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世界樹の門  作者: どら焼きドラゴン
第1章 変わる世界
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第3話

「それじゃあ、今から………その前に飯にするか。」


 中島教授が時計を確認すると、針は12時を少し回っていた。

 確かに腹が減ったな。


「そうっすね。お腹空きました。」


「ハハハ。それじゃあ下の階にあるカフェに行こうか。悪いが病院の食事は時間制なんでね。………とその前にこれに着替えな。前の服は損傷が酷すぎて捨ててしまったからね。」


 中島教授から渡された紙袋の中には、黒いタンクトップとアロハシャツ、それにカーゴパンツだった。……うん、自分だったら絶対に選ばないな。


「…………これ、教授の趣味ですか?」


「えっ!?あっ!うん!いや!違う違う。それは君の担当の看護師のお兄さんのお古だそうだ。退院するときや、自由に動き回りたくても病院の服は肌と変わらないから、色々と不憫だろうって持ってきてくれたんだって。」


 それを聞いて少し安心した。教授の服だったら多分投げ捨てていただろう。中肉中背のオッサンのバカンス服を着せられるとか、只の罰ゲームであったからな。


「君今失礼なこと考えてない?僕怒るよ?奢ってやらないよ?」


「自分の年考えてくださいよ。もう還暦近いでしょう?そんな大人がガキ相手に何をムキになってるんですか。」


「失礼だなぁ、僕はこれでもまだ43歳だぞ?因みに既婚者でーす!キラッ☆」


 某超時空歌姫のポーズをしながら既婚者アピールする悲しいオッサンはとりあえず無視して、アロハシャツに袖を通しカーゴパンツをはいた。カーゴパンツを履くために立ち上がった時は身長も大分変わっていたため、少しふらついてしまった。


「ねぇ、竜鬼くん。無視は酷くない?」


 タンクトップはちょっとピッチリしてて身体のラインがよく分かるデザインだ。アロハシャツは……………季節外れもいいとこだが、仕方ないだろう。ちょっと小さくて前のボタン閉まらかったぞ。まぁ、病院は暖房も効いてるし寒くはないだろ。


「看護師さんには後でお礼をしないとな。」


「ねぇ、ねぇ、無視は酷くない?酷くない?」


「………ハァ、何ですか?」


「いや、服はぴったりだね。まさに夏のビーチで様々な男女を誘惑する雄のホルモンがムンムンと溢れる格好だ。やっぱり筋肉は大事だねぇ、僕もスポーツジムに通おうかな。」


 中島教授は関係無い話をしながら小包を俺に渡した。


「靴が無いだろ。その格好に病院のスリッパは似合わないからな。それに、君はある意味一生寝たきりの可能性すらあったからね。これは私からのプレゼントだ。」


 包みを空けると、中には黒の革ブーツが入っていた。他人が履いてるの見るとカッコいいが自分が履くとダサくなる、履く者を選ぶ靴であった。


「おぉ!ブーツか。しかも重厚感が最高にカッコいいやつ!教授!これ、本当にいいんですか!?」


「あ、あぁ勿論だ。」


「やったぁ!」


 早速靴下を履いてブーツに足を通す。独特の重みと硬い感触が心地良い。試しに歩くとコツコツと硬い音が響き、とても気に入った。


「それじゃあカフェにでも行くか。」


「うーい。」


 中島教授に付いて廊下に出ると、視線が集まるのを感じた。

 やはり俺は目立つようになってしまったようだ。


「教授、やっぱりこの髪の色注目されちゃうんですかね?」


「うーん、僕は違う理由もあると思うけどね。」


「そうですかね?」


 廊下にいる看護師さんや、お医者さん達は俺とあまり顔を合わせないように去っていくし、やっぱり嫌われたのかな。


「そういえば、他の患者さんはいないみたいですけど……。」


「ん?あぁ、ここは特別病棟の中でも屈指のVIPルームさ。基本的に社会のお偉方がお忍びで入院するときにここは使われている。当然、セキュリティはピカ一だし、スタッフも信用できる口の硬い者しか入れない。」


「えぇ。そんな所になんでカフェとかあるですか。」


「気になったのそっちかい?そりゃ政府のお偉方や社会のお偉方が来る場所だぞ?一般的な病棟とは違うさ。彼等は僕達の出資者でもあるからね。まぁ、下品な話気持ち良くさせてゴマをすりすりして、お金を落とさせるのが目的さ。」


 成る程、確かに一理あるな。しかし、それなら俺はなんで一般病棟じゃなかったんだ?


 エレベーターに乗りながらそう聞くと、中島教授はため息を付いてもう一度説明してくれた。


「さっきも言っただろ?君はある意味スーパースターなんだ。政界からも医療界やマスコミからもね。そんな君が一般病棟にいたら、もみくちゃにされる。ここに移したのは警視庁と日本科学研究所からの頼みさ。」


 えぇ。警視庁ならまだ分かるけど、なんでそこで科学研究所とかが出てくるの。俺面識ないよ?


「今の日本は散々マスコミがやりたい放題してるからね。何も知らない少年を助ける為にも頼むと言われてしまったよ。」


「いや、なんで科学研究所からそんな事言われたんですか?」


 その質問に中島教授はしまったというような顔をした。


「あぁ、ちょっと言い過ぎたな。まぁ、それはおいおい分かるさ。ほら、ここがカフェだ。ここのランチセット中々旨いぞ。」


 明らかに話題をはぐらかした教授に突っ込みたかったが、カフェの中から溢れる匂いに腹が悲鳴を上げた。

 し、仕方ない。今は食事を取るのが先である。教授には後から問い詰めてやろう。


 俺は教授に連れられて、カフェの扉をくぐった。







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