五章 睦み合う恋人達
「ネイシェ」
ヴァイア・スーン未亡人が本体に戻った俺を、その豊満な胸で抱き締める。何やってるかって?一つしかないだろ。
年を経て少し硬くなった乳首を舐める。再度変身するための魔力が回復するまで、只今絶賛前戯中だ。
「くすぐったい」
「お気に召さなかった?」
ぺろぺろ。
「いえ、ただまだ恥ずかしくて……」
「布団の中だし電気も消してるよ。俺はヴァイアがぼんやりとしか見えなくてちょっと不満だけどね」
「もう……いい年したオバサンとこんな事して、何が楽しいの?」
小さく喘ぎながら尋ねてくる。
「もっと若い子と……ぁ、付き合わないの?」
「うーん、あんまり興味そそられないんだよなあ」
自分でも特殊な性癖だとは重々承知している。瞑洛には年の近い女友達もいるにはいるが、何故かときめくのは旦那を若くして亡くし、気丈ながらも何処か寂しげな女性ばかりだ。
「ユアン君も?」
おっと!ここで二階にいる相棒の名が出るとは思わなかった。本番前に一度飲み物を取りに降りて来ていたので、きっとまだ調べ物の最中だろう。因みに現在時刻は夜十時半。毎日飽きもせず熱心な事で。
「あの朴念仁は女っ気どころか、色恋の気配自体一切無いよ。胸元の君を除いてはね」
「前に言っていたロケットの?―――ユアン君、ああ見えて街の女の子達には結構人気なのよ。美形でミステリアスで、しかもとても頭が切れるから。あれでもう少しこう、協調性があったらねえ……」
「無理無理。あいつは根っからの一匹狼だよ。それに何かすげえ大事な目的があるっぽいし」
俺の知る限りそれを達成するため、奴はただの一日も休んだ事が無い。街中が楽しく浮かれるクリスマスや年越しの日でさえ、一人引き篭もって黴臭い資料に首っ丈。お陰で俺は毎年ヴァイアをレストランへエスコートし、住民達と共にワインやらローストチキンをたらふく食らう役割を務めていた。
そのお陰で、あいつは近所で『ちょっとした』変人で通っている。何せ行く所と言えば図書館、古書屋、質屋に遺跡探索用の道具がある雑貨屋、そして住処であるここ鳳凰亭。時々俺が外食へ連れ出していなければ、きっと『犯罪者紛いの』変人に昇格していた事だろう。ちょっとは感謝して欲しい物だ。
「少しぐらい、私達に話してくれてもいいのに……」
心優しい女将はそう呟き、小さな溜息を吐いた。




