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ノフィナの冒険  作者: 葵ウォーリア
第2章
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別れを惜しんで

それから数日…

ノフィナの熱は下がり体調も良くなったのだが…。


「まだコロナは残ってますね…」

「そうですか…」

澄ました顔で研究員はそう呟き、ノフィナは渋々納得する。

そしてそして

「ヒソヒソ……ヒソヒソ……」

と向こうから研究員同士の陰口を叩き合う声が聞こえて来た。


「あの子遊郭で働いてたんだって?」

「何人の男感染させたんだろうね?」


今すぐにでも耳を塞ぎたかったがこうしたらこうしたで嘲笑されるだけなのであくまで平静を装っていた。


(私は間違ってない間違ってない間違ってない……!)

こうして気丈に振る舞うが今すぐにでもユグドやゾノミの元にでも帰りたかった。


しかししかし…。

(必ずガーランドを建て直してユグドさんやゾノミさんも必ず呼ぶからね!)


かつてそう言ってた自分の事を思い出し、必死に弱気になりそうなのを振り払った。


ヅカヅカと足早に足を進めている時、シャムと偶然鉢合わせする。

「あ…」

ノフィナはシャムに話しかけようとするがシャムは視線も合わせず素通りしてしまう。


(何よ、これじゃいじめみたいじゃない!)

ノフィナの心に段々闇が立ち込めてきた。

背中から漆黒のオーラが揺らめいてくる。


これを只事じゃないと察したノフィンはノフィナを宥めに入った。

『ノフィナ!落ち着け!落ち着くんだ!』

「うるさいっ!これで落ち着けると…!」

グリグリ…。

「あぁっ!」

『気持ちはわかるけどもう少しの我慢だ、ワイマもいるし僕もいる!決して折れるな!』

「そうだね…」


ノフィンの励ましとグリグリでノフィナの漆黒は止んだがそれでも気持ちは晴れ晴れとはしなかった。


そして自分の部屋に戻る。

『ノフィナ!結果はどうだったんだい?』

ワイマが出迎える。

「駄目だったよ、暫く様子見だって…」

『そっかあ、残念…』


ワイマはしょんぼりする。勿論ノフィナもそれは同じだ。


でもこれから先の事を考えると本当に気が重い。


ユグドやゾノミにもバレているんじゃ無いだろうか?

多分薄々は気づいているのだろう。


そしてスマホから着信メールが入ってきた。

着信メールが来ると色々期待してしまうのが人のさが


ひょっとしてシャムから仲直りのメールが来たんじゃないか。


ひょっとしてガーランド城の再建の目処が立ったのではないか。


そしてユグドかゾノミからの、慰め、励ましのメールなんじゃ無いかなど。


色々期待して開いてしまうとそこには謎のメールで『コロナ女、お前の住んでいた所に復讐してやるから気をつけろ』と出た悪質なメールだった。


「!!」

ノフィナに戦慄が走り思わずスマホを落としてしまう。


『どうした!?』

『どうしたの!?』


ノフィナはひたすらブルブルして顔は恐怖の色に染められる。


(もしかしたらユグドさんとゾノミさんは…!)


暫く硬直していたがいても立ってもいられなくなったノフィナ。


直後ノフィナは震える手でスマホを拾い上げる。

彼女は慌ててユグド家に電話をかけた。

ワイマとノフィンもその様子に只事では無いのを察知しているのか、時間が止まったようにピタリと動きを止める。

もしかするともしかするかもしれない。


プルルルル………コールが鳴っている間緊張が走る。


ノフィナの手は汗いっぱいになっていてスマホも壊れるんじゃないかと言うほどだ。


お願い出て!出て!

ノフィナの額にも汗が滲む。


恐怖と緊張で背中も汗びっしょりとなる。

コロナ罹患者は一度かかればそれはもう犯罪者のように仕立て上げられる。


田舎だと特にだ。

皆伝染病は怖いから仕方ないと言えば仕方がない。


しかし差別するのは間違っている。

そして、誰それがかかったと大々的に報道してしまうメディアもメディアである。


『もしもし……?』

やがて、電話から女性の声がした。


「ゾ……ゾノミ……さん?」

『ノフィナ…?』


なんとなんと、ゾノミがスマホに出てくれたのだった。


「良かったぁ……」

ノフィナは思わず気の抜けた声を出した。


そしてそして、ワイマとノフィンもはぁ〜っと一息ついた。


『一体どうしたの?』

「ううん、なんでもない…」


正直に言うべきだろうか…。

国を再建して再び王女になると言うのが実は姉が仕組んだ罠であった事。


ノフィナは王女ではなく遊郭で働く事になり、その上コロナに罹患してしまった事を。


もし言ったらどんな反応をするだろう。


ユグドさんもゾノミさんもきっとショックを受けるに違いない。


そしてそして、余計な心配をされるかもしれない。


ノフィナ的には、家では何事も無かったのは嬉しい事だが、ゾノミとユグドには合わせる顔が無かった。


『ノフィナ…正直に言った方が良いと思うよ?』

『オイラもそう思う…』


ノフィンとワイマは念を押してくる。

しかしノフィナはその踏ん切りが未だにつかなかった。


『ノフィナ、このところ調子はどうなの?』

ゾノミは聞いてきた。


「う、うん上手くやってるよ…」

ノフィナは言い淀んでいたがこう答えた。


しかしゾノミの目は誤魔化せなかった。


『良いのよ隠さなくて…私達はもういろいろ知ってるから…』

「えっ?」


ノフィナ的には聞き間違いだと思った。


『本当の事を言いなさい、ノフィナ…』

ゾノミは気丈に諭す。


「私…私は…」

ノフィナはブワッと泣き出した。

ゾノミとユグドには誤魔化せなかった。


実はノフィナは王女とは裏腹の生活に追い込まれている事も、そしてコロナに罹患している事も。


「ごめんなさい……ごめんなさい……」

『良いのよ、謝らなくて……』


ノフィナは甘えるように大泣きし、ゾノミは優しく宥める。

ワイマとノフィンも貰い泣きする。


そしてそして、ハッと思い出したようにノフィナは聞いた。


「そっちは?そっちの方は大丈夫なの!??」


復讐宣告のメールのように何かしらされているのかもしれない。


そう思いたくは無いけどもしかしたらノフィナがコロナにかかったせいでとんでもない状況に追い込まれているのかも知れない。


真意を確かめないと不安なのは生真面目なノフィナなら尚の事であった。


『色々あったけど、もう大丈夫よ』

ゾノミの声は比較的明るかったが色々あったのは確かなようだ。


「そうなんだ…ごめんね、私のせいで……」

『謝らないで、ノフィナも大変だったのはわかってるから……』


ゾノミはこう言った。

その時その時、『オギャー、オギャー!』と赤ん坊の泣く声が。


「ゾノミさん……今のは……」

ノフィナの表情はパッと明るくなった。


『そう……生まれたのよ、ユグドと私の愛の結晶が……♪』


これまで大変だった中でこれまでに無い朗報であった。

ノフィナのテンションは上がった。


「おめでとうおめでとう!男の子?女の子?」

『ふふっ♪どっちだと思う?』


どっちでも良い。男の子でも女の子でも、ゾノミさんとユグドさんの子なのだ。

帰ったら思いきり可愛がってあげよう。


ノフィナは背に羽が生えたように喜んだ。

そしてそして、ワイマ達も。


『オイラの子分が出来るんだ!!』

「ふふっ良かったねワイマ♪」


ワイマが跳ね上がりながら鳴き、ノフィナもそんな感じにウキウキしていた。


しかししかし、そんなムードを打ち消すようにノフィンが言った。


『でも安心ばかりもしていられないんじゃないかな?ゾノミさん所も大変なんだろ?』


(この野郎!せっかく良い気分に浸ってるのに変なこと言わないで!)

と言う内心は胸にしまいノフィナはゾノミに「そっちも大変なのは大変なんでしょ?」と聞いた。


『そう…今はレオさんの所に匿って貰ってるけどウチにいた時は大変だったわ…』


声を落とすゾノミ。


グリグリ…。

「はぁん!」

『ぬか喜びしている場合じゃないぞノフィナ!』

グリグリしながら発破をかけるノフィン。

グリグリがしたかっただけらしい。


(くっそ…)

「本当に…ごめんね」

ほとぼりはいつか冷めるわ、だから気にしないで、それとそれと、もう一つ朗報があるの♪』

「朗報?何?何?」

『ユグド達討伐隊は1人目の四天王を倒したみたいだわ!』

「本当に!?」


大魔王コロナは多くの魔物やコロナ警察、政府の他に四天王を従えている。


そしてそして、四天王がコロナ警察を増やし、レジ袋を有料化させ、コロナを流行らせていると言っても過言ではない。


『でも最初の四天王は四天王になるのが不思議なくらい弱いらしいから、まだ油断は出来ないけどね…』


「そうだよね…でも大丈夫だよ、ユグドさん強いし、他の仲間も頼もしい人達だし!」


ユグドの他に治術師のフレナ、魔法使いのグリン、武闘家のミケーネがいる。


彼等は勇者の中の勇者と言うプロフェッショナル達だ。


ゾノミの言う通り、まだ油断は出来ないが。

どっちにしてもコロナに立ち向かえるのは勇者達ばかりでは無く、自分達も日頃の手洗いや消毒。


そしてそして、メディアの恐怖に煽られない強い心を持つ事が大魔王コロナに立ち向かう武器となるのだ。


ーーーいっぽうその頃。


「シャム……愛してんぜ愛してんぜ愛してんぜ♪」

「バイヤー……愛してる愛してる愛してる♪」


シャムとバイヤーが愛のダンスをしていた。

その最中にバイヤーにお呼びがかかる。


『第二の四天王バイヤー、いつまで楽しんでいる!勇者と戦う準備をしろ!』

とある者の声が。


「はっ!すいません……勇者達めもうここまで来たか……」

「バイヤー…」


バイヤーが着替えようとしている所シャムが呼び止める。


「大丈夫だシャム、俺は最初の四天王よりは数倍強い、油断しているアイツらの隙を突けば一発だ!」


バイヤーは微笑む。

シャムはそのバイヤーの姿が眩しく見えると共に命を散らそうとしている戦士の姿にも思えた。


「お願い……行かないで………」

シャムは着替えているバイヤーの広い背中に行かせないとばかりに頭を預けて咽び泣く。 


バイヤーは一旦手を止め、シャムに向き直った。


「愛するシャム……すまない……四天王には避けられない道があるのだ、だが私はこれがあればいつでもお前に会える」


バイヤーは愛のロケットを見せる。

そこにはシャムとバイヤーが一緒に微笑む姿が映っていた。


「お願い…帰ってきて……」

「ああ……」


シャムとバイヤーは暫く深い口づけを交わす。

別れを惜しむかのように……。


そしてバイヤーはマントを翻すと踵を返し、死の戦場へと足を踏み入れた。


「憎き勇者……覚えていなさい……もしバイヤーを亡き者にした時には……」


シャムはケースを取り出した。

彼女のケースの中には彼女専用の科学武器が詰め込まれていた。


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