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(株)ダンジョン  作者: Nob4
2/7

2 魂が震えない日常

少し短めです。

 大学卒業後、俺はアメリカの会社に就職した。

世界有数の大企業、「ミクロソフト」だ。

ミクロソフトはアメリカのワシントン州に本社があり、創業者はあの「ビ-ル・ゲイツ」。


 一度も会ったことがないけれど、彼には興味がある。

俺と同じ、と言ったら自惚れが過ぎるけれど、「冒険者」だと思っている。

 彼は若くしてチャレンジングだったし、結果として「ミクロソフト」は世界を席巻して一時代を築いた(coogleで検索した)。

 個人的には彼は世界を変えた、と思っている。

世界を変えるということは、新しい世界を作るようなものだと思う。


 だから俺は就職先を「ミクロソフト」にした。

彼と同じように、新世界の開拓を目指す「冒険者」として、思い描く世界を創造するための「表現者」となるために。


 面接官に「ミクロソフト」を選んだ理由を言ったら、そのうちの一人に「HAHAHA!」ってとても笑われた。

少しむかついたので、「HAHAHAハゲ!」と一緒に笑ったふりして悪口言ったけど、無事就職できたし日本語はわからなかったんだろう。

今になって思えば、そんなところで冒険するなよと当時の自分に注意してやりたい。

 今は少し大人になったので、もうそんな子供みたいなことはしない、と思う。

 …気を付けよう。


 そんな人生を歩んで早28年、俺は今とてもチャレンジングな日常を送っている。


「HEY!ユータ!進捗はどうだい?」

「順調ですよ、ボス」


 マグカップに片手に笑顔で話しかけてきたのはジェームス・マクレーン。

何を隠そう、彼は例のあの人「HAHAHAハゲ」だ。

入社時の顔合わせで驚いたが、直属の上司だった。

気さくで付き合いやすく、とてもいい人です、本当です。


「OK、それならいいんだ。それと別件なんだが、…先月ユータに頼んだ”例のアレ”はどうなっている?」

「滞りなく。ヴァネッサに箱のまま預けてます」

「安心したよ、さすがユータだ!」


 ジェームスは俺の返事を聞くと小走りで自分のブースに戻って行った。


 後半、急にキリッ!と真面目に聞いてきたが、俺はちょっと呆れ気味だ。

 大した手間ではないし、俺のせい?でもあるから仕方がないと諦めている。

 因みにヴァネッサはジェームスの秘書で、ザ・できる女って感じなのにチャーミングでとても素敵な女性です。

 

「Oh!ボークンババネーロ~~」「ゲンマイチャ~~」「Ahaaaaaahaaaaaa!舌が!Ah!堪らない!Ahaaaaaa!」


 社内の定期イベントみたいになっているので、周囲の同僚たちは笑いながらジェームスを見ている。

元々、妹から送られてきたお菓子を一口食べて持て余した俺がオフィスに持ち込んだ際、パッケージに興味を持って食べたらハマってしまったみたいだ。


 ジェームス曰く、「ただ辛いだけではない、複雑に絡み合ったウマミのハーモニーに私の魂は囚われてしまった!”東バト”よ、何というスナックを作り出してしまったのだ!」

それ以来、ジェームスに頼まれて定期的に妹から送ってもらっている。


 「暴君ババネロ」は、ハバネロという品種の唐辛子のイラストに、ジャック・オー・ランタンが怒ったような表情がついており、魔女のようなとんがり帽子と髪型、そして何かを調合しているような大釜のイラストがセットになっている、とても危険な印象を受けるパッケージが特徴的だ。

 

 さてさて、仕事に集中しよう。

読んでいただき、ありがとうございます。

励みになるので、よろしければ評価もお願いします。

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