2話 妻の不倫と冤罪と
一話あたり2000〜3000文字くらいにします。それより長くなる時もあるでしょうがなるべく短くします。
出張が早く終わったので帰宅したら、玄関に男物の靴があった。
少なくとも自分のものじゃない。妻の親類……義父かとも思ったが、それならそれで来ると一報を入れる筈。では誰の靴なのか。
まぁ大方の予想はついてるが。
何せ寝室の方から妻である美沙の声ともう一人、男の声が聞こえる。しかもどう考えても最中の声だ。
そろりとドアを開けてみれば、これまた予想通り、美沙と男がいたしてた。
頭が真っ白になり、嘔吐しそうになるもなんとか堪えてスマホでパシャリ。
証拠、ゲットだぜコンチクショウ!
あとは遠慮なく突入、する前に録音するのも忘れない。
ドアをバーンと開ける。
「うわっ」
「きゃあ!」
「はいどーも。お二人ともお昼からお盛んですな。てか黒沼部長、何してんですか?」
そう、妻とベッドの上で乳繰り合ってたのは上司の黒沼部長。
社内でも仕事の出来るナイスミドルなイケオジとして女性社員に人気が高い。そんな人が妻と不倫してるとはね。しかも勤務時間中に。
「何って……見て解らないのか? 美沙を抱いていたに決まってるじゃないか」
「うわ開き直ったよこの人」
「まぁいつかはバレると思っていたがね。存外バレないものだね。まさか15年以上かかるとはな」
呵々と笑う黒沼部長。今15年て言った? そんな前からしてたのか……
「さて、バレてしまったものはしょうがない。美沙、行くぞ」
「ええ、そうね」
二人とも服を来て出ようとする。
「いや謝罪とかないの?」
「必要ないな」
「今まで気付かなかったあなたが馬鹿なのよ。じゃさよなら。慰謝料よろしくね」
等と全く反省の色を見せない二人は腕を組みながら仲睦まじく出ていった。
***
さて、汚嫁と間男が出ていったところで確かめたい事がある。通帳だ。
美沙は何か持ち出して出ていった訳ではない。準備とかしてたら話は別だが、生憎といきなりの事だったしな。持ち出す余裕なんかない筈だ。
という訳で家探しだ。ま、通帳が何処に保管してあるか把握してるのだが……
で、結論から言えば貯蓄はほぼ無くなってた。1000万以上あった筈なんだが。流石に自分の通帳には手はつけられてなかった。
賃貸契約書も念の為手元に置いておこう。何があるか解らないからな。
とそんな事をしてると。
「ただいまー」
娘の陽茉莉が帰ってきた。陽茉莉は中学2年。美沙に似てかなりの美人だ。因みに美沙は40前だというのに20代後半に見られる程若々しい。
「おかえり、陽茉莉」
「ちっ」
あからさまな舌打ち。小学生の頃はこんなのじゃなかった。素直で自分にベッタリな良い子だった、けど今は露骨に避けてる。いや、避けてるというより嫌ってる。舌打ちなんかまだ可愛い方で、何かと罵詈雑言を投げかける。美沙も止めないから更に増長する。正直親子の情は冷めていた。
「ママは?」
「出ていったよ。他の男と不倫してね」
「ふーん、そうなんだ。てか今頃気付いたの? ダッサ」
どうやら陽茉莉も美沙の不倫の事は知ってたらしい。
「それで、陽茉莉はどうするんだ? お父さんは離婚するつもりだけど」
「は? どうするって? そんなの決まってるっしょ。ママに付いてく。誰が他人のアンタなんかと。気持ち悪い。それに本当のパパカッコよくて優しいし。アンタと雲泥の差だよ」
正直解ってた事とはいえ、ここまで言われると凹む。というか今さらっととんでもない事言ったな。自分は赤の他人で、本当の父親がいるって。つまり托卵という事だ。
念の為録音してて良かった。
「じゃママと本当のパパのとこに行くから。もう一生会わないと思うけど。それと……」
陽茉莉は一拍おいて。
「ざまぁ。パパにママが寝取られてたの知らなかったとかだっせーヤツ。アハハハハ!」
醜く顔を歪め、嘲笑いながら陽茉莉もまた出ていった。
***
次の日、出社すると何やらおかしい。自分を遠ざけてるような。あと自分をみてはひそひそと話している。
「中村主任が奥さんと娘にDV働いてたんですって」
「ホントに? 人は見かけによらないわね……」
「あんなに人当たり良さそうなのに、幻滅だわ……」
ひそひそでは無いな。自分に聞こえるくらいの声で話している。
というかDVとかしてないんだが。どうしてそんな噂が……
「おはようございます中村主任。その……」
「おはよう八重元君。何かな?」
部下の八重元君が話しかけてきた。彼は部下の中でもとりわけ優秀で幾つもの契約を取ってきている、信頼のおける人物だ。
「中村主任がDVをしてるって、嘘ですよね?」
「当然だよ。一体誰がそんなデマを……」
「ですよね! 中村主任に限ってそんな事しませんよね。けど黒沼部長がそう言ってたんです」
やはり黒沼部長か。妻との不倫がバレたから自分を悪者に仕立てようとしてるのだろう。八重元君の様に信じない者もいるが、残念ながら鵜呑みにしてる者もいる。特に女性社員は殆ど黒沼部長が言っているデマを信じている。こうなると仮に自分が妻と黒沼部長の不倫を伝えても信じてもらえないだろう。
だが問題はそれだけではなかった。
「おい中村、社長室まで来い」
朝の挨拶も無しに黒沼部長が自分を呼びだした。一体何事だ?
社長室に入ると、社長は開口一番。
「中村君、きみ、横領してるそうだね」
……は?
キャラクター紹介
中村浩士
主人公、42歳。中肉中背、パッと見地味なおじさん。一人称は自分。外見のイメージはパ◯レ◯バーの後◯隊長。真面目で温厚な性格だが決してお人好しという訳ではなく、制裁等やる時はキッチリやる人。
オタクとまではいかないがラノベ好き。
若い頃はそれなりに身体を鍛えていたが、最近は忙しくたるみ気味。
黒沼とは同期であり、中村が主任止まりなのは黒沼の手によるもの。あまり目立った功績は無いが仕事は確りとこなす、能ある鷹は爪を隠すを地で行く人。
声のイメージは杉田智和。
いきなり胸糞な展開ですが、後々汚嫁と娘と間男には天罰が降るので平にご容赦を。
「死ぬぜぇ、俺を見た奴は死んじまうぞぉ」(某死神のパイロット)




