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第4話 あれからのこと、これからのこと

結論から言うと、俺たちは王都から逃げ切った。

王都の外はめちゃくちゃ危険だった。

角の生えた兎が目に見えない速度で突っ込んでくることとか、群れで火を吐く犬とか、よく分からん化け物どもが蔓延る世界だった。

総勢23名の集団はほとんどが非戦闘員でまともに動けるのはサルムと高齢の執事だけらしい、が。

その2人がさっきの化け物どもと比べ物にならないくらい強い。

そのおかげで順調に旅が進んだ、と思われていた。


「何故入れないんだ!!」

「ですから、他国の貴族は事前に連絡がないと入れることは出来ません!!」


ここは共和国1つアデヴァーレ、あれから2ヶ月の月日が経ち王都から十分離れやっとの思いで着いたが行く手を2人の衛兵に阻まれる。


「我々は貴族では無い!!」

「いやいや、あなたサルム・ムルースだろ、ムルース家っていったら王国で1番の英雄貴族で知らない人の方が少ないと言っても過言じゃないくらいの大貴族だろ」


老兵が言うとサルムはワケを説明する。


「我々は追放されたのだ」

「はぁ?それこそないだろ、王国の主力だし王族との婚約もしてる貴方が追放なんてされる訳ないだろ」

「...」

「それに《斧武王》がいない」

「それは...」

「どうせ《斧武王》は国の防衛を任されているんだろう?国を守る点じゃSランク1人で過剰すぎるくらいだ、どうせあんたは偵察かなんかだろ?俺の長年の勘がそう言ってる!!」


長年の勘あてになんねぇな。


「しかし...」

「サルム様ここは1度下がるのがよろしいかと、どの道我々が追放されたという報告はすぐに知れ渡ります、それまで息を潜め時を待つのがよろしいかと」

「爺...わかったしかしこれからどうしたらいいんだ。追っ手は来てるはず、いつまでもここにいるのは...」

するとさっきのもう1人の女性の衛兵が近ずいてくる

「あの...」

「なにか?」

「隠れ場所を探しているのでしたら、ここから東へ向かったところで小規模な村があるので...そこにはとても優しい村長がいるので、もしかしたら皆さんを受け入れてくれるかもしれません」

「!!...ありがとう、宛にさせてもらうよ」

「な!?」

「それとこれもどうぞこれがないと村には近づくこともできませんから」

「アリア!!貴様何を!!」

「私はこの人たちを信じます」


札のようなものを受け取り、馬車を東へ向け、村へ向かおうとするとさっきの老兵が何か言いたげそうな顔をしてるのが見えた。

そして馬車を動かし東に向かうと確かに村があった。


「ここは...」

「隠れ場所としてこれ以上はない立地ですな」

「爺もそう思うか!...むしろこの村に住まわせてもらうか?」

「ありかなしかと問われますとありです」

「そうか...一応相談してこう」


そこは山に囲われていて見つけずらく隠れ場所にはもってこいの場所だった。

山を下り、道端にいた人に村長宅を聞く。村長の家ですかここから西に行くと見えます、派手な家なのですぐ分かりますよ」

馬車を見た事を無いような好奇的な目で見られながら向かう。


「これは?」


しばらくすると他の家と比べ、かなり派手な装飾品で飾った家だった。


「ふぅ...よし」


ノックをしようとした瞬間ドアが空く


「あ」

「ん?...誰だいあんたたち見ない顔だァね何者だい?」


そこにはめちゃくちゃ厚化粧でとんでもなく背の高いTHE・オカマって感じの人だった。

優しいって言うより危ないってのが正しいと思った。


「し、失礼私たちは王国から逃げてきた元貴族だアデヴァーレの兵からここの村が安全と聞いてやってきたのだか」

「ん~アデヴァーレってことはアリアちゃんかしら、なら全然いいわよ」

「............え?」

「まあそうねぇ確かハルカちゃんの方空いてた気がするわ、えっとぉここからこっち方面よぉ」

「え...あ、待ってくれそんなすぐに信用していいのか?」

「アリアちゃんは特別よあの子にあっているなら邪な考えをしているなら()()は渡されないわ、あの子がそんな簡単に渡すとも考えられないしねぇ」

「なら、我々の移住を認めると?」

「もっちろん♪でも家を建てるなら自分たちで集めてね☆」

「は...はい...」


その後話していた場所へ行き家を建て始めた、村の大工が協力してくれてあっという間に全員分の家が出来上がった。


「やっと一段落か」

「おつかれ様、今日まで働き詰めだもんね」

「ああ...で、何でここにいるんだ」

「えぇと...スペースそう!!スペースが足りなかったの!!だから1番大きく作ったサルムの家にお邪魔させてもらおうかなって」

「...嘘つけそこはきっちり計算して全員分の家を建てれるようにしてる」

「うぐ、」

「それに」

「いいじゃありませんかクロムのお世話もありますし人は多ければ多いほどいいわよ」

「母様!?」「奥様ぁ!!」


ちなみに俺は祖母に抱かれ哺乳瓶でミルクを飲んでいる。

異世界とはいいつつどうやら思っていたより文明は栄えてるように感じる。


「これからどうするの?」

「...正直このままこの村に移住でいいと思う、ここは共和国の中で1番安全だ、はっきり言える」

「そうなの!?」

「ああ見つかりずらい上、この札がある限り侵入者との区別が着く、1番は村長の存在だ」

「あの人がどうかしたの?」

「おそらく俺よりも強い、いやもしかしたら父さん級かもしれない」

「嘘でしょ!?旦那様はS級だよ!?」

「根拠は無いが...そんな気がする」

「...でも、それが本当なら安心だね」

「ああ...移住先として大正解だ」

「そうじゃなくて、クロム君のこと」

「あ、まあそうだな」


なにか意味深な目で俺を見る疑い深いようなそんな目をしている。


「...ああそうだ、この子は俺の子だ、絶対に幸せにしてみせる」

(まるで俺がこの人の子じゃないみたいだな)


生まれてすぐに追放され多くの人に迷惑かけたのにこの人は俺を幸せにしてくれると約束してくれた。

(俺はこの世界で何をしたらいいんだ)

それは前世でも考え..て。

(あ...れ?)

思い出せない。

(俺は)

思い出せない。

(俺...は)

思い出せない。

(俺......は何なんだ?)

思い、出せない。

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