Episode1 美しき羽の思い
ども〜!!
今話は三姫本編第2話の番外編です。
今回の主人公は濱垣美羽!!
私には、昔からの幼なじみがいる。
たまたま家が近くて、幼稚園が一緒だったから知り合った。
アイツはバカで、アホで、マヌケで、オタクで、デリカシーなくて、センスもなくて、おまけに男のくせになよなよしてる。
正直、もっとしっかりして欲しいっていうのが、私の感想。
こう、男としてしゃきっとして欲しい。
けど、
そんなアイツにも、いい所はあったり。
優しくて、たま〜にだけど頼りになる。
幼稚園の頃からずっと一緒だったアイツ。
幼稚園の頃は、一緒にお昼のお弁当を食べた。
一緒にお昼寝もした。
小学生の頃は、一緒に運動会のリレーで走った。
一緒に合唱祭で歌ったりもした。
中学生の頃は、一緒に修学旅行で京都を回った。 文化祭で一緒に劇もやった。
一緒に、卒業式で涙を流した。
楽しさも悲しさも、一緒に体験してきた。
もちろん、友達として、幼なじみとして・・・。
けど、いつからだろ?
私が、アイツを友達以上に思うようになったのは。
幼なじみ以上に、アイツの事を思ってしまうようになったのは。
私は・・・
「何してんの?」
「えッ!?」
誰かに話し掛けられた。
机に伏せていた私は、ガバッと起きる。
「どうしたの? 頭でも痛いの?」
「あ、いや・・・だ、大丈夫!」
「そ、そう?」
話し掛けてきた相手―――同じクラスメートの沖島さんは、まだ心配そうな顔。
「ほんと大丈夫だから、ほんとだから!!」
私は笑顔を作り、大丈夫をアピール。
私の名前は美羽。
濱垣 美羽、16歳。
〇〇県にある公立高校、葉城高等学校の2年3組在籍。
そして、私はこの学校の生徒会長でもある。
「さてと、授業も終わったし、今日も生徒会の仕事、春に手伝ってもらおうかな!!」
と、いう事で生徒会緊急事務員の木山春吉君を探そうと思ったんだけど・・・・・。
「・・・あれ?」
教室に・・・春がいない?
今は帰りのSHLが終わってから、まだ5分もたっていない。
いつもだったら、教室の後ろで波動拳大会とかやってるのに・・・。
「・・・美羽?」
「えっ!?」
突然後ろから呼ばれた。
「・・・どうしたの?」
「あ・・・なんだ、小夜かぁ〜」
そこにいたのは、私の友達の荏咲小夜。
手にはほうき・・・ああ、掃除当番なのね。
「・・・美羽、大丈夫? ぼーっとしてたけど・・・」
「あー、いや全然。ただちょっと、春を探してて・・・」
私はもう一度教室を見渡す。
・・・やっぱり、春はいない。
「・・・春吉なら」
「ん?」
小夜は外を指さした。
「・・・楓と一緒に帰ってたよ?」
「楓と?」
沢那楓、彼女も私の大切な友達。
「・・・(コクリ)」
「そ、そうなんだ・・・」
なんだ・・・帰っちゃったのか・・・。
「・・・何か用事でもあったの?」
「えっ!? ・・・あ、いや、別にたいした用事じゃないよ!!」
「・・・そう? じゃあ私、掃除当番だから」
「あ、うん」
そう言うと、小夜は廊下へ。
「・・・はぁ」
仕方ない、生徒会の仕事は一人でやるしかないか・・・。
ウチの生徒会はかなり忙しい。
部活や愛好会の報告書のチェック、生徒会予算の計算、生徒の生活面のチェック・・・等など。
「はぁ〜・・・」
今日も多分、ずーっとはんこ押しかな。
あとは、生徒会通信作って、学校のホームページを更新して・・・。
「・・・・・」
私以外、誰もいない生徒会室。
副会長も、書記も、会計も、庶務も全部私がやっている。
・・・そもそも、みんな用事で来てくれないだけなんだけど。
「・・・やっぱ一人だとつまらないなぁ〜」
永遠のはんこ押し。
段々と、指先が痛くなってくる。
「・・・・・」
・・・私は生徒会長。
そして、私は自他共に認める、極度の上がり症。
人見知りが激しくて、恥ずかしがりやで、人前が苦手で・・・。
本来なら、私なんかが生徒会なんかに立候補はしない。
けど、今こうして会長の位置にいる。
「・・・ふぅ」
・・・春は知ってるのかな?
私が生徒会に入った理由に、春がものすごく関係している事を。
あの日あの時、春が私に言った一言で、全てが変わった事を・・・。
「何でなんだろう・・・何で・・・」
私は・・・
春の事ばかり考えてんだろう・・・。
「考えてても仕方ないか!!」
生徒会の仕事が終わり、現在下校中。
「明日から、またいつも通りで」
今日は夕日が眩しい。
明日は晴れるかな!?
次回は本編第4話の番外編!!
お楽しみに!!