第2話 追放
「お待ちくださいお義父様!!」
「どけ...そのガキを殺さねば王家の名に傷がつく」
「だからと言って殺すというのは!!」
そう言った言い合いをし続ける中、俺は恐怖しか感じてなかった、確実に殺すという意思が俺の幼い体に突き刺さるように苦しかった、なんなら漏らした恥ずかしい。
そんなことを考えると1人の男が前に出た
「...なんのつもりだ」
「我らが王よここでこの赤子を殺すだけでよろしいのでしょうか?」
「どういうことだ」
「あの赤子を殺したとて状況は変わりません、ですが今まで王家の血を持つ者は必ずユニークスキルを持つと言われています、ならばその原因はサルムに違いありませんここはサルムに罰を与えた方がよろしいかと」
「ああそうだな...いや家ごと罪を被ってもらうとしよう、ムルース家を国外追放とする!!翌日の朝には出ていけ二度とこの国に近寄るな、わかったな」
「は、了解致しました」
「書状は今日中に持っていくそれまで荷造りでもしてろ」
「ああ、わかった...」
そうして俺は父親とともに部屋を出て外に出た。
おそらくだけどあの男は俺たちを庇っていたと思う、根拠は無いがなんとなくそう感じた、やはりと言うべきかここは城だった、王城というやつだろう。
「すまない...こんな不甲斐ない父親で...それでも...君だけは幸せにして見せる!」
(パパ!)
そして俺達は城を後にした。
少し歩くとかなり大きい屋敷に着いた
「おかえりなさいませサルム様!その子が生まれた子ですか!かわいいですね!...あれ?でも連れ出していいんですか?」
「...すまないが父さんと母さんを呼んでもらえるか?」
「?...了解致しました」
そう言い俺を抱きながらソファーへと座った
しばらくすると高齢の男と後ろから淑やかな女性がでてきた。
「帰ったか!!おお、この子が新しい子か!元気な...男か」
そこから空気が変わった、まあさっきまでのような殺気に満ちた空気ではなくどちらかと言ったら子を心配しているような空気だった。
メイドさんが後ろから来た女性と一緒に部屋を出たあと。
「何が起きた」
真剣な声でそう問いかけた。
その後丁寧に話すと。
「...そうか横暴だな、まさかアル坊に助けられるとはなぁ感謝しとけよサルム」
「ええ彼には感謝してもしきれない」
「それと俺たちに申し訳なささも要らん」
「!ですがこれは私の独断で、」
「お前は...子を守ったんだ...命をかけてな誇っていいお前はそれだけの事をしたんだ...な?」
「!...ありがとうございます!!」
「おう!さてと、でてこい!!」
「...アルフレッグ!?」
そこにいたのは先程王の前に出ていた男だった
「サルム...すまない!」
おお!完璧な土下座じゃないか!!やっぱりさっきのは俺たちを庇っていたのだろう
「アルフレッグ!顔を上げてくれ!」
「しかし私のせいでサルムは、ムルース家は!!」
「...見てくれこの子を」
「...」
「君が、守ったんだ」
「っ!!」
するとサルムは俺をアルフレッグと呼ばれている男に渡した。
「君のおかげでこの子は生きているんだ」
「...っふ、かわいいなこの子は」
「...でここに来たのはそれだけじゃないだろう」
「はい、そうです、こちらが正式な書状です」
「...ああ受けとった」
「それでは俺はこれで...サルムありがとう」
「ああまた会おう」
「君もありがとう」
そう俺に向けて言いサルムに返しこう言った。
「それでは」
そう言ってアルフレッグは帰って言った。
(俺は恵まれているな)
そう感じながら時間が過ぎていった。
あれから少し時間が経った、まず始めていたのは使用人を大広間に集めていた。
(モノホンのメイドに執事だ...本当に異世界に来たんだなぁ)
などと考えていたらサルムが声を上げた。
「君たちには今日限りでムルース家の使用人をやめてもらう」
「「!?」」
すると即座に問いかける者は多くいた。
「全員、ですか?」「どういう事ですか!!私たちが何かしましたか!?」「ここをクビにされてしまったら、」「どうか考え直してください!」
など、様々な悲鳴のような声が聞こえる。
「落ち着ついてくれ...まず結論から話そう、ムルース家は国外追放となった」
「「!?」」
するとさっきのメイドが前に出る。
「なぜ!?」
それに続き他の使用人も前に出る。
「王女との婚約はどうなっているのですか!!」
「ムルース家は王国の中でもかなりの力を持っているはずです!!周りでも悪い評判はなく、腐りきった王国の中でも唯一と言ってもいいくらいの善人ではありませんか!!」
「おいアイリ嬢、ホントのこと言っちゃダメだろ」
「旦那様は黙ってください!」
「俺にこんな口聞けるのアイリ嬢だけだぞ」
「とにかく!!どういうことか教えてください!!」
「ミラ様がユニークスキルを持たない子を産んだ」
「「!?」」
「王族であるミラ様が?」「なにかの間違いでは...」
「それの責任を全てサルムが背負った」
「なぜ!...あ、その子...」
そう言い俺の方を見る
「...すまない、だが私はこの子を守りたい」
「...」
「旦那様たちはこれからどうするつもりで?」
「...それは」
「俺は共和国に行こうと思っている」
「帝国ならばムラク様なら歓迎されるのでは?」
「いや最近になって帝国がきな臭くなってきた、どうやら不可解な死因や誘拐事が増えてきた、待遇は確かに帝国がいいかもしれないが共和国の方が安全だ」
周りが納得してる中、高齢の執事の1人がこう言った
「...ついて行ってもよろしいでしょうか」
「...金は出ねぇぞ」
「いりません、あなたに仕えることに意味があります」
「そうか...」
すると
「わ...私も!」「俺も行きます」
など、次々に賛同するもの達が増える、最終的に全員着いてくることになった。
「お前たち...」
「馬車の用意をしましょう」「あ...赤ちゃん馬車大丈夫でしょうか?」「専用の椅子を用意します」「確か外の倉庫にあったはず」「持ってきます!」「あ、確か扉が緩くなってた気が...行っちゃた」
ぎゃぁぁぁ、と声がして一部の使用人が少し笑う。
ムルース家とその使用人全員での引越し作業が始まり、一晩でその作業が終わった。