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高校生の恋。  作者: 黒蝶
40/40

第40話  エピローグ「運命の恋。」

専門学校に入学して、早くも一ヶ月が経とうとしている。

知らない人たちばかりで最初は不安にもなったけど、

今では友達もそれなりにできて結構充実している。

『聞いてよ理子、ひどいんだよ。洋輔ってば・・・」

朋ちゃんからの塚田くんに対する愚痴が延々と書かれた

メールを、私は学校の玄関で立ったまま読み返していた。

あのふたりも、しょっちゅう喧嘩はするものの、何とか

仲良くやっているらしい。

そんな関係に少し憧れた。

私は返信メールを送った。


ポンッとうしろから頭を軽く叩かれた。

「お待たせ。」と彼は言う。

「遅いよ。」

「ごめんごめん、話が長引いてさ。」

そう彼が言うと、どちらからともなく自然とふたりの手は重なった。

手を繋ぎながら、私達は学校の敷地内にある駐輪場へと向かった。

「さっき朋ちゃんからメールが来たよ。」

私は言った。

「井川のやつ、何だって?」と彼が言う。

「また喧嘩したんだって。」と私が言うと、彼は大きく笑った。


「理子、落ちんなよ。」

自転車の後部に座る私に向かって彼が言った。

「落とさないように漕いでよ、尚志。」

そう私が言うと、彼は”了解”と言ってペダルに足をかけて

ゆっくりと自転車が動き出した。

彼の腰に手を回して、彼の背中に頬をくっつけた。

私たちの通う専門学校は、地元の駅から電車で四つ目の駅を

降りて自転車で二十分ほどのところにある。

駅まで電車で来て、駅から学校まではいつも、私は彼の漕ぐ

自転車の後ろに座って通っている。

帰りも同じ。

彼の自転車に揺られながら、駅までの道を進んだ。


いつの間にか、彼のことを”尚志”と呼ぶようになった。

まだ少しぎこちなかったり、照れくさかったりするけれど、そんな

こともまた愛しく思えた。

彼の腰に回していた手の力を強める。

「理子、苦しい。」

そう彼が言うと、私は思わず笑った。


ふと、高一の時の担任だった平原先生の言葉を思い出した。


”神さまのいたずら”


あの日、神さまのいたずらで自己紹介をすることになった。

そのおかげで、彼の声に惹きつけられた。

だとすると、この恋も神さまのいたずらなのだろうか?


いたずらなんかじゃない。


これは運命。


この恋はきっと、運命の恋。

非現実的で、ドラマのような漫画のような恋なんて、所詮は夢物語と思われがちかもしれないけど、この作品を通して、ありふれた日常の中でも運命的な、素敵な恋が見つけられる事が伝わればと思います。

ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。

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