シャムの秘密
ノフィナが広間のドアを開けるとシャムがいた。
「突然お邪魔してごめんね?」
「シャム!」
シャムはノフィナのベッドの上で座っていて漫画を読んでいた。
読んでいるのは「ミケネコーン」ちょっと泣き虫な怪獣王国の王子ミケネコーンと和風美女葉奈ちゃんが同時に人間界にやってきて色々騒動を起こすお話、ああこんな子いるいると個性的なキャラを見て共感したり突っ込めるのが醍醐味だ。
『この子可愛いね可愛いね♪』
ワイマが尻尾を振りまくる。ワイマも可愛いよとノフィナは思った。
「どうしたのどうしたの?」
ノフィナが聞く。
「私の部屋が先輩に乗っ取られて…」
シャムは少し泣きそうな表情になる。
アパートには大音量で音楽が流されたり罵声があったりする。
シャムの部屋付近は怖い先輩とかがいて大音量が鳴り響く事があり、ノフィナ的には関わりたくない人がいると思っていた。
シャムは不運な事に、その先輩の隣の部屋におり、しかも占領される事もあるらしい。
それでここに逃げ込んたと言う。
「酷いね、いつでもここに逃げ込んで良いよ!私が守ってあげるから!」
ノフィナもユグドさんやゾノミさんにはとてもお世話になった。
そしてそして、困っている人がいたら助けると言ったユグドさんやゾノミさんの信条を受け継ぎ、守っていこうというノフィナの気概もあった。
『僕も君を守ってあげるから!』
ワイマも答える。良い子だね。
『僕も守ってあげるよ!』
とノフィン、貴方の言う事はあてにならない。
「ありがとうノフィナちゃん…貴女と友達になれて良かった…」
シャムはホロリと涙を流す。
ノフィナはシャムの背中をさすってあげた。
そしてそして、シャムと漫画の話で盛り上がった。
「最近マベアクにハマってるんだ!」
「わかるわかる!エイト君良いよね!」
マベアクとは「marvelous accident〜未知の始まり〜」と言うダークファンタジー風の作品。
主人公であるいじめられっ子のヒカルンがイナズマ組と言う組織と関わり、空から降ってきた不思議な女の子と出会い、事件に巻き込まれていくと言う。
彼は現実から逃避する意味もあり漫画を書いていてそのちょっと悲しげで、何かを伝えるような作風も魅力だ。
(なんだよなんだよ面白くないな、ノフィナは事もあろうに他の女の子と仲良くなって!)
ノフィンはそう思う。
そしてそして、ちょっとしたいたずらを仕掛けようとしていた。
「くひぃ……!!」
黄色い声を上げて苦しい表情を一瞬見せ、シャムにもたれかかるノフィナ。
「ノ…ノフィナちゃん!?」
少しシャムが戸惑う。
『ノフィナ、この子を襲ってみるんだ!遠慮はいらない、君もこの子を愛しているんだろう?シャムちゃんも欲しそうにしてるじゃないか!』
(冗談はやめて!この子を襲ったら私はこの子に嫌われちゃう!!)
ノフィナはノフィンと格闘する。
『ど、どうしたんですかノフィナさん?』
ワイマがノフィナの挙動に狼狽える。
『やらないとまたグリグリするぞ!』
(うぅ…ごめんねシャムちゃん…!)
どこまでも悪魔なノフィン。
そしてそして、ノフィナはシャムに口づけした。
「うっ…!」
『あわわ…!』
そうしたシーンをリアルに見たワイマは目を反らすフリをするも目線はしっかりと二人の様子を焼き付ける。
焼き付けたらいけない気はするのだが本能が焼き付ける事を望んでいるのだ。
こう言うのに慣れていない上ワイマも立派な雄、慣れていないからこそ本能に逆らえないのだ。
「シャムちゃんごめんなさい、そう言うつもりじゃ…」
ノフィナはノフィンにけしかけられたとは言えやってしまった事を詫びる。
しかしシャムはノフィナを見て艶かしく紡いできた。
「ノフィナちゃん、これは次に出番が来た時の予行演習だね?私が練習台になってあげても良いよ?」
「ちょ、ちょっと…!?」
シャムはノフィナの肩に両手をやり、身を起こしていたノフィナをまたシャム側に引き倒す。
そしてシャムの方が一歩リードしている感じでノフィナと共に踊るのだ。
「そ、そう上手よ♪」
「シャムちゃん…シャムちゃん!」
逆に今度はノフィナが何かに怯える子犬のような瞳となり、シャムにアレコレと大人の勉強を教鞭される。
(何でこうなるんだーー!!!)
一方、心の中で悲鳴をあげるノフィン。
ノフィンはこうしてノフィナとシャムの仲を引き裂き、ノフィナを独占しようと意地悪を企んでいた。
それが裏目に出てしまい、憤慨しているわけである。
(そうか、ノフィンさんは私とシャムちゃんの仲を取り持つ為に…)
純粋なノフィナはノフィンはシャムと仲を一層親密にしようと取り計らってくれたのだろうとノフィンを見直した。
(ノフィンさん、ありがとう!)
(ど、どういたしまして…)
ノフィナに礼を言われ、ノフィンは黒い心を悟られる訳にもいかず戸惑いつつこう返事した。
その時「パシャッ!」と言うフラッシュ音とともに光が照った。
ノフィナとシャムはその場に固まる。
「がはは撮ったぞとったぞ!!」
「シャムが居ないと思ってたらこんな所にいたのか!!」
するとすると、そこに派手な格好をした女2人が携帯を持って嘲っていた。
「誰ですか貴女達!!!シャムこの人達は誰なの!?」
『ガルルー!!』
ノフィナとワイマが突然不躾に上がり込んで来た女達相手に怒る。
「私の先輩達よ…」
シャムは首を落として述べ、先輩の元に足を進ませる。
「シャム!先輩達の所に行く必要ないわ!貴女達!シャムに手を出さないでくださいっ!!」
ノフィナがシャムの前に出て庇い立てる。
「なんだ後輩の癖に!!」
「きゃあっ!!」
突き倒されるノフィナ。
そしてそして、先輩Aはスマホをヒラヒラさせて「よくやったなーこれでお前はウチらのファミリーだ♪」とシャムを迎え、シャムは嬉しそうにしていた。
「シャム!!どう言う事なの?」
ノフィナは混乱しつつ声を荒げる。
「ごめんね、私「ファミリー」に入る為の試験をやってた所なんだ♪」
とこれまでとは打って変わって不敵な表情となり、ノフィナの反応を楽しむかのように戯けた。
因みにファミリーとは先輩のいる組織でシャムを組織に入れる為にノフィナを利用してみせたと言える。
「合格祝いだ!パーッとやろうぜ!」
「この動画も売れそうだぜ!」
先輩はシャムを引き連れて部屋を出ようとした。
「ガルルーガウガウ!!!」
「なんだこの犬!!」
ワイマが物凄い剣幕を立たせ攻撃を仕掛ける。
『ノフィナ!戦わなくても良いのか!?あの動画を流されたら…!』
その時ノフィナは思考が追いつかず茫然自失としていたがノフィンの発破でやっと我に返る。
勿論、動画を流されたら不味い!ノフィナの顔が映されているし、それが流れたらユグドやゾノミの顔に泥を塗る事にもなる。
「それはいけない!」
ノフィナは立ち上がり、彼女らに向かった。
「ボムダン!!」
ノフィナが魔弾を放つ。それはダメージは少なめだが威嚇として効果がある。
「生意気な!マスターウィップ!!」
バシィ!!
Aは空気中に鞭を出現させ、ノフィナに撃ち込む。
「頭冷やしてやんよ!!」
その上Bが水をノフィナの頭上に出現させてそれを落とす。
「ぐぐっ、私は先輩達などに屈しませんっ!!」
『ノフィナ、ここは僕が!!』
ノフィンがそう放った直後、Bの持っていたスマホがバリンと割れる。
「うわぁ私のスマホが!!」
これで動画のデータは無くなり、流されずに済んだ。
「でやああぁ!秘技鳶鷹返し!!」
「上等だあぁ!殺人全潰棍棒!!」
ノフィナは短剣を持って舞うように先輩達に飛びかかる。
先輩達も怒りに狂い鉄パイプ、棍棒で応戦する。
善戦はするが多勢に無勢にあちらの方に利がある。そこでノフィナは叫んだ。
「ワイマ!!」
『うんっ!!』
ノフィナの一声に応えワイマがノフィナの頭に乗っかった。
するとノフィナの体から淡い光のオーラが灯されるかと思うとノフィナの身体能力にワイマのステータスが加算され、ブーストがかかった。
「「私の」『僕の』力を合わせた無限の力をとくと味わいなさいっ!!」
ドカンドカンドカン!!
ノフィナとワイマは凄いパワーを発揮し先輩達を翻弄した。
「お、覚えてろおぉ!!」
先輩達は逃げ出す。
シャムは何も言わず地面にへたり込んでいた。
「シャム…立てる?」
「ノフィナ…私は貴女を騙してたのよ、こんな私でも…許してくれるの?」
「わかってるよ…シャムは先輩達に脅されていただけだよね?」
シャムは感極まりノフィナに抱きつき嗚咽する。
そして二人の友情は更に深まった。




