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(株)ダンジョン  作者: Nob4
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1 プロローグ

 俺は佐伯さえき 裕太ゆうた、28歳。北海道の札幌で生まれ、高校卒業まで住んでいた。

両親と俺と妹の4人家族で、家族仲はなかなか良好だと思う。


 小学生の頃は円山の原始林に毎日のように冒険に出かけていたが、中学生になってからは一転して勉学に励むようになった。

冒険仲間のクラスメート達も塾に通い始めたりして勉強するようになっていたが、彼らは見かねた親に言われて仕方なくといった様子だった。


 でも俺は違った。

勉強するようになったのは親に言われたからではなく、明確な目的ができたからだ。


 大人になった今でも覚えている。

 小学校最後の夏休み、いつものように暗くなる前に原始林から帰宅し、「ただいまー」とキッチンにいて姿の見えない母に声をかける。

泥だらけになった靴を玄関に脱ぎ散らかし、そのまま脱衣所に行きこれまた泥だらけの服を洗濯機に投げ込んでから熱いシャワーで汗と泥を流す。

部屋着に着替えてから居間に行き、母がつけっぱなしにしていたテレビに目線を流した時、そう、この瞬間だ。

 この瞬間、俺はテレビから目を離せなくなり、その特集番組が終わるまで微動だにしなかった、と後日母から聞かされた。


 テレビに映っていたのは「Secondセカンド Worldワールド」。

「Second World」は、3DCGで構成されたインターネット上に存在する仮想世界だ。

ユーザーはバーチャルな世界で好みのアバターとなって、現実の世界とは異なる生活を送ることができる。

公式サイトでは、「ユーザーによって創られた、インターネット最大の3D仮想世界」、「出会う人がみんな実在の人物のように見え、訪ねる場所はすべて、あなたとまったく同じような人によって構築されている3次元の世界」とされている。

アメリカのサンフランシスコにある会社が運営を行っている。


 自分が別の人間に変わってしまったかのような経験をした瞬間を誰かに伝えたい時、世の中の人達はどんな表現で相手に伝えるんだろうか?

「新しい扉が開いた」「世界に光が差した」「神の啓示を受けた」「魂が震えた」「雷に打たれた」「悟った」等々、色々だと思う。


 俺?「真っ白になった」。


 今までの人生で(まだ10年ちょっとしか生きてないけど)見て聞いて触って感じて冒険してきた、今まで自分が信じて生きてきた世界とは異なるルールの世界が、別世界が存在することを知った。知ってしまった。

この時から、俺の世界は新しく作り直されたんだと思う。

 正気に戻ってから母に新しい世界への行き方について聞き、「Second World!」叫びながら壁に飛び込めばいいと言われたので実行し、鼻血を出してしまったのはいい思い出だ。


 あれ?ちょっとイラッとした。


 あの日を切っ掛けに、ITの世界に冒険に出かけることを決めた。

因みに、パソコンやインターネットなどについては父が教えてくれたし、勉強や進路についても様々なアドバイスをもらった。

妹は俺が壁に突っ込んだのを見て笑い転げていたんだった。


 父さん、あなたの息子でよかった。今度飲みに行こう。


 その後、俺の熱はが冷めることがないまま中学・高校と進学し、東京のKO大学に進学した。

強い目的意識があったから勉強は苦にならなかったし、むしろ、学習の一つ一つが新世界への階段を一段ずつ上がっている実感があったから楽しくすらあった。


 大学進学に合わせて東京で一人暮らしすることになったが、その頃には俺の部屋は謎の物体Xで埋め尽くされていた。

これは父のアドバイスだ。

日々の勉強の合間に開発も行っていた。

想像力を働かせ、何のために作るのか作成目的を明確にし、目的を果たすのに最適の形状ハードウェアと動かすための仕組み(ソフトウェア)を作成する。

あとは上手くいくまで延々トライアンドエラーだ、coogle先生には大変お世話になりました。


 大学在学中は、スキルを高めるために都内のIT会社でバイトをしていた。

 もちろん友人もできた、というより作った。

学内の様々な学部に友人ができたのは大きな財産だと思う。

 あと、英会話の練習をするために、週三回必ず飲みに行った。

駅前留学をする代わりに、英語圏の人達が集まるバルでジョッキ片手に日常会話に励んだ方が金銭的な負担が少ないし、リアルな英語を身につけられると思ったからだ。

背が高くてムッキムキの知らない人達の中に、「ハーイ!」とか言いながら入っていくのは最初は怖かったけど、みんないいやつだった。


 そして今、俺はアメリカにいる。

読んでいただき、ありがとうございます。

励みになるので、よろしければ評価もお願いします。

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