50話 乱入する変態
なんだこれ。
鍵をかけていたドアを思いきり蹴破って、入ってきたのは1人の女性。お団子ヘア、赤いチャイナ服、モロに中華系だ。顔立ちは整っており、ツリ目、紅い口紅。うん、これまた典型的なアジア系美人だ。それとスタイルが良く女性にしては長身。モデルと言っても差し支えないだろう。
あと通路の方では手を合わせてペコペコ頭を下げる陳さんの姿。
ドアに関しては……ドアノブが完全に壊れている。どんだけだよ。
:誰?
:誰?
:てかめっちゃ美人。
:いや美人だけどドアぶっ壊したぞ、この人。
「ウフフ……ハァハァ、生マンドラちゃんカワユス……ペロペロしたイ……ううん、スルネ!」
「ひあああああああっ!?」
猛スピード(一応目で追える)でマンドラちゃんを植木鉢ごと抱え。
「イヤーン、カワイイ! ペロペロ」
「ふひゃああああああ! なんなのです!? やめてです!? ちょ、やーめーてーなーのーでーすー!!」
:舐めとる。
:うわぁ……
:変態だぁ……
:これはまごう事なき変態だ。
:ひょっとして変態ネキ?
:¥50000
違いますわ! 私、ドMの変態を自覚してますが、分別はありましてよ!
:¥50000
あとあんな胸部装甲持ち合わせておりませんわ……自分で言ってて虚しくなりますわ
:変態ネキは貧乳、と_φ(・_・
:貧乳はステータスだ!
:ビバ貧乳!
:だが変態だ。
:違うそうじゃない。あのねーちゃん何者?
「マンドラちゃんを離しなさい! て力強っ!」
なんとか取り戻そうとするも全く動かない。いくらガッチリと植木鉢をホールドしてるとはいえ、全然ビクともしないとは……
ええい、致し方ない。
「マンドラちゃん、ボイス!」
「はいなのです! 『わっ』!!」
「うひゃあ!?」
配信では伝えていないが、マンドラちゃんの『スタンボイス』は地上でも使える事が判明している。効果は落ちるが、それでも充分。
緩んだ隙にマンドラちゃんを取り戻す。
「うわー、ビックリしたネ」
「ふえええええん! パパ、怖かったのですー」
マンドラちゃんガチ泣きである。そりゃ知らない人にいきなり舐められたら誰だって怖い。
「というか誰だ……いやまあ想像つくけど。何より視聴者が君が誰なのか気にしてる」
現に「誰?」というコメントがちらほら見受けられる。
「ヤ、ソー言えば直接の自己紹介マダだタネ。你好! ワタシ龍美麗言うネ。中国は香港出身迷宮適性SSの探索者ネ!」
:中国!?
:SS!?
:とんでもねーのが来たぞ!?
:成程、それならドアノブを壊せるのも頷ける……いやいやいや、普通無理だろ。
:そーいやすこオジがマンドラちゃんを取り返そうとしたけど全然無理だったな。
「んん? ナンテ書いてルか解らないナ。日本語ムズカシー」
「喋れるのに読めないのか……」
「喋るのト読むトは別ネ。デ、ナンテ書いてアルネ?」
「ドアノブ壊したり出来たのがおかしいんだとさ」
実の所、自分もそこは気になっている。
「ワタシのスキル『気功』ネ。使ってたのハ硬気功ヨ」
スキルの効果か。実際一部……というか大半のスキルは地上でも使える。ただし身体能力は素なので迷宮内の様なぶっ飛んだ効果は得られないが。
で、その後当人から聞いた話、この『気功』というスキル、所謂強化系のスキルだ。中国武術の気功ほぼそのまんまらしい。さっき使っていた筋力その他諸々を底上げする硬気功に身体を癒す軟気功、某漫画の消力よろしく、全身の力を抜いて身体を軽くする軽気功など。ただしその効果は段違い。なんなら波○拳みたいなのも出せるそうだ。ただの強化よりも汎用性が高いスキルだ。
で、態々自分に会いに来た理由、最早聞かなくても解る。マンドラちゃんに直接会いたかったからである。けど思いきり暴走してしまい、結果アレである。
しかもマンドラちゃんに怖がられてる。というかトラウマ植え付けてる。
「イヤー、あまりノ可愛さにチョット暴走しちゃったヨ。ゴメンネ」
「だからってあれはないでしょうアレは。マンドラちゃん怯えきってるじゃないですか」
「パパ、この人怖いのですぅ……」
マンドラちゃん涙目である。
:龍美麗の事調べたんだけどさ。同性愛者って出たぞ。
:百合?
:どっちかっつーとクレイジーサイコレズ。
:うわぁ……
:スコおじ、マンドラちゃんを守ってやれよ……
:涙目マンドラちゃん可愛い。
:かわいそうはかわいい。
:お前ら……
とんでもない放送事故が起きてしまったものである。配信を続けてもいいけど、なんか収集がつかなくなりそうだし。少しでも隙を見せるとまたさっきの様に強奪されそうだし。
仕方ない、止めるか。
「えー、彼女がなんか虎視眈々とマンドラちゃんを狙ってて配信どこじゃないので、今日は止めますね。何か質問とかあればマシュマロ投げてくれれば。それではまた」
「パパぁ! この人やー! お家帰るですー!」
「アアッ! 可愛いスギて鼻血出そう……」
:お、おう……
:なんというカオス。
:次の雑談配信はいつになることやら……
:¥50000
またお待ちしておりますわ。あとそこの変態、スコおじ様に手を出したら許しませんわよ。
:変態ネキ……
:変態ネキもブレねぇな……
:変態ネキに変態呼ばわりされる変態……
:コメもカオスw
配信は終了しました。
***
「はあ……全く勘弁してくださいよ」
空気を読んで入ってこなかった陳さんが頭を抱えながら呟く。
「ゴメンゴメン。ケド我慢出来なカタヨ。反省ハシテイナイ」
「いやしろよ!」
漫才かな。まあ言いたくなる気持ちは解らなくもない。
「と・に・か・く! 龍さんには壊したドアの弁償代、払ってもらいますからね!」
「問題ナイネ」
「あと中村さん、彼女を引き止める事が出来なくて申し訳ない。この埋め合わせはいつか」
「はは……気にしてないと言えば嘘になりますが、そこまで迷惑を被った訳ではないですし。ただ……」
虎視眈々と狙っている龍さんを牽制する様に抱えているマンドラちゃんを見ると、ガチで怖がっている。トラウマを植え付けられたのは間違いない。
「ウェヘヘ、マンドラちゃーん」
目を光らせ、手をワキワキさせてる龍さんにマンドラちゃんは。
「この人嫌い!」
「ガファっ!? ソンナ……マンドラちゃん…………」
この一言でショックを受けたのか、龍さんが撃沈した。
「はーい、いくら適性SSでもやらかした事には変わりないですからね。説教です」
「そ、ソンナご無体ナぁ〜〜〜〜〜」
と、陳さんに引きずられていった。因みに正座で説教食らったらしい。南無。
キャラクター紹介
龍美麗(北京語読み。広東語だとルン・メイライ)
髪をシニヨンに纏めた典型的な中華美人。女性にしては身長が高く、だいたい中村と同じぐらい。スタイルも良く、出るところは出て引っ込んでいるところは引っ込んでいる(上から90、60、90)
香港出身の探索者。性格は明るく社交的なのだが、可愛い女の子が絡むと、途端にクレイジーサイコレズへと豹変する変態。尚、以前に七津見の仲間の1人に手を出そうとして手痛いしっぺ返しを食らった事がある。同性愛者ではあるが男性との行為もそこ迄は嫌いではない模様。快楽主義者。
以外と頭が良く、中国語(北京語、広東語両方話せるが普段は広東語)、英語、日本語を話せるが、日本語の読み書きは出来ない。
スキルは『気功』で、強化系のスキルは彼女が起点となり、数多の探索者に発現していった。
声のイメージは釘宮理恵。
なんだこれwww
というかなんだコイツwww
次回はどんな話にしようか……
「この作品に評価ptを入れていない? もしかして……ビビってるんですかぁ?」(CV沢○みゆき)




