最後の捨て台詞『真の大魔王は私ではない。探すが良い 』
大魔王の断末魔が聞こえ来た。
「流石だ勇者よ。だが真の大魔王は私ではないのだ。探すが良い。真の大魔王を!ワァハハハァー」
大魔王はこの世を去った。
5年後、世界は平和になるかと思われたが魔物の数は減ることもなく増え続けた。
「勇者よ。何故魔物が減らない。これはどういうことだ?」
玉座に座る王が跪く勇者に問いかける。
「わかりません」
勇者は王の問いに答えれなかった。
彼は大魔王を断末魔を聞き5年間、真の大魔王を探したが見つける事が出来なかった。
それどころか、半年に一人づつパーティーの仲間が亡くなっていた。魔物との戦いに敗れたわけではなく、全て王都内での死亡だ。始めは病死のように考えてたが健康な奴も死んでいた。死因は全て窒息死である。
大魔王探しも大切だが、まずは仲間殺しを探すのが先決だった。
勇者は自分達への妬みがある者の仕業と考えた。相手に手練れがいても勇者パーティーの暗殺は難しいはずだ。おそらくは何かの罠を仕掛けていたのであろう。でなければ何も抵抗せず彼らが死ぬはずがないのだ。
「王よ。私は再び大魔王の調査へ向かいます」
王にあえて虚偽を告げる。王とて敵の可能性があるのだ。
「勇者よ。頼んだそ。今晩はそなたの為に細やかな晩餐を準備した。楽しまれるがよい」
王主催の晩餐に招待され自屋敷へ戻るのが深夜となった。馬車で送ると申し出があったが断った。仕掛けるなら今晩だろう。どんな手で待ち構えているかわからない。
警戒をしながら帰路を進む。前方に一匹のスライムを発見した。スライムはぴょんぴょん跳ねる。
「なんだ?僕は君の相手などしてる暇ないんだけどなぁ」
ついつい独り言を呟き、その迷いスライムを退治する。周りに人の気配はない。何かの罠と思ったが違うらしい。
屋敷へ戻りベッドで横になる。襲撃があるなら今晩なはずだ。警戒をしつつ眠りに着く。
夜更けに息苦しくなり目が覚める。目が開けれない。何かが引っ付いている。取ろうと手をた動かない。何者かに体を押さえ付けられる。口も鼻も塞がれている。濡れタオルか?息が出来ない。立ち上がることが出来きない。
おかしい?誰かに侵入されてもわかるように結界を張っていたのに気づかない。あり得ない。人より弱くレベルも低い者。生ぬるい物が体の中を包む。意識が遠のく。
この日、勇者、王族全てが何者かにより暗殺された。
調査は行われたが犯人はまだ見つかっていない。
当然、真の大魔王も発見されていない。
童話のつもりだったんだけど暗く成りすぎて止めました。