1話 探索者、中村浩士(42)
なろうに投稿するのいつぶりだろう……
なろうよ、私は帰ってきた!
「こんにちは、スコップおじさんこと中村浩士です」
カメラ付きドローンに向かい一礼。
“来たああああああっ!”
“来ちゃあああああああっ!!”
“こんスコ”
“こんスコーーーーー!”
“(°▽°)o彡゜スコおじ! (°▽°)o彡゜スコおじ!”
“やらないか”
“うほっ、いいスコおじ”
“ツナギ着てるからってくそミソやめーやw“
“てか収益化まだー?”
ログが大量に流れる。
うーん、ライブ配信を始めた頃からは考えられない事だ。最初の頃の同接なんて十人も居なかった。それが今ではチャンネル登録者は1万人を超え、同接も3万近い。
「収益化は申請中なので。登録者がもう少し増えれば恐らくは」
“だそうだぞ。運営仕事しろ。あと観てるやつも登録しろ”
“もうしてるよ”
“早く投げ銭してー!”
“いつかログを赤一色に染めてやるんだ……”
“このおっさん何気におもろいからな”
“確かに。最初のアレなw”
古参勢も相変わらずだ。いや収益化しても投げ銭は程々にしてほしい。貰えるのは嬉しいけど、生活に困る程送るのは勘弁願いたい。
“てかいつものダンジョンと違くね?”
「お、いいとこに気が付きましたね。はい、今日はいつもの洞窟型ダンジョンではなくフィールド型ダンジョン、草原型です。今日はとある実験を試みようと思いまして、このダンジョンに来ました」
“実験とな”
“なるほど”
“ザ・ワールド! 時は止まる”
“DI○様がおる”
“スコップおじさんの実験教室始まるよー”
“で、実験て何すんの?”
「それはですね……と、その前にお客さんですね」
ブブブ……という羽音が近づいてくる。1mはあろう巨大な雀蜂、ジャイアントホーネットだ。
“でっ!”
“でっっっっっっっか”
“ところでジャイアントホーネットを見てくれ。こいつをどう思う?”
“すごく……大きいです”
“だからくそミソやめーやw言いたくなる気持ちはわかるがwwww”
“一体だけか。それならまだマシか”
“いやいや一体でも十分に危ないから。アイツの針に刺されたら痛いじゃ済まないから。下手すりゃ死ぬ”
“それは普通の雀蜂でもあり得るだろ”
“勝ったな。トイレ行ってくる”
“確かにスコおじの敵ではないわな”
“いやアイツの危険度Cだから!”
“それってオーガと同じだろ。よゆーよゆー”
“お、スコおじの動画観るの初めてか。ならよーく見とけよ。参考にならない戦いになるから”
なんか失礼な事言ってるな。
確かに長さ10cmを優に超える針に刺されたら痛いじゃ済まないだろう。刺されたらの話だが。
因みにジャイアントホーネットに限らず、蜂や蟻系の魔物は群れで襲ってくる場合が殆どだ。一体だけなのは確かにマシな部類だろう。それでも初心者では相手にならない程に強い。中級探索者なら一人で倒せなくもないが、群れたらほぼ無理だ。
自分も初見ではあるが、負けるとは思っていない。
スコップを構え、ジャイアントホーネットが自分目掛け高速で飛んでくる。タイミングを見計らいスコップを一閃。胸部と腹部が分断され、ボトリと落ちる。ジャイアントホーネットが黒い霧になって消滅すると親指の爪程の大きさの半透明な石、魔石と大きくてぶっとい針、そしてこれまた大きな雀蜂の羽根が地面に転がっている。
「おお!これは運が良いですね。ドロップ品が出ました」
“ほら、余裕だったろ”
“うん。あと速すぎて参考にならなかった。てかスコップってあんな事出来るんだ”
“確かにスコップは万能武器だけどあーは出来ねーよ”
“てか針と羽根落としたな。針は鏃とか短剣の素材になるんだっけ。羽根は防具の素材だったか。そこそこ高値で売れるな”
当然拾ってバックパックに入れる。魔石は小さいのでボトルに。
収納のスキルがあれば良かったんだがなぁ。仕方ないか。せめてマジックバッグ購入したい。めっちゃ高いから手が出せないけど。
「さて、巨大雀蜂も倒した事ですし、本題の――おや?」
“なんかたくさん来とる!”
“ジャイアントホーネットの群れやん!”
“流石にスコおじでもこの数は……なんとかなるか?”
“いや無理でしょ! スコおじの冒険もここで終わりか”
“スコおじざまぁ。さっさとくたばれ”
“まだアンチいるのかよ”
さてさて囲まれてしまった。数は……20匹くらい。まぁそれでも。
「当たらなければどうという事は無いですね」
“いや囲まれた状態で言う台詞か!?”
“それだけ余裕なんだろ”
“衝撃! スコップおじさんの正体は3倍速い事で有名な赤い人だった!”
“それを言うなら赤い人の正体がすこオジだろ”
“無理無理。あれだけの数の蜂、どうやってかわすんだよ。スコおじチャンネル終了〜”
“解ってねえな、スコおじの強さを。スコおじはあの台詞を言うだけの実力がある。というか底が知れん”
“迷宮「その程度の数で大丈夫か?」”
“蜂「大丈夫だ問題ない」”
視聴者もアンチを除けばこれくらい余裕だと理解しいるようだ。。
事実余裕だ。別に自分を過大評価してるつもりはないが、この程度の数なら問題ない。
「では、実験の前に害虫の駆除ていきますか」
自分は襲ってくるジャイアントホーネットの群れを危なげなく、一匹ずつ対処していく。それを見て沸く視聴者達。
いい歳したおじさんの自分が、どうして探索者――迷宮配信者になったのか、それは凡そ一月前まで遡る――
お久しぶり、または初めまして。作者の紅瀬良です。よろしくお願いします。
この作品は自分のとある作品と同じ世界線の話です。そのとある作品というのは、所謂良い子は読んじゃ駄目なやつなので作品名は伏せておきます。逆にそっちの作品から流れてきた読者さんもいるかもしれませんが……タイトル明かしちゃ駄目ですからね。尚、その作品ですが、名義を変えてるのでなろうからだと先ず見つけられないかと思います。なのでヒントだけ。
「月は出ているか」(ジャ◯ル・ニ◯ト)
……ヒントかこれ。




