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ノフィナの冒険  作者: 葵ウォーリア
第2章
32/38

ノフィナの祈り

「中は文字通りの迷宮ね……」

ノフィナ達はライトをつけてダンジョンの中を進む。


ノフィナ達の足音と声以外は特に何も聞こえていない。


それだけにこれらの響く音は大きく感じる。


そして周りは埃や蜘蛛の巣を被った店の残骸とか、施設の残骸が至る所に転がっている。


辺りは散らかり放題で、かつては繁栄していただろうと思わせる事が出来た。


しかしそれがかえって悲壮感を強くさせる。

何故ならコロナの伝染病とゾンビ化のパンデミックによって滅んでしまった残骸だからだ。


それで、何人かの好奇心溢れる若者が動画を撮りに挑んだ事もあったが帰って来た者は誰もいないと言う。


そしてその理由わけも、後からわかる事になるのだが。


ドドドド……ドドドド………。


ノフィナ達がタリアとシャムの元へ足を進ませている時の事だった。


微かな地鳴りと物音、そしてそして、何か不気味な呻き声がノフィナ達の耳に入ったのだ。


『うっ!この臭い臭いは……!』

ワイマが臭いにもがき出した。


「臭い?臭いなんてしないけど…」

しかしノフィナもその臭いに苦しむ事になる。


ドドドドドド!!!

地鳴りが大きくなってきた。そしてそして

「グオォーグオォー!!!」と不気味な呻き声が轟き渡る。


更に更に。とてつもない腐臭がノフィナ達の鼻を突いた。


「うぐぐ何この臭い!!そしてそして、気持ち悪い呻き声が彼方此方からするよ!!」


『気をつけろ!奴が来る!!」

「えっ!!?」


すると、その地鳴りと呻き声、更に腐臭を撒き散らす者達がノフィナ達を取り囲んだ。


それはそれは。かつてコロナで命を落とし、伝染病への危惧で弔われる事の無かった哀しき死者の怨霊が人喰らうゾンビとなって現れたのだ。


「取り囲まれたわ!!」

『仕方ない、戦おう!』


ゾンビ達は一斉にノフィナ達めがけて襲いかかってきた。


「ノフィナホーリー!!!」

ノフィナは魔力を溜め込み、強烈な聖魔法をゾンビの群れに浴びせる。


ゾンビ達は十数体光に呑まれる。

しかし十数体焼き尽くした所で更に沢山のゾンビが沸いて出る。


ゾンビは腐っているのにも関わらずとてつもない馬力とスピードで襲って来る。


『この体には指一本触れさせない!!』

ノフィナの背後に付属しているノフィン(寄生虫)は尾びれの触手を武器にし、ゾンビ達を次々と斬り裂く。


『ぐうう臭え臭え!!』

ノフィンがもがきノフィナにゾンビの付着物を擦り付ける。


「やめてよーギャーギャー!!」

ノフィナも地面にのたうち回る。


いっぽうワイマは口から波動レーザーを撃ち込む。


『波動レーザーを喰らえ!!』

ワイマの波動レーザーはゾンビの群れを一瞬で焼き尽くす。


しかしゾンビは恐怖と言う感情が無いのか、それとも何者かに操られているのか、次から次へと襲ってくる。


ズバーズバー!!

ビチャビチャビチャ!!


「やっつけてもやっつけてもキリが無い!!」


ノフィナは魔力を溜めながら剣で応戦。

ノフィンもノフィナには触れさせまいと触手を振るう。


しかしゾンビのヘドロ等がノフィナ達の衣服などに付着し、洗っても取れないような悪臭に包まれる。


そしてそしてワイマも、大きくなった体で肉弾戦に持ち込むが。悪臭に耐えながらの戦いだった。


「魔力が溜まった!ノフィナホーリー!!」

『巨大放射砲!!!』


ドドーーーーーーン!!!


魔法が炸裂し、ゾンビ達は大方光に呑まれ消滅するがそれでもまだまだ沸いてくる。


「ハァハァ……」

しかしノフィナは悪臭もあるが魔力も体力も殆どを使いきり、フラフラの状態だった。


(しっかりするのよ、そうしないとシャム、そしてタリアお姉様に会う事が出来ない…)


集中力の体力も殆ど使い切ったその時、ノフィナの隙をついてゾンビの群れが次々と襲ってくる。


『ノフィナ何をしているっ!!』

ノフィナの体力が尽きる分ノフィンの余分な手間が増える。


ゾンビの鋭い爪、そして牙が満身創痍のラナエを砕く。


ズバアアアァ!!!

おびただしい血が噴水のように地上に上がる。


ーーー


(あれ?私何か大事な事を忘れているような?)

シャムは大事な事を思い出そうとしていた。


「貴女は何も考えなくて良いのよ、このまま快楽に溺れてくれればそれで良いの、シェイミ・アラスカシア…可愛くていたいけな私のいたいけな少女♪」


タリアは思い出そうとしているシャムの体をこれでもかと言うほどマッサージする。


(ああもう良いや…この気持ち良さがずっと続けばそれで良い……♪)


シャムは逃れられない快楽に酔い、思い出す意思を持てないようにされた。


そして心はそのままタリアのものに堕ちていく…。


ーーーいっぽう…。


衝撃を覚えた瞬間、ノフィナの体に影が覆う。

(あれ…?私噛まれて無い…?)

ノフィナは体を噛まれ引きちぎられるものかと思い歯を食いしばっていたがその感覚がやってこないのを不思議に思う。


そして恐る恐る目を開けると何かフカフカした毛がノフィナを覆い被さっていた。


(まさかまさか…!)

ノフィナは嫌な予感を覚える。

そしておびただしい赤い血が地面にドバドバと落ちていく。


ノフィナはそこから這い出る。

ゾンビがそれに気付きノフィナを捕まえんと腕を伸ばしたがノフィンが咄嗟にその腕を斬り裂く。


『ノフィナ何してるんだ!?』

「……!!ワイマ!!!」


なんとワイマがノフィナを庇い、ゾンビの群れの攻撃を一斉に浴びていた。


『ノフィナ……おいらは間もなくゾンビになってノフィナを襲っちまう……そうなる前に逃げるんだ……!』


ワイマは自分の痺れ、冷えていく体に何か悪い感情を植え付けられているような感覚に襲われ、ノフィナに告げる。


「嫌だ!ワイマを置いてなんていけないよ!!」


ノフィナはワイマを抱きつき泣き喚く。


『ノフィナ!君には生きていて欲しいんだ!だから頼む!逃げてくれ!!!………ガッ!オナカスイタ…ウマソウ…早く…う…!』


ワイマは必死に言葉を走らせるがゾンビのものへと変貌していっているのか言葉も淀みが出てきた。


『何してるんだノフィナ!早く逃げろ!!』

ノフィンがゾンビを払いながら必死に怒鳴る。


しかしノフィナは動こうともしない。

「ワイマ……私も一緒にゾンビになる……そしたら寂しくないよね……」


ノフィナはショックで本来の目的を忘れてしまった。


『くそっ!!』

ノフィンはノフィナの尾となっている自分自身を思い切り硬い岩の柱に巻き付ける。


「えっ!?」

何かに引っ張られる感覚を覚え、我に帰るノフィナ。


そしてそして、ノフィンはノフィナを自分ごといっぱいいっぱいに向こうに放り投げる。


風の当たる感覚と音と共にワイマとの距離が瞬く間に遠くなる。


『ちょっとばかり痛いぞ!歯を食いしばりたまえ!!!』


ノフィンの警告。

一体何!?と思ったが自分がぶっ飛ばされている感覚はあったのでバリアを張っておいた。


バイイィン!!!

岩の突き当たりの壁にぶつかる。

張ったバリアのおかげで致命傷は免れたがそれでも衝撃はある。


そうしている間にもゾンビはこっちにやって来ている。


このままではノフィナ達も…。


『くっ!』

ノフィンは天井の岩めがけて矢継ぎ早に拳打を打ち付けた。


ガガガガガガ!!!

触手の拳打が次々と天井の硬い岩に打ち付けられ、ビビが入りだす。


このまま打ち続けている内にそれはガラガラと音を立てて重い落石として崩れた。  


はてさて、ゾンビ達をこちらに来れないように出来た。


こちらと向こう側の間は天井の岩で埋め尽くされたからだ。


それよりもワイマだ。


ワイマは向こう側にいる。

しかしワイマはノフィナの代わりに傷を受け、ゾンビとなってしまった。


『アイツは残念だが、こうするしか無かったんだ、許してくれ…』

ノフィンはこう言うがノフィナの気はそれで治らなかった。


「だからって見殺しにする事ないじゃ無い!もしかしたら助けられたかも知れないのに!!」


『しかしあれだけのゾンビ達をどうにかしてワイマを助ける時間なんてあるのか?それにアイツもゾンビになってた、どうこうした所で僕らに何か出来る訳無いだろう?』


冷静にこう言うノフィンには感情が感じられなかった。

やはり寄生虫としての機能が支配し人間らしい感情は無いからだろう。

それ故に、ノフィナはノフィンに腑が萎え繰り返る思いでいっぱいになった。


「この悪魔!見た目もグロテスクだけど中身も見れたものじゃ無いわ!!貴方なんて勇者の風上にも置けない……!!!」


グリグリ…。


「ひぎいぃ!!」


ノフィナが更に抗議しようとした所ノフィンは怒りに任せてノフィナの体内をグリグリしだした。罵倒と共に。


『言葉を慎め!僕がいなかったらそこで死んでゾンビになってた!それに不服だが僕と君は一緒の体になってるんだ!命は繋いでもらわないと困る!!』

「すみませんすみません!反省してますからどうかグリグリはやめてください!!」


ノフィナはもがきながら必死に謝る。

(くそおこの悪魔め!)と思いながら。


ノフィンは一時グリグリをやめる。


「ゼェハァ……」

ノフィナはグリグリが効いているのか脂汗をドバドバ流しながら息を切らしている。


グリグリグリ……。

…と思ったらまたグリグリしだした。


「なんでっ!?」

『心の中で僕の悪口を言ってただろ?わかっているからな!』

とノフィンはこう放った。


『これくらいにしといてあげる、僕は君の思っているようなそこまで悪魔じゃない』

グリグリを止めてくれたノフィン。

ノフィナはハァハァと乱れた息を整えている。


『死者にとって一番辛い事は助けられなかった事とかでは無い、そしてそして、僕も死者だが死ぬ際辛かったのは見捨てられた事では無いんだ』


ノフィンは寄生虫として生まれ変わったが人間だった時の記憶を持っている。


寄生虫としての本能が大半を占めてしまっている為人間だった時の「性格」ではほぼ無くなっているが。


そしてそして、ノフィンが言いたいのはここからである。


『死者にとって一番辛いのは死んでなお誰にも覚えられない事だ!』

「覚えられない事…?」


一回死んだ男にしか言えない言葉である。

そしてノフィナにノフィンはこれから為すべき事、為してほしい事を告げる。


『ノフィナ、君は生き延びてかつて一緒に苦楽を共にし、頑張ったワイマと言う漢の事を後世に語り継がせるんだ!』


それを聞いてノフィナの、ワイマが殉死した際の心の苦しみが癒え、希望を新たに見出す。


「うん……そうだね!そしてそして、シャムを救い出すんだ!」

そしてノフィナはヨロヨロと立ち上がる。


悲しむのは戦いが終わってからである。

今はまだその時では無い。


そしてそして、上の階に待ち聳えるタリアとシャム、彼女らとの戦いの行方は…?



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