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エディがその通信を受けた時、驚愕のあまり声を失ったが、側に居たショウはそれ以上だった。まるで奇襲を受けたかのように、彼らしくもなく瞠目して固まってしまっている。
「お前の情報源は……彼、か?」
「ああ、でも何故?」
内線を使って届けられた彼の映像は、エディを驚愕させるのには十分すぎた。そんなエディの様子を気に留める素振りもなく、モニターの向こうの青年は形の良い薄い唇の端を微かに上げて、微笑した。
あまりにも整い過ぎて、人形のように冷やかな彼の美貌はまるで氷のようだった。
彼は深い海のような蒼い瞳で二人をまっすぐに見据えて、唐突に口を開いた。
『もはや一刻の猶予もないだろう。あれは中央からの命令に従って計画を実行に移した。大至急マザーコンピューターの管理機能を総動員して居場所を捜索することだ。うまくいけば最悪の事態だけは回避できるかもしれない』
言葉の内容の割に、淡々とした口調。そこからは何の感情も見いだせない。しかし、その抑揚のなさが、かえって緊迫感を煽った。
「どうして……どうやってここに―――!!」
彼は混乱しているショウをモニターの向こうから冷めた瞳で一瞥し、あっさりと答えた。
『機械が管理している所なら、抜け道はいくらでも。特に問題はない』
「残された時間はあとどれくらいだ」
まだ何か言いたげなショウを制して、エディは努めて冷静に彼に問いかけた。
『概算してあと3時間と少し……といったところか。急がないと手遅れになるかもしれないね?』
「エディ、信用できるのか?」
ショウの瞳が一層厳しさを増す。それだけモニターの向こうの人物は、ショウたちにとって警戒すべき人物だからだ。
『信用できないのは、理解できる。しかし、わたしとしてもこれ以上信用を得るための資料の提出は不可能だ。信じてもらう他ない』
「それで、信じて我々に何かメリットはあるのか?」
「ショウ………実は彼は………の」
耳打ちされた内容にショウの表情が強張っていく。
エディは無言で頷いた。
「調査は既に………それでは……。」
ショウの中でパズルのピースが埋まっていくように、幾つかの疑問が明瞭となっていく。それにより、ショウは漸くこれまでの筋書きを完全に把握することができたようだった。
『そろそろ急いだ方がいいのではないか?』
憎らしいほどに冷静な彼の言葉に、ショウは覚悟を決めたらしい。口の端を少し吊り上げ、笑う。
「わかった。そちらのご厚意を無駄にはできないし、こちらも期待に応えさせてもらおう」
月基地に残された時間は、あと僅かだった。




