14話 激闘! 表層ボス戦
日間ランキング(ローファンタジー)の1位と2位をおっさんとおばちゃんが行ったり来たりしてるの草
中は広いドーム状の空間になっている。だいたい体育館くらいの広さだろうか。
そして出現する1体の魔物。
人型の魔物で背は低く黒い毛で全身が覆われている。見た目だけで言うとワーベアの子供だが、その体格はゴブリンに近い。
“バグベアかよ!”
“上層でも上澄みのヤツじゃん!”
“表層のボスとして出ていいヤツじゃねーぞ”
“因みにどんな魔物?”
“ゴブリンの上位亜種。体格はあんなだが、あれでオークよりも強い。流石にオーガには負けるが。主に素手で戦う格闘タイプのポケ……ゴブリンだ。あと単体で出現する。レッドキャップ同様レアな魔物だ。因みに中層でも出る。雑魚として”
“説明さんがつ”
コメントを見る限りやっぱりおかしいな、この迷宮。何があった?
しかし一向に動く気配がない。まるで自分を待ってる様な……
“あ、そいつ一対一を好む魔物だから。あとおっさんがバックパック背負ってるから動かないんだと思う”
なんというか珍しい魔物だ。こんなのもいるのか。背負っていたバックパックを地面に下ろしてスコップを構える。それを見たバグベアはニィ、と笑うとボクシングの様なファイティングポーズをとる。確かピーカーブースタイルとかいうファイティングポーズっけ?
バグベアがタン、タンとステップを踏み、一気に詰め寄る。てか速い!
バグベアの右フック。それを紙一重で避け、反撃しようとして。
「ヒットアンドアウェイですか……」
バグベアは自分の攻撃範囲外まで下がっていた。
“おっさん、それ……”
“作業着が……”
コメントを見て、自分の身体を見る。作業着がザックリと切れている。拳の風圧だけでこうなったのか? 本当に上層の魔物なのか?
だが……
「勝てなくも、ないですかね」
“マ!?”
“本気で言ってんのかおっさん!?”
“迷宮適性E(仮)なんだろ? 普通勝てねーよ”
“けどこのおっさん、適性Eっての疑わしいんだよな”
自分で言うのもなんだが、何となくだが勝てると思う。その事を肌で感じるのだ。現にバグベアは自分を警戒している節がある。
とは言え、こっちは格闘なんかズブの素人。バグベアは格闘慣れしている。少なくとも素人ではない。技術面で言えばバグベアの方が上なのだ。ならば。
「うだうだ余計な事考えずに攻撃!」
今度は自分の方からバグベアに向かう。バグベアも構えたまま自分に突進。交差の瞬間、スコップを下から斬るように振り上げる。
リーチの差でこちらの方が先に届く。バグベアは何かパンチを繰り出そうとしていた様だが、すぐに防御の構えを取り、一撃を防ぐ。体格差からか、バグベアが数m後方に吹っ飛ぶ。ダメージは……微妙だな。こっちも無理な体勢で攻撃したから腰が乗ってない。しかも斬撃が体毛のせいで通ってない。
一方バグベアの方だが、一瞬呆然とした表情を見せると。
「G……Gugagagagaga!」
声高らかに笑い出した。
馬鹿にした笑いではない。心底楽しい、そんな歓喜の笑いだ。まるで格闘マンガとかで強者と戦う時に嬉しくて笑みを浮かべているキャラな様だ。
強い奴と戦うのが嬉しいのだ、とんだ戦闘狂だ。
隙だらけのバグベアだが、今ここで攻撃するのは無粋というモノだ。我ながらロマンチストである。
一頻り笑うとバグベアは。
「Gaaaaaaaaaa!」
雄叫びをあげる。するとどうだ、黒い体毛が金色へと変わっていくではないか。
「て何処の超野菜人ですか!?」
“ワイもそれ思った”
“俺も”
“俺は明鏡止水”
“どっちにしろパワーアップしたのは間違いないな”
“いや待て。バグベアがこんなパワーアップするって聞いたことないぞ”
“多分『ブースト』なんだろうけど……そもそもバグベアはそれ使えん。つまりこのバグベアは上位亜種にして変異種って事だ”
“そんなんいるんかよ!?”
“実際にいるだろ”
けど圧はさっきの比じゃない。バグベアにしてみれば自分は本気にしてくれる相手ということだ。そりゃ戦闘狂のバグベアが嬉しがる訳だ。
しかし……これ勝てるのか?
バグベアの姿が消えた。と思った瞬間には自分の懐の入り込み、高く掲げた右脚からの強烈な踵落とし!
「っ!? ぬおっ!」
ギリギリ対応に間に合った。スコップで踵落としをガード。だがその勢いは止まらず。
受け止めたスコップの柄を抉り真っ二つに断ち切り、そのまま頭に命中。
「ごがっ!」
被っていたヘルメットが割れた。幸いスコップのおかげで威力が落ちたのと、ヘルメットとなんとかして回避しようとしたからか、致命的なダメージは受けてない。というか。
「ヘルメットがなければ即死だった……」
“なに名セリフ吐いてんのよ!”
“生きてるからよかったものの!”
“だが言いたくなる気持ちも解る”
“てかなんだよあのバグベアの動き! 全然目で追えなかったぞ!”
“それを防ぐおっさんも大概”
“あとパンチじゃなくて蹴りなのね。それも踵落とし”
“ピーカーブースタイルに騙された!”
“この海のリハ”
“それ以上はヤメロ”
いやまあ自分もまさか蹴り……踵落としをしてくるとは思わなかった。それよりもスコップが真っ二つにされてしまった。大事をとって全部金属製の物を買ってたのだが、まさか曲げるどころか断ち切るとは思わなかった。そしてヘルメット。見事に頭頂部から前の方がザックリと割れている。いや、割れてるというより削り取られてる。
本当に紙一重だった。
武器を失ってしまった。頭部を守る防具も壊れた。なら素手で……
否。
スコップの剣先はまだ無事だ。まだやれる。
「まだだ、まだ終わらんよ」
“だから名セリフポンポン吐くなや”
“緊張感が台無し”
やかましい。こういう時くらいじゃないと言えないだろ。
しかしまあ、なんだ。コメントを読むぐらいまだ余裕あるのな。自分でもビックリだ。
さておき、スコップはまだ使える。いや本来の使い方としては使えないが、武器としてならまだやれる。
自分は、バグベアから距離を取る為バックステップで壁際まで後退し、腰を屈める。左手で短くなったスコップの剣先がついてる方を握り、両手を地面につき、腰を上げる。短距離走のクラウチングスタートの構えだ。
「On your mark」
“なんだおっさん、いきなり短距離走でも始めるのか”
“あ、バグベアも後退して駆ける準備しとる”
「Set」
“あ、なんとなく解った”
“おっさんここで勝負を決めるつもりか?”
“武器もやられたしな“
“てか頼むから死なんでくれよ”
“初配信で死亡とかシャレにならんよ”
“頼む! 勝ってくれー!”
「Go!」
同時に駆ける。あの時江藤君の救助に向かう時、とんでもないスピードが出てた。なら短距離走の全速力なら!
一瞬で交差する。
お互い反対側の壁まで走りそこで止まり、そして。
ゆっくりと立ち上がり。
「自分の……勝ちです」
バグベアの腹部がゴッソリと抉り取られていた。
正直戦闘描写は苦手です。けどサクッと戦闘を終わらすつもりもないです。
次回は……ざまぁ!(多分)
「世の中には大事なものが3つある。ブクマと、★と……」(5000年程生きた元怪獣使い)




