Episode7 新訳青上強襲篇・前章
お久しぶりです!!
今回は、以前三姫本編で執筆した青上篇に、大量加筆したものを新訳としてお送りします!!
青上本編と見比べてみると面白い……あ、いや、やっぱり見比べなくても大丈夫です。
ではどぞ!!
ピカァァァ!!
とある6月の空は快晴、真っ青な空は清々しい。
生温い風、太陽の光を跳ね返すアスファルト、ちょっとじめじめした空気。
「よく来たね」
落ち着いた男性の声。
ちょいと長めの青みの掛かった黒髪、低い鼻、真っ黒な二つの眼。
「・・・・・」
俺は奴の顔に視線を向けた。
相変わらず、憎たらしい顔してやがる。
本当ムカつく。
「フフフ、君の仲間三人は・・・吉崎に瀬良、そして・・・」
奴の眼は虚。
何を考えているのか、全くわからない。
「・・・フフフ」
本当よく笑うよな、コイツ・・・。
あ、いや・・・お、俺は今日、コイツをぶん殴る!!
現在、昼の12時、青上の廃工場。
学校には風邪で休むと言ってある。
今頃、球技大会最終日の種目、バスケでもやってんだろうな。
平和だろうな。
「フフフ・・・木山君、狩られる準備は出来ましたか?」
俺の目の前には、青上ブルーパンチの皆様方。
そして牛渓、古宇宮。
「・・・俺はな、テメェみたいなカツアゲ程度でマジギレするような小さい心の持ち主には、絶対負けねぇ!!」
レッツ、自己暗示タイム!!
俺はナ〇ト、俺は忍のうずまきナ〇ト・・・。
「・・・ゼッテェシバくぜ」
夏哉は戦闘モードに!
「フン、君達は瀬良家を敵に回した事に後悔するだろう」
秋馬うぜぇ・・・
「・・・・・」
冬希は無言。
怖いのかな?
「フフフ・・・君達はとても愚かだな」
小者の古宇宮には、ぜってぇ負けねぇってばよ!!
「・・・では、早速今回のルールを説明しましょう」
「ルール?」
古宇宮君?
ルールって何?
「ルールは至って簡単。君達四人のうち、誰か一人でも人質を捕らえている倉庫内に入ることが出来たら君達の勝ちだ」
は?
「人質はこの廃工場の敷地内にある“第一倉庫”に閉じ込めてある。君達の誰かが、この倉庫内に入れたら君達の勝ちって事だ」
って、ゲーム感覚!?
「倉庫に入口は四つ。東西南北に一つずつだ」
分かりやすいな・・・
「ちなみに、こちら側からは僕を含め四人で倉庫を守る。つまり四対四」
「・・・・・」
本当かよ?
「安心しろ。他のブルーパンチ団員には手出ししないよう命令してある」
ほ、本当か?
「・・・フフフ、では今から五分後にスタートだ。ちなみに、制限時間は今日中。今日中に倉庫内に入れなければ、君達の負け。皆殺しだから」
・・・マジでか
殺すって・・・
「フフフ・・・では」
そう言うと、古宇宮と牛渓は去って行った。
その後・・・
「相手は四人で、倉庫の入口は四つ・・・多分、一つの入口に一人ってとこだろう」
現在作戦会議中!!
「じゃあ、みんなで一つの入口を攻めるか? 一番の安全策だが・・・」
秋馬が真面目策を提案。
「そうだな・・・でも、四人で纏まって行動すると、万が一トラップなんかがあった場合、簡単に全滅するぞ?」
夏哉君、まさかの否定!?
「・・・だが、安全に行動するなら四人だ」
秋馬食い下がる!!
「一人一人の方が全滅の確率は減る。それに、一つの入口に一人とは限らない。もしかしたら一つの入口に四人って事も・・・」
夏哉・・・もしかして孤立希望?
「う〜ん・・・」
ぶっちゃけ、俺と冬希は戦力外。出来れば四人の方が・・・
「・・・人質を救助した際、逃げ口が多い方がいいよね・・・」
ここでボソリと、冬希が意見。
「一つの入口を攻略して人質を救助しても、万が一ブルーパンチ団員が手を出してきたら・・・俺達は袋の鼠になるな」
・・・え?
「後の事を考えると・・・二人ずつに別れて、北と南から攻略するのが吉だな」
・・・はい?
「ああ・・・そうするか」
うそぉん・・・
で、結果
北入口攻略メンバー
木山春吉
吉崎夏哉
南入口攻略メンバー
瀬良秋馬
梨本冬希
そして・・・
「・・・五分経ったな・・・」
正直怖い。
平和主義、無喧嘩無トラブルの俺が、天下の不良と戦うなんて・・・
けど・・・
「・・・行こう」
皆を助けたい。
小者古宇宮にギャフンと言わせるんだ!!
葉城の皆様を助ける、大作戦の実行。
青上工場第一倉庫、北入口。
「・・・来ましたね」
「・・・・・」
俺と夏哉は北入口へやって来た。
そして、北入口には・・・
「マジでか・・・」
そこにいたのは、古宇宮と牛渓。
「・・・読まれたか」
夏哉はボソッと呟く。
「・・・フフフ、木山に吉崎・・・」
不適に笑う古宇宮。
相変わらずキメェな。
「・・・おい春吉」
「ん?」
小声で話し掛けてきたバネ人間。
何だ?
「お前、ここであの二人を引き付けとけ」
は?
何だ突然!?
「ここに二人いるって事は、どこかの入口ががら空きって事だ」
ふむふむ。
「だから俺、ちょっくら東入口行ってくるから、あの二人よろしく」
「はあ!?」
え、何?
喧嘩ど素人の俺に、喧嘩最強集団のリーダーとその相棒を引き付けとけだ?
「む、無理っス!!」
無理無理無理無理無理無理無理無理無理だ!!
普通に考えて無謀。
「うるせぇ、とにかく頼んだぞ」
ってうおぉぉい!!
あいつ、全力疾走で東入口に向かっていきやがった!!
「ちょ、ちょっと・・・」
嘘だろ・・・
「フフフ・・・」
ひ、ひぃ〜!!
や、やばい・・・
古宇宮が笑った!!
「・・・牛渓、奴を追え。コイツは僕が狩っておこう」
「・・・御意」
ってうおぉぉい!!
ウシタニ君も全力疾走で東入口へ・・・
な、夏哉・・・お前の行動意味ねぇー・・・。
「フフフ・・・」
ハッ!!
この不気味な笑い声!
「さて・・・僕らも殺り合おうか」
・・・・・無理だ。
「フフフ・・・」
「・・・・・」
む、無理っス。
勝てる気がしないっス、ウッス。
「どうした? 早く掛かってこないのかい?」
今回の事件の首謀者、古宇宮と一騎打ち。
初めはね、あんなキモい野郎なんかぶっ飛ばす!! みたいな感じできてたんですけど・・・
「フフフ・・・では、こちらから行きますよ?」
あの・・・奴・・・古宇宮の手にね、何だか・・・銀色に光る・・・鋭利な物が・・・。
「あのー古宇宮さん」
「・・・何か?」
お、乗った。
「その、貴方様が手に持っている、その銀色の物は一体・・・?」
怖いけど聞いてみる。
「これですか?」
古宇宮は、その手に持っている物を軽く上に掲げた。
「これは、名刀“嵐雲月陰”ですが何か?」
ランウンゲツエイ?
って、
「って、もろガチの刀じゃねーかッ!!」
ノーマルに突っ込んでみた。
「そうですよ、これはれっきとした真剣」
この人、もしかして銃刀法を知らない?
ってか反則!!
「我が古宇宮は戦国時代、とある名武将に仕えていた武家の家。真剣の一本や二本、普通にあります」
あ、あんですと!?
「フフフ・・・今日は一本、家から拝借してきました」
キラリ〜ンっと、シルバーに輝く刀。
こ、怖い・・・。
「フフフ・・・では、行きますよッ!!」
や、ヤバイか? この状況。
つか、真剣とかホント反則だろッ!?
マジで殺人鬼?
その時・・・!!
バリバリバリッ!!
ドッカァァァン!!
ドッ!!
「・・・えっ!?」
倉庫の東西南からそれぞれ、かなりの轟音が聞こえた・・・
ってか、今の音何!?
「・・・ほほぅ、各自決着が着いたみたいですね」
決着?
「さて・・・では僕らもそろそろ・・・」
「うぅ・・・」
うわっ、こっちに来るよ古宇宮が!!
「ちょ、タイム!!」
「待ったはナシです!! ・・・フフフ!!」
あ、あかーん!!
殺されるよぉ!!
「くそっ・・・」
どうする・・・
この際、飛び掛かってみるか?
・・・返り討ちに合うな、絶対。
「フフフ・・・」
くそっ、マジでどうする・・・!!
その時!!
キィ〜キィ〜キィ〜
「ん?」
な、何の音?
鉄の擦れるような、鋭い音・・・。
キィ〜キィ〜キィ〜
「・・・フフフ、この音は」
古宇宮は何故か、倉庫の方を凝視。
すると・・・
キィ〜キィ〜キィ〜
「あ〜だりぃ〜」
そ、倉庫の陰から、リアカー引いた若い兄ちゃん来た!?
「櫛山か・・・」
櫛山?
「あー、古宇宮いた」
櫛山って人は、リアカー引きながら古宇宮の前へ・・・ってか新手!?
「櫛山・・・南と西の守護はどうした?」
古宇宮が真面目に質問。
「あー、その事でお土産持って来た」
何やってんだ、あの二人?
「お土産?」
「ああ、リアカーの中見てみ」
な、何やらごそごそとやってるな・・・。
「・・・フフフ」
うぅ・・・ここからじゃ中身見れない
「フフフ・・・櫛山、あいつにも見せてあげなさい」
「あいつ・・・ああ、あんたの相手の」
すると、リアカー引いた櫛山はこっちへ接近。
「あ、あの・・・」
「・・・アンタ、名前は?」
「な、名前?」
何だこの人?
「き、木山春吉!!」
「春吉か・・・先に言っとくが、これは古宇宮の命令だからな」
ん?
何が?
俺は、恐る恐るリアカーの荷台に視線を向けた。
「・・・えっ」
な、何だコレ?
「・・・これはさっき、俺が各入口で拾ってきたものだ」
リアカーの荷台に乗せられていたのは・・・
ボロボロのバネ人間、真っ赤なハゲメガネ、無傷な冬希。
・・・無傷?
ちなみにみんな意識なし。
「安心しろ。梨本って奴とそっちの長身の奴は気絶してるだけだ。メガネの奴は火傷してっけど、命に別状はねぇ」
「えっ・・・?」
みんな・・・
「フフフ・・・櫛山、ついでにそいつも狩りなさい」
なっ・・・
「・・・また命令か」
「早く狩りなさい」
「・・・・・」
ひぃ〜!!
この人、釘バット持ってる!?
「狩りなさい」
「・・・ああ」
くっ・・・来るか?
どうしよ・・・。
「じゃ、行くぜ」
「こ、こいやぁ〜!」
しゃーない、俺は腹をくくったぞ!!
「・・・フッ」
は、鼻で笑われた!?
「・・・・・ッ」
次の瞬間!!
タッ!!
「何っ!?」
「覚悟しな」
ガキィ〜ン!!
その瞬間、櫛山の釘バットは、何故か古宇宮の刀とぶつかり合っていた。
「えっ・・・」
な、何がどうなって・・・
「・・・櫛山、これはどういう事です?」
「・・・フッ、悪ぃが狩りの対象、アンタにさせてもらうぜ」
ジジジジジジっと、刀と釘バットがぶつかり合い、火花が・・・。
「おい、春吉だっけか?」
「は、はい?」
櫛山が古宇宮相手に話し掛けてきた!!
「そのリアカー引いて、倉庫の中行け」
「はい!?」
え・・・?
「櫛山・・・どういうつもりだ」
おおぉ・・・古宇宮の額にシワが!!
「・・・もう、お前の下で喧嘩すんのは懲り懲りだ。まぁ、謀反ってやつ?」
櫛山と古宇宮は戦闘中!!
・・・今、チャンスだよな!?
何故かは知らんが、相手は仲間割れの模様。
よし、俺はとりあえずリアカーを引っ張る!!
「うおぉ〜!!」
高校生三人は重い!!
けど、俺はそのまま倉庫へGO!