第30話 団結
ウィルシア王国は共和国の隣に属する小国だ、モアラ王国とは逆位置にある国で戦いを好まず、平和な国と聞いている。
「私の本当の名前はシエラ・ウィルシア、ウィルシア王国の第1皇女です」
その第1皇女が目の前にいる。
「それ言っていいのか?」
「いえ、おそらくダメだと思いますわ」
「ダメなのかよ!...ミナは知ってたの?」
「知らない訳には行きませんから」
まあそりゃそうかちゃんとミナは一応教師やってんだな。
「お2人にお願いがあります、クロム様、妖精剣様どうか私の護衛を頼まれてはくれませんか」
「ただいま」
「おかえり、遅かったわね」
「うん、まあ色々あったからな」
「そう」
自室に戻るとシャルが自分のベットの上で本を読んでいた、本のタイトルは『魔大陸』というシンプルなタイトルだった。
「魔大陸に興味があるのか?」
「図書館の人に勧められて見てみただけ。結構面白いわよ、現実離れしすぎて」
「例えば?」
「瞬きの瞬間にお腹をえぐる兎とか、体長が50メドルもある化け物とか、20の即死毒針を同時に飛ばすネズミとか」
「バケモンじゃねぇか」
「こんな化け物いるわけ無いでしょ、もしそうなら人類は絶滅してるわよ」
「そりゃそうか、なんてことはどうでも良くて」
「聞いたのそっちよ」
「ウェルシア王国って知ってる?」
「えぇと、たしかアデヴァーレの隣国よね...あまり印象はないわ」
「おぉん...まあそりゃそうだよな」
「何よそれ」
「大国じゃ、ないんだよな」
「えぇ、それは間違いないわ」
「ハッキリと...」
じゃあなんであんなに狙われたんだとそう思う
それに...
「ちょっと行ってくるわ」
「どこに?」
「1匹狼のとこに」
俺の任務は、あの人の護衛だ、今も寮がよく見える高台で護衛をつづけている、だからあんなやつらとつるむ必要はないと思っていた。
「よっ!バルサ」
何故ここにこいつがいる。
さぁて...さっきの戦いでこっち見てたヤツが近くにいたから近づいてみたけどまさか知ってるやつだとは...
「...多分シリカ繋がりだよな?情報が少ないから色々少ないから教えてもら」
「死ね」
「えぇ!?」
バルサがナイフを投げる、十分見える距離だったため難なく柄を受け止める、さらにバルサはもう一丁のナイフを取り出し切りかかる。
「俺はっ、話に来たんだけど...なっ!!」
「クッ!?」
「動くな、動けば凍らせる」
足でナイフを蹴り飛ばす、そしてバルサに手を向け氷魔術を構える、がバルサは問答無用とばかりにこっちに向かってくる。
「このっバカタレがぁ!!」
もちろん氷魔術を使い、バルサの足を凍らせる...氷魔術便利だな。
「ふぅ、さてやっと話できるかな」
「話すことは無い」
「まじでどうしてやろうかこの野郎...シリカは」
「様をつけろ、無礼者め」
「...今更変える方が違和感あるだろ」
「...」
「とりあえずお前はなにもんなのかを聞きてぇんだよ」
「...お前の想定道理だ」
「なるほどね...」
とりあえず殺意は薄まったのを感じたので氷魔術を解き、話を続ける。
「お前は何を考えてる」
「どういう意味?」
「シエラ様に近づき、何を企む」
「特に何も...今日初めて知ったしなぁ、シリカとはただの友達だと思ってるよ」
「信じられん」
「本音なのに...あ、そうだ、だったらさ頼みがあるんだけど」
「何?」
「ちょっと手伝って貰えない?」
「と、言うことで今日からバルサも一緒に修行することになりました」
「一緒にって...今更?」
「別にいいと思いますよ、よろしくお願いします、バルサさん」
「...はい」
朝、いつもどうりグラウンドに出るが今日はバルサを連れて来てみた。
バルサは魔力量から見ても十分な実力を持ってる、だからEクラスの奴らを一緒に見てもらおうと頼んでみた、それにあんな感じなのに俺より教えるのがうまい、さっきの態度的にシリカはバルサのこと知らないようだし。
バルサに指導を頼んだのは人手が足りないだけじゃない、あれに行く時、今のままじゃ危険な可能性があると考えたからだ、まだ許可は降りてないがあそこに行ければ俺たちにとってかなりの成長になる、俺も含めて。
もちろんバルサには詳しく説明した後納得してくれた。
シリカはまだ魔力暴走はするけど徐々に制御できるように見えた、まだ補助はいるけどこのまま行けば完全に制御ができる、てかシリカは魔術の才能がとんでもない、普通はあんなすぐにできない、他の奴らもそうだ、もしかしたらEクラスは優秀な奴らの宝庫と言っても過言じゃないかもしれない。
「なんだか自信なくすな」
転生者だからってこの世界で最強にはなれないことを痛感した、俺よりも強い人は、沢山いる。
「なに難しい顔してんの?」
「ララ...なんか久しぶりだな」
「うん、たしかに、だってクロム会いに来てくれないんだもん」
「うっ、ごめんて...でなんでここいんの?」
「今日はSクラスもここ使うからね」
「あぁ、そうなんだ、だからあいつらも来てるんだ」
「え?」
そう言うと、建物の影からSクラスの奴らがこちら側をニヤニヤ見ながら出てくる。
「建物の影に隠れてたのによくみんなの場所がわかったね...」
「ララは最近どうなの?」
「実はあんまりクラスに馴染めてないんだ...貴族とか王族とかが多くてさ、平民である私はあんまり歓迎されてなくてさ」
「そう、なんだ...じゃあたまにEクラスに来いよ」
「え?」
「俺たちなら歓迎するよ」
「...そっか」
「あ!お姉ちゃん!!来てたなら言ってくれれば良かったのに!!」
「リリ!...リリ?」
「どうしたの?」
「え、いや、なんでもないよ!」
といいながらララはこっちに近づく。
「ねぇ何かあった?」
「ん?どうした?いつもどうりだろ?」
「リリがなんかキラキラしてるよ」
「キラキラってなんやねん」
「なんやねんってなに?」
ちなみに向こうではEクラスにちょっかい出そうとしたやつがミナに掴まれてた。
「あ〜疲れたぁ!!」
「今日はスパルタが2人もいたからね」
「こっちはやっとまともに魔力が使えるようになったってのに」
「でも、優しさは伝わりますよ」
「バルサ君も今日はありがとうございました」
「いえ、俺は別に」
「バルサさんってすごい強いですよね」
「ね!私びっくりしちゃった!!」
「私もです」
「っ...ありがとうございます」
良かった、バルサもすぐに馴染めそうだ、それに全員力をつけ始めてる、このままいけば魔剣祭も優勝できるかもしれない。
そう思いながら教室に戻るとルッピィ先生がいなかった。
「あれっ先生は?」
「皆さぁん!!」
すると俺たちの後ろから大きい胸を震わせてこちらに走ってきた。
「ちょ!?どうしたんですか!?そんな慌てて」
「これみてください!!」
「ん?...あ!?これって!!」
「はい!!ダンジョンの入場許可通知です!!」




