表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノフィナの冒険  作者: 葵ウォーリア
第2章
28/38

葛藤のシャム

「シャ…………ム………」

戦場に散って行く男の魂。

男は光に呑まれ、跡形も無く消えて行く。



シャムは一人の愛した男の死を悟った。

止めどなく涙が溢れる。


(彼は私を絶望の世界から救ってくれた。

そして何より私を純粋な気持ちで愛してくれた。)


シャムは戦場に散って行った男、バイヤーとの思い出に思いを馳せる。


キラキラとした風景にバイヤーとシャムは微笑みあい、デートを楽しんでいた。


そして、絶叫マシンでついバイヤーに抱きついてしまい、バイヤーが「可愛いな」と後で言ってきて顔を真っ赤にして怒ってしまう。

しかししかし楽しかった日。


そしてそして、小説を読み合いこれは違うあれは違うと言って互いに譲れない所で意見が割れるも何も無かったように仲直りしてまた喧嘩したりと繰り返すも楽しかったあの思い出…。 


良い思い出も、いがみ合った思い出も、シャムの中で素敵な思い出として残っている。


これからもそれがずっと続くと思っていた矢先の事であった。


(バイヤー……貴方との思い出は忘れない……そしてそして、貴方の仇は必ず討ってみせます!)


そして一人の少女は覚悟を決めた。

全身スーツに身を纏い、隠し武器を装着し、ケースを持って「仇討ち」にある部屋へと足を進ませる。


満月が照る日、そしてそして、良い子は寝静まっている時間だ。


シャムが向かった先…。

そこはノフィナが寝静まっている部屋だ。

ノフィナの隣にはワイマもいる。


シャムは何と天井から這い上がり、忍者の如く通気口から部屋の様子を覗いていた。


シャムは特殊なスーツを着ていて、音も立てずに移動する事が出来て、しかも身軽に動ける特性付き。


そしてそして、耐熱、防寒にも優れたスーツでスパイ活動向けに作られている。


それだけで無くシャムはスパイのスキルもいつの間にか身につけていた。


研究員となって以降、何を隠そうスパイ活動もしていたバイヤーから技を盗み、自分のものとしていた。


頭が良く吸収も早いシャムだからこそ、すぐに覚え、詳しく教わらなくとも自分のものと出来た。


(ごめんねワンちゃん、先に貴方を眠らせて貰うわ)


犬は聴覚、臭覚に非常に敏感である。

まあここまで来られて気付かないワイマは犬としては駄目駄目だと言えようか。


シャムは麻酔入りの吹き矢でワイマを暫く起きれないようにした。


そして通気口から足音を立てずに着地する。

そしてスヤスヤと寝息を立てながら寝ているノフィナの元へ。


(ノフィナ…貴女に恨みは無いけど勇者ユグドととても親しい貴女の命は頂戴するわ、そしてそして、私は研究員としてより高みを目指すの!)


シャムは今の自分と目と鼻の先にいるノフィナの命を狙う事にした。


シャムは、ノフィナが勇者ユグドと家族として過ごした経緯があり、わざわざ遠出しなくても良いと言う事で仇を討つ候補としてノフィナを絶好の仇討ちのターゲットに絞った。


かつての親友だが今のシャムには関係が無い。


今のシャムは出世欲に目が眩んでいて友情の心は暗雲に閉ざされた状態だった。


そんなシャムは毒針を両手に持ち、一思いにノフィナの息の根を止めようとめがける。


その時、シャムの目前に鋭利な刃物が飛び込んできて、そこから男性らしい声が囁かれた。


『残念だけどノフィナに手は出させないよ!』

「くっ!」


シャムは後方に飛び退き、そして構える。

「こいつは……そう、確かノフィナの尻尾……」


シャムは何度かノフィナから尻尾と翼のようなものが生えているのを見ている。


それは何と自分の意志を持っているのだ。

そしてその寄生虫はノフィンと言う、前世かこは人間の勇者だった生物だ。


『ノフィナ、起きろ!敵だ!!』

「うにゃうにゃ…もう食べられないよ…」


ノフィンは尻尾でノフィナをポンポン叩きながら起こす。


しかしノフィナは夢を見続けているようだ。


グリグリ…。

「ひゃん!何なのよ夜遅くに!!」


ノフィンがグリグリしだしてその刺激により、ようやくノフィナは目を覚ました。


そして、ノフィナはスーツを身に纏った女性を目にする。


「くっバレたみたいだわね…」

シャムは少し悔しそうに歯軋りをする。


「泥棒!?」

ノフィナの目からすればその姿は忍者らしい。

その正体は勿論、シャムであるが。 


あくまで正体は全身をスーツで覆う事により隠しているので今のノフィナには知るよしも無いしシャム自身、トドメを刺すつもりでいたのでそれはそれで都合が良いと言えた。


(こいつに触手がある事を忘れていたわ…それにこの触手、ノフィナとは別の意識があるわね…)


シャムはノフィナの体に付属している尻尾が揺めきながらノフィナに何か言葉を交わしているのを確認する。


「ノフィン!こんな真夜中に私の体をグリグリしないで!乙女の体は繊細なのよ!!」


『乙女ならもっと乙女らしくしたらどうだい?それより言い争っている場合じゃない!前見て前!』


シャムが今のうちにと吹き矢を吹いてきた。


スッ!

ノフィナは間一髪避ける。


「貴女は誰なのここは病院よ?そしてそしてこの部屋には何もありません!!」


ノフィナは怒鳴る。

今のシャムの服装は顔や体に至るまで体の線がわかる程度のスーツを着込んでいて、正体はわからない出立ちとなっている。


「ふふふ、私の狙いはね最初からアンタだったのよ!」


シャムが毒針を構えながらこう放つ。


「私に何の恨みがあるの?」

「どうだって良いでしょそんな事!」


シャムがまたも襲いかかる。


「ノフィナボム!!」

ノフィナは手を突き出して爆破魔法を放った。


シャムは咄嗟に跳躍しボムを躱す。

そして、シャムも魔法を放った。


「フレイム!」

「熱い!」


ノフィナがもがいている内にシャムが毒針で突き刺しにかかった。


『させるかっ!』

ノフィンは触手を横薙ぎに振るう。


ズバッ!

シャムのスーツが引き破られる。


「チッ!」

シャムはまたもダメージを躱す為に飛び退いた。


そしてそして、シャムの手に持っているはずの「毒針」がなんとノフィンの手元に渡っていた。


「くっ、中々やるわねアンタの触手ボーイフレンド!」


ノフィナはボーイフレンドと言う言葉に反応し激しく抗議する。


「なっ!誰がコイツのボーイフレンドですってぇ!??」


グリグリグリグリ。

「ああぅあ!!」


ノフィンがムキになったのかまたノフィナをグリグリしだす。


ノフィナは悶絶しうずくまった。


「アンタの事だよ!」

「ぐほっ!」


シャムがノフィナの腹わたを蹴り破る。

ゲホゲホとノフィナが咳き込んだ。


「このスーツも暑いしせっかくだから正体を明かしてあげるわ!」


そしてシャムはその引き破られたてのスーツを掴み、それをわざと脱いでみせた。

そしてスーツは乱暴に床に投げられる。


「シャ…シャム!??」

正体を知ったノフィナは顔色を変える。


「ふふふ良い反応ねノフィナ♪」

気弱か、最近の事務的な態度からまた変わって魔女のような、強い殺気を沸き立たせた姿のシャムを垣間見る事になったノフィナは口元を震わせた。


そしてそして、またシャムはノフィナの腹を蹴り破る。


ドスっ!

「うぐ…!」

ノフィナは苦痛に表情が歪む。

シャムはそれを見て加虐本能に駆られた。


「あっはっはアンタは最高の餌食だよ!!」

ドカンドカンドカン!!!

シャムは矢継ぎ早にノフィナを蹴りまくる。


「やめて!私達友達じゃないの!?」

「友達なもんかコロナにかかった弱いアンタなんか!!」


その時、『ご主人様は弱くなんか無い!!!』


と後方から犬の咆哮が轟いた。


ワイマが目を覚まし、いじめられているノフィナを助けに入った。


「あらワンコロ、もう目が覚めたのね?」

シャムはノフィナの顔を踏んづけながら揶揄う。


『オイラはワンコロじゃないやい!ワイマと言う名前があるんだい!!』


ワイマが飛びかかる。

グオオオオォォ!!!


『あわわわっ!!』


しかしシャムがすぐ目前に火炎放射器を持ち出し火を吹かす。


ワイマは慌てて仰け反った。


「良いから黙って見てなさい!さあノフィナ、貴女はたっぷり可愛いがってあげるわ♪」


シャムはノフィナをいじめまくる。


(くっ!何やってるの私…立ち向かいなさい!相手が親友でも…やられ放題の弱っちいノフィナじゃ無いはずよ!)


ノフィナはいじめられながらも自身に叱咤をかけまくった。


そしてそして、自身の中の気弱を克服し、立ち向かう勇気を勝ち取った。


「私は…私は負けない!!」

「きゃあっ!」


ノフィナはシャムを突き倒した。


「何するの!?親友に…!」

「親友だよ……だからこそ私は戦う!」


ノフィナはシャムに負けじと睨んだ。


「上等だよ!!」


チュドドドドン!!!

シャムは矢継ぎ早に攻撃魔法を炸裂させる。


「私は負けない!!」

ノフィナも攻撃魔法で応戦する。


そして互いの姿が見えなくなる所で向こうからパンチが飛んでくる。


「ぐえっ!やったなー!」

ノフィナもやり返すがスカる。


ドカンドカンドカン!!!

逆にシャムからはいっぱい攻撃を食らう。

結果ノフィナは防戦一方となった。


「はっはっは悔しかったら攻撃してきなさいよ!!」


煙で姿が見えない。

これはひょっとしたらひょっとする。

…とその時。


『レディ、ズルはいけないよ!』

とノフィンがシャムに述べる。


そしてそして!ノフィンは触手を活かし、シャムにあるものを取り上げる。


「きゃーーー!!み、見えない!!」


これは超暗視眼鏡ちょうあんしめがね、例え煙で見えなくてもこの眼鏡で煙を無効化するように見えてしまうアイテムだ。


「ノフィン!先に助けてよ!」

『助けたじゃないか!さあこの眼鏡をかけるんだ!』


ノフィナはノフィンの言う通り眼鏡をかける。

するとノフィナの姿が見えずしどろもどろするシャムの姿が。


「………」

しかしノフィナはその眼鏡を手から離した。

ボトリと眼鏡は落ちる。


『やっつけるチャンスじゃないか!何故捨てる!?』

ノフィンが抗議する。


「私は卑怯な手を使って相手を倒したくないから!」


ノフィナは気丈に放った。


「くそっ!どこだノフィナ!殺してやる!私の恋人の仇を取るんだ!!!」


シャムが狂ったように吼える。


「シャム……貴女の恋人がどうしたの?」

ノフィナは聞いた。


「私の恋人は殺されたんだ!勇者になあ!!!」

シャムは声を張り上げた。


ノフィナは再度眼鏡を拾い、それをかける。


『やっつける気になったか!』

とノフィン。


ノフィナはシャムの位置を確認するとシャムは攻撃し疲れて、肩から息をしている姿が見て取れた。


ノフィナはそれを見計らい、シャムを抱きしめる。

シャムはノフィナの体温を感じとる。


「シャム…貴女の恋人はそんな事をして敵討ちしても喜んでくれないよ……」

「何が……わかる……アンタに……」


と言いつつシャムは声を震わせる。


そしてそして、煙は止み辺りは静寂に包まれる。


「シャム……恋人を失って辛いのはわかる、でもこんな事はやめよ?」


「ノフィナ……どうしてアンタはこんな私に優しくしてくれるの……?」

シャムは嗚咽を上げる。


「当たり前でしょ!私達親友じゃない!」

「親友………か……」


そしてシャムはノフィナを振り解く。


「シャム?」

「ははは、私もヤキが回ったよ……」


シャムはそう言うと刃物をなんと自分の首元に向けていた。


「何を……!」

「バイヤー……今私も貴方の元に行くわ………」


ブシャアァ!!


ーーーいっぽう、ユグド達パーティ。


「バイヤー……貴方もやりたくもない四天王にさせられ、運命に翻弄されてたんだにゃん…」


ミケーネはバイヤーの墓の前にひざまつき、弔う。


その時バイヤーからの声がミケーネの耳に入ってきた。


『シャムを助けてくれ……あの子には俺のような末路を迎えて欲しくない…!』


「シャムちゃん…貴方の恋人にゃか?」


その時他のメンバーは「ミケーネは誰と話してるんだ?」と訝しんだ。


ブシャアァ!!

天井に設置してあるスプリンクラーが煙に反応し、水を降らせる。


一方で、シャムはバイヤーの元へ行こうと自害しようとした所だったがノフィナが止めた。


その時、ノフィナの他に三毛猫の手のようなものがシャムの自害を制止していたのが見えた。


「「貴方は!?」」

ノフィナとシャムは目を見開く。


そこには半透明の凛々しい顔の三毛猫の姿があった。


その三毛猫は優しい声でこう言った。


『私はミケーネ、シャムちゃま、バイヤーちゃまからの言伝ことづて通りに言うにゃん…』


シャムはミケーネの言葉を真剣に聞く。


『シャムちゃま…ノフィナちゃまの仲間になって手伝って欲しいとの事ですにゃん、そして自分を粗末にせず、バイヤーちゃまとの間に生まれて来る赤ちゃんの為にも…との事ですにゃん!』


そしてミケーネは姿を消す。


「ね、シャムちゃん?ミケーネさんも応援してくれてる、バイヤーさんも!」

「うんっ!」


そしてそして、ノフィナとシャムは手を握り合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ