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誰もクソゲーなんか作りたくはない。

作者: 由宇幸輔

誰もクソゲーなんか作りたくはない。


発注責任ということばがある。

「だれがそんなものを注文したんだ?」という奴である。

だが、クソゲーはそんなこと、知りますもんか!という顔をして店に入って来る。

そして、いつまでも居座って出ていかない。

「エ?まだいるの?コレ」

と言うやつだ。そんな嫌われモンのクソゲーだけど、一つ不思議なことがある。誰もクソゲーを作ろうなんて考えてはいないことだ。なのに、クソゲーは確実に一定数、産まれてくる。

何故だろう?

ムズカシイ問題である。

そこで、分析の方もアプローチを変えてみよう。

ビッグタイトルと、クソゲーとの違いを考えてみる。

まず、ビッグタイトルの代表として「ドラゴンクエスト?」を挙げる。それに対してクソゲーの代表作は? というと何が良いだろう。一杯有りすぎて決めかねる。別に恨みは無いが「惑星ウッドストック」にしておこうか。

説明が必要だろうか?「ドラゴンクエスト?」は、Nintendoのファミリーコンピュータ、いわゆるファミコンのソフトで発売本数国内150万本。

所謂「国民的ソフト」である。

対する「惑星ウッドストック」はセガのメガドライブのそれもCDロムバージョン、つまりメガCD対応のソフト。ちなみにメガドライブはセガにしては、成功したハードであり、ロムカセット対応機では最終250万台(国内販売累計)を叩き出した優秀なゲーム機ハードである。とは言っても件のソフトはそのCDバージョンであるから、当時普及度としては5万本でもくるしいところであろう。そんな中で流通ストックも見込んで10万枚は配ったであろう。どう甘く見ても実需要は5000枚。需給比としては20倍の過剰供給である。ハゲ度20倍!

勘違いしないで欲しい。ここで発売枚数を最初から5000枚にしておけば、ハゲなかったと言っているのでは決してない。そんな単純な問題で苦しんできたのではないのだ。このゲーム業界と言うヤツは。

何故なら、もし、この惑星ウッドストックというソフトがキラーソフトと呼ばれる恐ろしいくらい力を持ったソフトであったとするともう需給バランスもハゲ度も一切そんな数字は意味を持たない現象「超新星爆発」が起こるからである。

そして、ソフトをプレイするためにハード「も」買う、いわゆる「ハード牽引」と

いう現象も含めた「異常現象」が起こるのである。店頭におけるソフトの露出量の少なさも何のその、ソフトがかかるハード(プラットフォームと言う)の普及台数の少なさも蹴散らして、セット(ハードと一緒に売ること)で売れていくのである。

その引き金は?口コミである。あのソフトはスゴく面白い。そういうレビューが専門紙で書かれ、学校や塾で評判になると、さっき言った現象が、燎原の火のように燃え広がっていくのである。

だから、ソフトを作っている人はそのソフトがクソゲーになるなどとは針の先程も考えていない。

それどころか、「自分のソフトで世の中を変えて見せる」と考えている。そしてその根拠はあるのだ。ソフトはちょっとしたことで化けるのだから。

Nintendoの宮本さんが言うところの「アジツケ」だけではない。ほんのちょっとしたこと、ユーザーの心の琴線に触れる部分で共鳴すれば良いのである。直接本編に関係した部分でも良いし、関係ない部分でも良い。ドラクエ?で言えば、ゲーム目的を全てあらゆる形でクリアしてしまってから、つまり、ただ単に敵のボスキャラを退治ただけではなく、ルイーダの店に集まるパーティー(予備までいれて11人いるのだがその全員がレベル99までアップしてある状態を言う)ただ無目的にラーミアに乗り込んでは果てしなくマップ上を彷徨うのが好きだと言う大人達がいる。

マップは循環していて果てしなくというのはいささか誉めすぎなのだが、もうゲーム目的と言えばメタルスライムを見つけてはメッチャ叩きにして、幸せの銀のサンダルを取り上げることしかない世界なのだ。

なにしろレベル99だ。モンスターも恐れてめっきり姿を現さなくなり、まるで熱死した宇宙をさまよう無常感とか、さみしさがある。それにあのラーミアのテーマ(主題)。何もしないでただその曲を聴いているだけという人もいた。

ドラクエ?、ドラクエ?、確かに名作だった。しかし、シリーズだからと言って「?」がどこまで行くかと言うファンの期待と疑問は遥か高いレベルでの回答を得られたのである。なんと定石の「オープニング」さえ、省略されていた。2MBのバックアップ容量を決して余計なことに無駄遣いはしないぞというスリム感にゾクゾクさせられたものでした。

また初期の商品ではバッテリーバックアップに不具合があって「冒険の書」が良く飛んだりしていたが、このRPGにとっては致命傷だと言われるバグすら、ドラクエ?というソフトのゲーム生命 に止めを刺すことはできなかった。


一方、惑星ウッドストック。凝った世界観。なんと音楽でバトルのだ。得意技はそれぞれギター、ドラム、ベース、ボーカルだから、ロックバンド同士のバトル。

もちろんパーティアタックも可能だ。武器にあたるものが楽器である。属性であるパートも決めることが出来る。勇者をドラムにしたから、わたしの場合、その武器はスティックになっている。一番安い武器である。しかし、楽器もレベルがあり、例えばギターなども実際の名器をもじった名前の強力な力を持ったものがある。しかし、徹底はしておらず、ヒエラルキーになってはいない。それより何よりパーティーアタックが最大三人しか組めず、実際のバンドのギター、ボーカル、ベースギター、ドラムスの編成が想定できず、ボーカルをギターが兼用するとターンが不足するどころか、どちらかの属性しか攻撃か防御ができないという状態。音源に凝ったミュージックRPGという触れ込みが期待を呼ぶものであっただけに、がっかりした。

しかし、実際クリアしてみると、結構面白い。物足りない部分や、残念な部分もあったが、後の世でボロクソに言われたクソゲーの代表だとは思わない。

と言うか、超新星爆発を起こすチャンスは多々あったと思う。

実際のロックの名曲がクリア画面と結び付いて流れるとか、主人公のパートが楽器の種類だけストーリーを用意されているとか。隠しパートで、つまりキーボードでもう一度裏画面がスタートするとか。ビープ音から始まって、レベルがアップする度に、音源が進歩していくとか?いくらでもあったと思われる。

結論から言うと、ビッグタイトルとクソゲーってそんなに違いはないんじゃないということ。



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