこんなに遠回りをしたのか・・・自分が恥ずかしかった。
けれど、ひとつだけはっきりと分かったことがある。
(私は・・・こんなに周りがみえなくなるくらい、彼にこだわっているのね)
許すとか許さないとかのレベルでなく。不幸だった彼への同情だけでもなく。
自分だけにしてほしいと嫉妬するくらいの気持ちを持つのだと。
(もしかして、私は・・・彼のことを特別だと、そのつまり・・・)
もしかして好き、なのだろうか。
そう考えると唐突に心がすとんと落ちた。
ずっとずっと怖かっただけのライザックの執着の意味が、その感情が、少し理解できた気がした。
そばにいてほしい。他の誰を見てほしくない。
それを実行されたらたまったものではないと身をもって知っているし、やりすぎとも思うけれど。
でも"好きだから"そんな苦しい気持ちを抱えるものなのだと。
「レティーシア様?」
突然首まで真っ赤になって両手に顔を埋めているレティーシアに、シンファがとまどった様子で声をかけてくる。
だが、レティーシアが自覚したばかりの心を伝える先は彼であるべきだ。
「ゆ、許してくれるかしら?」
「?許すのはレティーシアでは?」
「そう、思っていたのだけれど・・・」
今は彼が許してくれるかわからなくて怖い。
嫌いと言ってしまって、もういいと思われていないかが怖い。
でも、逃げても仕方がない。傷つけたのはレティーシアだ。
自分の考えていたことをぶつけて、本音で謝ろう。
許してくれるまで、謝り続けよう。
そう決心が付けば、今まで悩んでいたのが嘘のように心が晴れた。
第三者がいないと話が進まないくらい交流不足な二人です。主にライザックのせい。レティーシアは基本素直なので。




