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第5話 訪問

あれから3年ほど時間が経った。

それでも前世が思い出せない。

死ぬ寸前ははっきりと思い出せるのに、その前が無くなった、元々なかったかのように。

しかし考えても幼い自分ではしたいことも満足に行動することも出来ない。

なぜなら危険すぎるからだ、この村安全と言っていたがたまにモンスターの襲撃がある、馬車に乗っていた時にもモンスターを見たことはあったが、馬車はかなりたかく作られているためモンスターとの距離はまぁまぁあった...が、あの巨体を真近で見ると...怖い、正直トラウマだ。


「よし、それじゃあ行こうかアイリ」

「うん!!行きましょうサルム♡」

「あまり遅くならないようにね」


ここに来てすぐサルムとアイリは結婚した。

今では俺は2人の子供になった、アイリとサルムとサルムの母であるパフォと一緒に暮らしている、サルムとアイリは1週間に4日ほど家を出ている。

ナニをしてるんだろうとは思っていたけど調べる手段は無いので深くは考えないようにしている。



「クロム〜どこなの〜」

「よっし」

「はぁ...また村長の家ね」


俺はここ最近は家から抜け出し村長の家で本を読んでいる。

この世界について知らないことが多すぎる、だから調べようと思った...が、この村に図書館なぞ無いし、調べることに限界がある。

そこでたどり着いたのは村長の家だ。

色々な本があるおかげでこの世界の事をすこしわかってきた、だたまだ前世の記憶を取り戻す方法はまだ分からない。

それに村長は変人だがいい人だった、最初はコソコソ読んでいたが急にお菓子を持ってきたのには心臓が飛び出た。

それからほぼ毎日通うようになってこの世界の言葉を話せるようになり、質問とかもしてまぁまぁ仲良くなった。


「あ、クロムだ~」

「またソンチョウのうち?わたちもいく!」

「また2人とも行くのか?楽しくないんじゃないんだっけ?」


この2人は元々村にいた子供で俺のひとつ上の双子の娘だ。

姉の方はララ、妹の方はリリと言いまじで似ているので見分けが着くわけなく名前で呼ばないようにしている。

ことある事に着いてきて、よく一緒に村長の家で遊んでいる。

ちなみに本は読めないらしい。




「村長来たよ〜...あれ」


今日もいつもどうり村長宅へ来たのだが。

(誰だ?)

そこには白を基調とした宗教っぽい服を着た少女がいた、歳は10いってるか怪しいところだ。


「あらクロムちゃんごめんなさいだけど今日は帰ってもらっていいかしら」

「いえ、構いませんよ今日は視察をしに来ただけですので」

「でもねぇあなたたち信用出来ないのよ...わかるでしょ?」

「それは...信用してくださいとしか言えません」


なんだろうこの人()()()()()()()()?


「誰だろ」

「キレイなおねえちゃんだね」

「かわいいおねえちゃんだね」

「...どうも」


純粋すぎるララとリリが褒めまくっていてめちゃくちゃ顔が赤くなっていた。


「今日はここで泊まらせて貰います、宿はどこに?」

「ないわよ」

「...はい?」

「そもそも客が来るなんてそれが異常だもの、宿なんてないわ」


たしかにこの村の結界を考えると客なんて来るはずがない、なぜならこの村は許可をしない限り入ること以前に()()()()できないのだから。

まあ詳しくは知らん。


「では、私はどうしたら?」

「う〜んそうねぇ...あ ちょうどいいわ、クロムちゃん家にお世話になったらどうかしら」

「...え?」

「...この子の家にですか?」


唐突な提案に目を丸くしていると。


「こんな小さな子に話してもしょうがないでしょう?直接家主に連絡します」

「あら、この子を舐めているのかしらこの子はとっっっっても賢いわよ♪」

「しかし...」

すると、玄関のドアからノック音がした。

『チュンチョさん帰りました、これどこに置けばいいんですか?』

あ、これパピーだ...いつもよりちょっと早いかな?

「え...この声!?いや、まさかそんな...」

「あら、サルムちゃんちょうどいいわそれはそこら辺において...あら?」

さっきの少女がものすごい勢いで外に出た。

「...っな!?」「パパ!!」


...え?

()()?


「ミロ!?何故ここに!?」

「良かった!!やっぱり生きてた!!」

「あら〜これ...ちょっと理解が追いつかないかしら」

ど...どういうことだ????




その後ララとリリと別れサルムとアイリ、そしてミロと呼ばれている少女と一緒に帰りこの日の夜、俺を寝かしつけた後に隣の部屋の会話を盗み聞いていた。

簡単に説明すると、この人はサルムの前妻であるミラとの子で俺の姉にあたる人物らしい。


「4年振りくらいか、よく俺だってわかったな」

「もちろんです!

だって私はパパのことずっと考えていたんだから!」

「そ、そうか」


正直情報不足で俺自身あまり状況を掴めていないが絶対ファザコンなのは確かだな、さっきの既視感は俺の実母であるミラとかなり似ていたからだと思う。

(4年前...俺が生まれる1年前か)

つまり俺が生まれたとき王国にはいなかったこととなる、どこいってたのかは大体見当がつく。


「《聖教国》はどうだ?」

「とてもいい所ですよ。

王国と違って身分差がない感じがして、皆さんいい人ばっかりなんです」


《聖教国》それは王国と帝国に並ぶ大国、しかし武力の点では共和国に劣り、土地も少ない。

それでも大国と呼ばれる由縁は宗教の大きさにある。

聖教国は全世界で広まっている、それには悪はなく善だけが集まるとされる。

《聖女》のスキルを持っていれば誰でも高位の役につけると聞いた、貧しい者が《聖女》のスキルを持っていることがわかると聖教国の貴族になったことは珍しくないらしい。


(宗教の名前なんだっけ? 確かアリマとかアマリとかだった気がするんだけどな)

「で...なんでここにいるんだ?」

「あ、そうでしたアデヴァーレの教会から報告が入ったんです。

最近魔物が大量発生しているので救援が欲しいと連絡が入って、《聖女》である私に任されたのです!!」

「じゃあなんでアデヴァーレに居ないんだ」

「...」


あ、目逸らした


「迷ったのか」

「い、いえそれは違います!アデヴァーレに着く前にちょっと周辺を見てみようと思って、それで...」

「...で?」

「......迷いました」

「正直でよろしい」


まあ10歳くらいの女の子だもんね、しかし1人で魔物討伐を任されるかね、《聖女》って後衛で治療とかバフとかかけるイメージあるんだけどな。


「とりあえず今日は泊まっていきなさい」

「はい...あの、やっぱり帰ることはできないんですか?」

「ああ無理だ俺が帰れば確実に殺される、言い切れる...今は新しい家庭を持って生活を始めたばっかなんだ。

アイリとクロムのためにも死ぬ訳にはいかん」

「...そう、ですか分かりました一緒に帰ることは諦めます、もちろん王国に報告は一切しません」

「ありがとうミロ」

「...その代わり!!私!たまにここに来ていいですか!?」

「あ、ああもちろん」

「うん!ならよし!...それじゃ私はそろそろ寝ます、どこで寝ればいいですか?」

「ああそれなら」






「クロムと寝てもらえないか」

「あ、はい分かりました」

(ん?なんて?)

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