最悪の事態
ヘルの出した黒いオーラはその絶大な威力だけでは無く相手を恐怖に陥れる効力があった。
そうでなくても、ヘルの殺気のこもったしわくちゃの顔は亡霊のようにも見え、例え成人の男性でも見た時には恐ろしくてビビってしまう。
シャムもヘルの殺気に満ちた老人の顔を見るとすくんで動けなくなっていた。
「うぅ…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!」
勇敢な美少女のノフィナも黒いオーラにやられて怯みだした。
自分がヘルの家族の命を奪ってしまったと言う罪悪感も手伝って…。
それを好機と見たヘルはその場でノフィナを捕らえる。
ガシリとノフィナの細腕にヘルの手が掴まれる。
「フフフ捕まえたぞ小娘!!」
ヘルはノフィナの手首を思いきり掴み、ノフィナは絶望と恐怖の表情となり冷や汗がドバドバと出る。
「の、ノフィン動いて!!」
「無駄だ!そいつは儂が眠らせた!!」
非力化され動けない状態のノフィナはノフィンに救いを求めるもヘルは特殊な魔法でノフィンを動けなくさせていた。
「お前は儂に恥をかかせた…覚悟は出来ているんだろうな?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
ヘルは不気味な目線をノフィナに向け、その闇に覆われたしわくちゃの顔で睨みつける。
ノフィナは恐怖で動けなくなっていて、先程までの激しい攻撃は出来なくなっていた。
ただ、アワアワと表情を恐怖色で染め上げ、平謝りするしかないのだ。
「いいや許さんぞ貴様はこれからたっぷりと生き地獄を味合わせてやる!」
そしてヘルはノフィナを掴んだままテレポートした。
「ノフィナちゃん!」
シャムは駆けつけようとするが間に合わずヘルとラナエは彼女の前から姿を消してしまった。
「こうしちゃいられない…でもどうすれば…」
シャムは慌て出す。
しかし彼女一人では何も解決策が浮かばない。
更に更に、更なる危機がシャムに襲いかかろうとしていた。
ーーー
「ユグドスラッシュ!!」
「ミケネスコール!!」
「フレアーストーム!!」
「ホーリーブレス!!」
4つの閃光がフィールド全体を飛び交い、モンスターは阿鼻叫喚の呻き声をあげて地に沈む。
ズバズバズバン!!!
ユグド達は各必殺技を炸裂させ、数百体もの襲いかかる魔物達をなんとか全滅させる。
「ハァハァ…やっと片付いた…」
「それよりもヘルを早く追いかけないと!!」
「そうだにゃん!その前にもう一度百壱五を食すにゃん!」
「そしてそして、私の回復魔法を!」
パーティーはフレナの回復魔法とミケーネの百壱五で体力と集中力を全快させた後、扉の更に奥に逃げているだろうヘルを追いかけた。
ガツガツガツ!!
静寂の中パーティーの足音が響く。
そしてそして、パーティーは最も絶望的な状況を目にするのだ。
走り続けるとヘルがいた。
「はっはっは!よくぞ魔物地獄を潜り抜けた!しかし、本当の地獄はこれからだ!!!」
そしてヘルの隣には大きな台に拘束されている状態のノフィナが。
「ノフィナ!なんでこんな所に!!」
「ユグドさん!ごめんなさいっ!」
ノフィナは半泣きになっている。それを見たユグドは激しい怒りをヘルに向けた。
「ヘル…貴様!」
「フフフだが貴様はこの儂を傷つける事は出来んわ!!」
「うるさいっ!でやあ!!」
ユグドがヘルに斬りにかかる。
ヘルは指を寄せる。
するとノフィナがユグドの目前に飛ばされた。
「いやああぁやめてえええぇ!!」
目前に剣が振り下ろされ危険本能のみで悲鳴をあげるノフィナ。
ユグドは攻撃を止めてしまう。
流石にノフィナを傷つける事は出来ないユグド。
一方ノフィナは心臓をバクバクさせて小動物のように震えるばかりだった。
とそんな時、光球がユグドに飛ばされ、ユグドはそれに巻き込まれて吹き飛ばされた。
「ユグド様!大丈夫ですかにゃん!?」
「くっ、ヘル…卑怯だぞ!」
ミケーネに駆け寄られるもユグドは鋭い目線をヘルに向けて放つ。
「何とでも言え!勝つ為なら手段は選ばん!!」
「女の子を傷つけない為にはあれしかないにゃん!」
ミケーネはそこで、板挟み作戦に出ようとした。
「ユグド様!こうなったら板挟み作戦にゃん!!」
「っ!そうか!!」
そして、ユグドとミケーネはヘルを囲んで攻撃を仕掛けようとした。
「そう来るか、ならこれはどうかな??」
ヘルは幻覚魔法をかける。
するとユグドとミケーネの目に怯えるノフィナが映された。
「くっどうすれば良いんだ…!」
「なんて事だにゃん…!」
攻撃に戸惑う二人。
そしてそして、ヘルの爆破魔法がユグド達に飛ばされる。
「ぐわああああぁ!!!」
「きゃああああぁ!!!」
パーティーの断末魔が爆破音によってかき消される。
「ユグドさん!皆さん!!!」
ノフィナが大粒の涙を流し悲鳴を上げる。
「ふははは…ふはははははは!!!」
ヘルは狂ったように笑い声をあげた。
パーティーは今まさに絶望に瀕していた。




