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世界樹の門  作者: どら焼きドラゴン
第2章 異能力
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第20話

「ではこれからの国の動きに伴い、我々のグループがこの騒ぎの前に異能力者達を集めれたのは奇跡に等しい。それに、国が定めたナンバーの数が小さいトップランク達を引き入れたのもかなりの結果だ。今、君たちの前後左右にいる人間達はこれから皆仲間となる。仲良くな。ではこれからの皆の大まかな動きについて、まずは手元の資料の3ページを開いて─────。」


 説明会が始まり、中島教授がマイクで色々と説明していたが、話が頭に入ってこなかった。それを考える余裕がなかったのだ。

 俺は自分の能力はドラゴンになれる、もしくは変身する系統の異能力だと思っていたし、滝雄さんらからもそう、言われていたはずだ。


 しかし、鑑定系統の異能力を持つという弥生の話によれば、俺にはそんな能力などなく、ただ様々な生き物とコミュニケーションができるという能力だと言われてしまった。──これは一体どういうことだろうか?


 試しにあのトレーニングジムでやった時のように腕に鱗を纏うイメージをする。


 するとあの時のようにイメージを強くしなくとも真っ赤な鱗(龍鱗と名付けよう)は皮膚から浮き上がるように現れた。


(やはり、俺はこの異能力がある筈……どういうわけだ? それに、弥生の話が正しければ俺は動物と話ができるらしい。うーん、後で実験動物がいるか聞いてみようかな?)


「──というわけだ。これをもって説明会を終わる。班によって決められた仕事が違うから気をつけて。それでは解散!」


 考えごとをしていたらいつの間にか、終わっていた。ヤバい……一言も聞いてなかった。


「やっべー、これからどうしよう?」


「……あなた話聞いてないでしょ。」


 あきれた顔をする弥生。いや本当にごめんなさい。


「まぁいいわ。あなたの仕事は基本的に、学校のクラスに紛れて生徒達を守ることよ。お爺様がなんで戦闘系統の異能力ではないあなたに任せたのかは知らないけどね。」


「わかった。ありがとうな、俺は今からちょっと動物と話が出来るかやっつてくるわ。」


「え? それって……。」


 弥生が何か言いかけたがそれを無視し、書類整理をしていた滝雄さんの所へ向かう。


「滝雄さん。」


「ん? 龍鬼くんか。どうしたんだい?」


「この施設に実験動物とかいましたっけ?」


 その言葉に滝雄さんは目を見開く。


「え、えっと、一応地下一階に獣ゲージのエリアがあるけど……。」


「ありがとうございます。ちょっといってきますね。」


 さっさと立ち去ろうとするが、滝雄さんに服を捕まれた。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。なぜいきなり実験動物の話をしたんだい?」


 ちょっと気になったことがあるだけなんだよな。なぜそこまで焦ってるんだ?


「いや、あんたの孫娘が俺の異能力は()()じゃないっていうもんだからな。」


「へぇ? それはどういう?」


 滝雄さんは先ほどとはうって代わり、興味深いと言わんばかりに身を乗り出す。


「君にはこれから用心棒になるために総合格闘技でもやらせようって予定だったんだが……そっちも興味深いなぁ。よし! 予定を少しずらす、君は君の力を試してきたらいい。代わりに、後でレポートにしてくれないか?」


「ああ、わかりました。」


「頼んだよー。」




 エレベーターに乗って、地下一階へ向かう。教えられた部屋にいくと、ゲージが沢山並べられた廊下にでた。ゲージの中には犬がいたり、猫がいたり、鳥がいたりとバリエーション豊かである。 初めて見る俺に驚いているのか犬がギャンギャン鳴いてきた。

 

「わー、こりゃ凄いな。」


「獣臭いわよ。」


「……なんでついてきた。」


 後ろから声がしたので振り返ってみると、弥生の姿があった。


「…別に。ただ興味があっただけ。それで? こいつらは何ていってるか解る?」


「そう言われてもなぁ。ただギャンギャン吠えてる…………。」


『俺は殺るぜ!俺は殺るぜ!俺は殺るぜ!俺は殺るぜ!───。』


 さっきから吠えている犬の声が急に理解、というかなんとなくだが感情が伝わってくる。なんだろう、少しもやもやするな。他のやつらはどうなんだ?


「どうしたの?」


「……」


 何か言ってる弥生を無視して、隣のゲージを覗き込む。

 中には猫がこちらに目を向けて寝ていた。


『なぁに、見てるんだ? 餌の時間はまだ先だろぉ?』


 やはり、解る。これは──凄い。

 気が付けば俺は次々にゲージを覗き込んでは、動物達の話を聴いていく。


『あ^~ご飯の音ぉ~…って、なんだ冷やかしかよ。』


『え? 何? 何?』


『お腹空いたなぁ。』


『うわっ、こいつ匂いキッツ。』


『あん? 何貴様メンチ切ってんだコラ。』


 なんか聞いてがっかりした。可愛らしい小鳥がなんか厳つい話してたり、犬は基本アホしかいないし、猫は憎たらしい性格が多い気がする。


「……なんか、理想と現実のギャップを感じたよ。」


「だいたいそんなものよ。」


 うちひしがれていると弥生が追撃をしてくる。もう、純粋にもふもふを楽しめない気がした。


「で? こいつら何言ってるかわかった?」


「……だいたいお前の香水で鼻が死ぬって、言ってるぞ。」


 それを言った瞬間に俺は顎に一撃を食らった。


「失礼ね!」


「…痛く、ない! けど理不尽だな。」


顎をかちあげられた後の顔面にブローまで食らってしまったが、全く痛くない。この身体はほんと丈夫だな。





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