7話 講習 迷宮とは
「これから探索者になる為の講習を始めます。大抵の事は常識だったりネットに上げられたりしてるけど、確認の為と思ってちゃんと聞いて下さい」
講習の為の指導員の第一声がこれだった。
講習室には自分と突っかかってきた男女3人組、それとあと2人の計6人。残りの2人も若い。高校生かもしれない。探索者は16歳以上じゃないとなれないし、おそらく誕生日を迎えて16歳になったばかりなんだろう。
まあ卒業するまで探索者になるのを禁止している高校もあるが。
「ではまず迷宮とは」
***
迷宮とは。
その前にまず迷宮がいつ発生したのか語らなければならない。
発生の予兆は20世紀末、より詳しく言えば1999年7月。地球全土で揺れを観測。震度は3。他国は兎も角、地震慣れしている日本では「あ、揺れた」程度の事しか思っていなかった。
だが世界各国の地震学者は大いに困惑した。
地震の強さを示すマグニチュード、不明。
震源地、不明。
震源地が解らないから当然深度も不明。
文字通り地球が揺れたとしか言いようがなかった。しかし津波も噴火の観測もなく、被害はせいぜい一部の国の家屋が半壊した程度だ。
一般人にはただの地震としか認識されなかった。
だが、この地震以降、各地で奇妙なものが出現する。
それは至る所に現れた。森の中、山中、海上、建物の中――出現場所に規則性なんてものはなかった。ただ、中空に、吸い込まれそうな夜闇色の直径5m程の渦が浮いていた。
最初は誰も気味悪がって近づく事すらなかったが、ある1人の人物が興味本位で渦の中に入った。
その人物は後に『最初の探索者』と呼ばれるようになるのだが、それはさておき、その人物から「中は洞窟みたいで、宛らゲームに出てくるダンジョンの様だった」と世界中に伝えた。
その後、ファンタジー小説から引用して迷宮と呼称し、各国は迷宮探索の為に軍を派遣、それは日本でも変わらず、自衛隊を一個小隊、凡そ30名を迷宮に派遣し……そして壊滅した。生還者は5名たらず、中には化け物がいた事、銃火器が役に立たず、まるでダメージを与えられなかった事、電波が通らずダンジョン内と外の通信が取れず、またダンジョン内ではやり取り出来たものの無線のバッテリーの消耗が早く無線が30分ともたなかった事、一方でナイフといった原始的な武器が有効な事、生き残りの中に火の玉の様なものを出現させ化け物を倒した事などなど。
その事から各国政府は迷宮は危険物と判断。コンクリート等で渦を封鎖したのだが、その判断が間違ったと思い知らされる事になる。
封鎖が決定し、迷宮の入口をコンクリート等で固めて入れなくしてから約半年、世界各地で封鎖していた迷宮から化け物……魔物が湧き出てきた。当然民衆は大パニック、多数の死傷者が出た。後に迷宮門崩壊と呼ばれる現象だ。日本だと新宿の都庁ダンジョン、ここでも迷宮門崩壊が起きた。今でも都庁から半径1kmは完全封鎖されている。
結局今まで封鎖していた迷宮を全開放する羽目になった。何せ、どんなに入口を固めても、壊されて湧いてきてしまうんだからね。それに迷宮もけっして悪いものだけではない事も後々判明した。その最たるものが魔石だ。
とある1人の人物が半透明の結晶、魔石に膨大なエネルギーが内包されてる事を突き止めた。因みにその人物は現在探索者協会の研究部所長なんだが、まあそれはさておき。
それでも内包されているエネルギーを抽出、変換するのはかなり苦労したらしい。尤も、今では水力や火力、原子力に代わる魔力発電所も作られ、自動車なんかも魔石を燃料にして動く様になった。無公害だし環境保護団体が騒いだりもしなかったよ。まあ魔物を保護しようとする訳の解らん団体が立ち上がったりもしたが。
さて、ここ最近の迷宮の歴史は皆知ってるところだろう。なので迷宮の種類について話そう。
迷宮には様々なタイプのものがあるが、大きく分けると2種類になる。
まずはラビリンス型。ギリシャ神話のミノタウロスの逸話で有名な迷宮から名前がとられたが、名前の通り迷路になっている。形状はオーソドックスな洞窟や人工的な石壁、何かの建築物の通路と様々だが、まあこっちの方が迷宮としてのイメージは強いだろう。
もう1つはフィールド型。兎に角広大な迷宮で、草原や森林、海中、山岳地帯、中にはファンタジー小説そのままの街なんかもある。また形状によって生息する魔物も違ったりするが、これはラビリンス型も同じだな。
で、ラビリンス型にはラビリンス型の、フィールド型にはフィールド型の、厄介な点がある。
ラビリンス型は迷いやすい。一応地図はあるがそれでも迷う者はいる。
フィールド型は広大すぎて帰還が大変だ。しかもご丁寧に層毎にボスがいるのだが、フィールド型の方は放浪してるからな、いきなり遭遇なんてのもあり得る。ダンジョン型もボスがいるがこちらはボス部屋があって解りやすいな。
それと迷宮は最大で5層に分かれている。表層、上層、中層、下層、深層の5層だ。『階』ではない、『層』だ。ラビリンス型だと基本5階で1層だが、必ずしもそうではない。1層につき10階とかもあればたったの1階降りただけで層が変わる事もある。まあ層毎にボス部屋が設けられているからそれで判断するといい。因みにフィールド型は1階1層が原則だ。場合によってはあまりにも広大すぎて全部の層が収まっている場合もある。その場合は基本最奥が最下層でな、奥に行くと層が変わるが、それを判断するには敵の強さから計るしかない。
さて、そんな迷宮だが、協会としては迷宮の破壊、消滅させる事を推奨しているのだが、政府はそれを望んでいない。当然だ、魔石という金のなる木をなくすような事は許可出来ないんだろう。しかし協会は迷宮の危険性を説いている。探索者の多くも心情としては政府側だ。当然だ、迷宮がなくなってしまっては飯を食っていけなくなるからだ。とは言え、迷宮が危険なのは事実だ。迷宮門崩壊だけじゃない、別の理由もあるそうだが、まあそれは眉唾物だ。なので協会と政府は仲が悪い。
因みに迷宮のボスを倒すと、その迷宮は休眠期に入る。最短1日、長くて1週間程だ。これも勘違いしないで欲しいのだが、階層のボスじゃない、迷宮のボスだ。各階層のボスを倒しても休眠期に入らないからな。だから政府は消滅ではなく休眠させればいいと判断している。
さて、長々と話してしまったね。少し休憩に入ろうか。
***
なかなか興味深い話だった。しかし他の……特に自分に絡んできた若者は船を漕いでいる。それはそうと。
「すみません質問があるのですが」
「ん、構わないよ。それで何を聞きたい」
「何故協会は迷宮を消滅する方向に舵を切っているんですか?」
「ああ、それはね……放置しておくと他の世界と重なってこの世界が崩壊、消滅するから、だとさ。これを提唱してるのは研究部所長の泡手愛莉所長なんだが……果たして本当なのかね?」
思い切り物騒な答えが返ってきたな。
キャラクター紹介
泡手愛莉
30代後半。女性。腰まで伸ばした黒髪、キリッとした顔立ち。かなり若く見え、若い頃から(というか今でも)異性(時に同性)から告白されていた。告白を全て断っているためか影で『鉄壁の女』と呼ばれている。
現時点では名前のみの登場。探索者協会研究部の所長。
迷宮適性SS、スキルは『鑑定』……と言われている。
次回も説明回……話進まねえ。
ヒ◯ロ「五◯、教えてくれ。俺達はあとどれだけ評価ptを入れればいい? ゼロは俺に何も答えてくれない……教えてくれ、五◯」
五◯「ここでも……なのか?」
(ス◯ロボYの中断メッセージにあったのでw てかαでもあったぞ、この中断メッセージwww)




