34話 卑弥呼巫女ミコ……?
感想で当てた方いましたが……ヒント解りやすかったですね。
「神殿……?」
下層のボス部屋も広い空間だが、一点だけ違うところがある。
古代日本の神殿らしき建物があるのだ。
今までこんな建築物が出てきた事なかったので少々面食らう。そして中から1人の女性が出てくる。
彼女が人間でないのは一目瞭然だ。
古代日本の巫女装束……の割には今の巫女装束も混じっている形状の服装で胸元が露わになっている。額には丸い小さな鏡、銅鏡を模した装飾の付いた冠に、勾玉を繋げた首飾り。手には神楽鈴。しかしその肌は青白く、目には瞳がなく赤い。ザンバラ髪でこれまた憎悪の表情を浮かべている。
しかしその容姿は何処と無く気品も感じられる。そう、まるで古代の女王のような。
“卑弥呼かな?”
“あー! 言われて見れば確かに!”
“けどなして卑弥呼?”
“生目古墳1号墳やろ? そこ卑弥呼の墓って説があるんよ”
“卑弥呼の墓は箸墓古墳だろ? 嘘乙”
「いえ、実際にそういう説もありますよ」
というのもこの古墳、当初は3世紀後半に作られたとされていたのだ。しかも箸墓古墳と同時期、或いはそれよりも前。今は4世紀頃となっているが、実際のところどうなのか解らない。何せ誰も調べないから。しかも迷宮まで湧いてしまっては尚更だ。
因みに箸墓古墳もあくまで卑弥呼の墓の可能性がある、というだけで断定は出来ていない。
“ほへー”
“じゃあやっぱり卑弥呼なのか?”
“まあワイらが想像してる卑弥呼の姿だよな”
“悪堕ちした卑弥呼”
“じゃあ黒卑弥呼(仮)で”
強欲:“その容姿からそうと思うのは仕方のない事だけど、アレ、カースソーサラーよ”
“はあ!?”
“いや、ちょ、待って!? 俺の知ってるカースソーサラーと見た目全然違うんですけど!?”
“てかカースソーサラーって男じゃねーの?”
カースソーサラー。カオスではなくカースだ。文字通り呪いをかけてくるソーサラーだ。コメントでもあるようにカースソーサラーは男の外見をしているのだが、どう見ても女性、それも妖艶という言葉が似合う女性だ。
強欲:“あら? カースソーサラーが男性なんて縛りはないわよ。女性のカースソーサラーがいたってなんらおかしくないわ。まあ変異種なんだけど”
“マジかー”
“しかし……”
“エッッッッッッッ”
“叡智だ”
“怒ってるけど美人だよな”
“けど魔物だ。そんでボスだ”
“すこオジ様はあんなので腑抜けになったりしませんわよね? 私以外で腑抜けになるのはダメですわ。あ、私がすこオジ様に腑抜けにされてましたわ”
“うわー”
“てか魔物と競うなw”
ヤバいコメントのせいで緊張感もあったものではないが……カースソーサラーは確かにボスとして出てきても違和感はない。寧ろ想定内のボスと言える。
中層ならば。
そう、中層のボスなのだ。カースソーサラーは下層に出現する人型の魔物だ。下層の人型魔物は人間に近い容姿をしており、他にもブラックナイトだとかダークプリーストだとかイビルマジシャンだとかあまり人間と区別がつかない。それでも魔物と解るのは瞳のない赤い目をしているから。つまりあのカースソーサラーも魔物だ。見た目に騙されてはいけない。
カースソーサラーがシャンと神楽鈴を鳴らす。すると地面から黄泉軍と黄泉醜女が出現する。かなり多い。合わせて軽く30体はいるだろうか。
“また数の暴力”
“大丈夫だ、このおっさん何度もその数の暴力を跳ね除けてきた”
“たし蟹”
“なら余裕か”
“けどボスがそれって拍子抜けもいいとこじゃないか”
“然り。ぜってーなんかある”
再び神楽鈴を鳴らすカースソーサラー。黄泉軍と黄泉醜女が紫色の光に包まれる。あ、これなんかバフがかかったぞ。
“カースソーサラーがバフ? デバフなら兎も角バフはかけんぞ!”
“強欲言ってんじゃん、変異種って”
“中村さん、今のバフ、恐らく全能力強化だ。これまでの黄泉軍や黄泉醜女と違うぞ。と、うちの暮内が言ってた”
“全然カースソーサラーじゃねーよもう! 黒卑弥呼でいいだろもう!”
“じゃあカースソーサラー改め黒卑弥呼で”
勝手に命名してしまった。まあ見た目卑弥呼っぽいのでいいけど。
さておき、そっちがバフで強化するならこっちも聖水でスコップを聖別化だ。黄泉軍も黄泉醜女も分類上アンデッドに属している。念の為と渡された聖水だが、本当に使う羽目になるとは。
ただ、こちらがスコップに聖水をかける前に仕掛けてきた。魔物に正々堂々なんて通用しないのは解りきっていた事だ。効くかどうかは解らないが、炎術符で牽制だ。
炎術符を向かってくる黄泉軍に向けて放つ。そのまま飛んでいき派手な爆発音をあげる。威力は使用者に左右されない固定のダメージだ。なのでバフの効いた黄泉軍を倒す事は出来なかったが、吹き飛ばす事は出来た。これで余裕が出来た。今の内に聖水をスコップにふりかける。聖剣ならぬ聖円匙ってところか。
タン、と一気に駆け寄り一閃。黄泉軍を一気に数体両断する。おお、威力が段違いだ。これなら下手に本気出さずにいける。
“一瞬ひやっとしたけど結局スコおじ無双か”
“嗚呼、スコおじ様、凛々しいですわカッコいいですわ! いつかすこオジ様のスコップで私の《自主規制》を《自主規制》してくださいましぃ!”
“自主規制発言して自主規制だらけになって草”
“そのうちこの女、コメント全部自主規制になりそうw”
“安定して戦えてるおっさん誰も心配してなくて草”
“だって……ねえ”
しかし減らないな。と思ったら倒した矢先に黄泉軍が補充されてる。これ上手く活用すれば魔石稼げないかね?
だがそうは問屋が降ろさないようで、なんとここの黄泉軍、魔石すら落とさない模様。これはボスの黒卑弥呼を倒さないといけないようだ。
しかし相変わらず多数の矢と火球が飛んでくる上に倒しても減らない黄泉軍が邪魔をする。モンスターハウスよりも広い空間だから避けるのは容易いが、その分黒卑弥呼に近付くのがより厳しい。
だが決して不可能ではない。スコップを聖別化した事によって殲滅度が上がっている。火球と矢の合間を抜い、壁の様に塞がる黄泉軍を一薙ぎで屠り、黒卑弥呼に通ずる道が出来た。ここで一気にかけようとして。
黒卑弥呼が嗤っている事に気付いた。
黒卑弥呼が魔法を放ってきた。完全に油断していた。左右に避けようにも黄泉軍の壁が出来ていた。上に避けようにも火球と矢が飛びジャンプもままならず、しゃがもうにも魔法は自分を巻き込むには大きさで、ガードするもまともに受けてしまった。
ダメージはない。けど自分の精神が。
「う? あ……うわああああああ!?」
恐怖に支配された。
中村はなんの魔法を受けたのか、そしてどう対処するのか待て次回!
「左舷、弾幕うすいぞ! 何やってんの!?」(鈴○→成○ボイス。尚、本編では言ってない)




