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世界樹の門  作者: どら焼きドラゴン
第1章 変わる世界
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第2話

「ここは?………知らない天井だ。」


 目が覚めるとどこかわからない場所に横になっていた。


「おや?目が覚めたかい?」


 声がした方を見ると、白衣を来たおじさんがこっちを覗き込んでいた。

 なんだこのオッサン?


「あの、どちら様で?」


「ハハハ、それを言うのはこっちの台詞だよ古橋(ふるはし) 竜鬼(りゅうき)くん。」


「なぜ俺の名前を知ってるんです?」


 ちょっと怖いなこのオッサン。科学者かな?


「ここは病院さ。それも超がつく一流大学病院さ。私は君の担当医になった中島(なかしま) 四平(よんへい)だ。普通に中島教授とでも呼んでくれ。」


 そう言ってオッサンは名札を見せた。そこには確かに中島 四平教授とあった。


「病院!?何で俺病院にいるんです?俺普通にピンピンしてますよ?」


「うん、そりゃ3日も眠り続けていたからな。元気なのは当たり前だ。」


 中島教授は俺の頭を小突いてそう言った。


「3日も!?」


「そうだ。君は3日前に何処にいたか覚えているかい?」


 3日前………確か朝の低山散歩に出かけて、石につまづいて滑落したんだ。そこで変な扉を見つけて………………。


「確か、変な扉を見つけて………。それから、………覚えていません。」


 その答えに中島教授は少し残念そうな顔をした。


「いや、いいさ。では、私から君の経緯を話そう。先ずはこれを見たまえ。」


 中島教授がテレビを付けると、テレビにはあの巨大樹と扉が写し出されていた。


『ご覧ください!これは映画やCG等ではありません!本物です!こんなことが起こるなんて誰が予想出来たでしょうか!今日ここは東京の××区で巨大な樹が急に現れ、更にはその樹の根元には扉のようなものがあり、現在付近の住人には緊急避難勧告が発令されており───────』


 ニュースキャスターの声と共にライブ映像にはいつも歩いていた山の入り口に黄色いテープが張り巡らされ警察や、消防、更には自衛隊の姿まで見えた。野次馬の中にはいつも見慣れた近所の人々やマスコミ関係の人々が集まっていた。


「これは昨日からニュースになっていてね。最初はCGだろうとバカにされていたんだが、とある少年がどの歴史文献にも当てはまらない全身鎧を着けた男に運ばれて警察に引き渡したという映像がマスコミに流れてね。最早世界はお祭り騒ぎさ。」


「とある少年って?」


「そんなの決まってるだろ。」


 中島教授はまるで逆◯裁判の検事のように俺を指差した。


「君だ。」


 テレビに映る光景が信じられなかった。こんなこと物語だけの事、非現実的である。 そんな事よりも俺はもっと悩んでいた。


(何で………こんな注目の的になっちゃうんだよぉお!絶対学校とか行けないじゃん!)


「うん、うん。確かに信じられない事だ。だけどね、これは現実なんだ。受け入れる心も大事だよ。」


 楽しそうに的外れな話をする中島教授にジト目を向けると、教授はゴホンと咳払いをした。悪ふざけが過ぎたと理解してくれて何よりだ。


「まぁ、君の顔は流石にモザイクが入ってるし、今の君は…………その………なんというか…………変わったんだよね。」


「は?」


 変わった?何が?


「うーん、これは見てもらった方が早いかな。おーい!誰か、姿見か手鏡持ってきて!」


 教授が廊下に顔だけ出して大声をだした。しばらくすると、一人の看護師さんが大きめの鏡を持ってきてくれた。


「ほら、これで自分を見るといい。だが覚えておいてくれ、"人は見かけによらぬ者"だ。姿形だけで判断するのは早計なことだよ。私はたとえ君が醜い者でも綺麗な者でも、それだけで判断はしない。」


 意味深な事を言う教授から鏡を受け取り、自分の顔を見た。そして叫びを上げた。


「えっ!?えぇええええ!!」


「まぁ、そういう反応するよなぁ。」


「いや、これ誰すか。俺はこんなイケメン知らないんですが……………。」


 鏡に写っていた顔はいつも知っている地味顔と違っていた。

 東洋人と西洋人のハーフのような顔立ちに、キリッとした目付き。体つきもひょろひょろからがっちりとした筋肉質なものに変化しており、お腹もシックスパックができていた。

 俺は所謂ワイルド系のイケメンになっていたのだ。

 しかし、一番の違いは髪の毛と目の色であった。


「何で赤色の髪の毛なんだよ……しかも目の色が茶色になってるし………。」


「ハーハッハッハッハ!まるでアニメに出てくるワイルドキャラって感じだねぇ。」


 項垂れていると、中島教授はやっぱり楽しそうに話していた。

 つくづくムカつくオッサンである。


「その髪の毛は100%君の地毛さ。私やここの看護師がカラースプレーで悪戯した訳ではない。」


「あんたならやりかねない気がするんだが?」


「ハハハ、冗談はその体毛だけにしとけ。」


「話を戻そうか、俺はいつからこうなったのです?」


「うーん、体つきは親御さんからはもやしみたいだと言われていたんだが、私が検査に来た時にはもうそうなっていたな。体毛については、今日からだな。今朝、担当の看護師が様子を見に来た時にはもうその燃えるような赤に変化してたぞ。」


 成る程、後でお袋と親父にちょっと物申す必要があるみたいだな。もやしみたいだな体ってなんだよ。俺は細マッチョなの!


「夢を壊すようで悪いが、細マッチョなんて不健康の代名詞みたいなもんだぞ。しっかり食ってしっかり寝てしっかり運動しないと、まぁ力のある体つきにはなれんな。」


「うるさいやい。」


 中島教授は呆れた表情で俺を見つめていた。


「ま、頑張ってな。目が覚めたからと言ってまだ君は退院できないからなぁ。これからリハビリや、様々な検査を受けてもらうつもりだからよろしくな。」


「は?」


「いや、当たり前だろ。君はあの歴史的瞬間に立ち会った人間だぞ?しかも大勢の人が知っている。君は今はある意味スーパースターさ。そんな君………容姿は大分変わっているが、そんな見た目だ。直ぐに注目を集めるぞ?この病院に運ばれたのも特定されてるしな。今日もマスコミ関係の連中が何とか忍び込もうとして三回程警察を呼んだ位だぞ。」


 それは確かに中島教授の言葉が正しいな。もし、退院したら一斉にマスコミの餌食となり、しゃぶり尽くされてしまうだろう。それだけはごめんである。これはおそらく病院側が俺の事を心配してくれているのだろう。


「わかりました。ほとぼりが覚めるまで、しばらくお世話になります。」


「うん、こちらこそ。その代わり色々と見せて貰うよ。新たな発見なんて何かロマンを感じるねぇ。」


 前言撤回する。やっぱりこのオッサンちょっとヤバいわ。















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