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第20話 決闘

放課後、リリの同室の子の元に行こうと帰っていると見覚えのある長身のエルフがいた。


「あ、ミナ」

「クロム様、おかえりですか?」

「そうだよ、ミナは調子どう?」

「教師というのはここまで大変だと言うのを実感しております」

「た、大変そうだね」


ミナは見るからに疲弊していたため話しかけてしまったが迷惑だったかな。


「ところでクロム様、最近修行を見ていませんね」

「よし、ミナばいばい」

「あ......逃げられてしまいました」


修行自体は嫌じゃない、ミナのやり方が不満だ、それにちゃんと修行はしてるから安心して欲しい。


「...あれ?追ってこない?」


いつもならここで首根っこ掴まれてるはずなんだが...

まあ忙しそうだったしな、さすがに仕事優先か。


「あれ?ここどこだ?」


逃げてる最中、周りなんて見てなかったせいでここがどこだが分かんなくなっちゃった☆...なんておちゃらけてる場合じゃない、土地勘もないしなぁ。

早く戻ってリリと同室の子の話を聞かなきゃ。


「...ん?」


人の怒鳴り声が聞こえたから隠れてしまったが良く考えれば隠れる必要なかったな。


「クソっ!昨日の傷がまだ痛む!!あの野郎...」


こいつは確か昨日リリ達をを虐めてたやつらだな、まだ恨んでんのかこいつ...てかあの傷はおれじゃねぇぞ絶対ミナだろ。

聞き耳をを立てていると噂の元はだいたい俺とミナの話だった、正直ボロクソ言われて俺の心はボロボロなんだが...


「それにしてもさっきのは最高だったなぁ」

「あの顔めっちゃ最高だったぜ」

「やっぱEクラスを虐めるのは最高ッスね!!」

「生意気にもあそこから離れようとしなかった雑魚にも目をかけるトラヴィスはやっぱ優しいな!」

「トラヴィス先輩最強っス!!」

「それにしても今頃は門前で騒ぎになってんじゃねぇのか?」

「でもどうせ誰も気にしないッスよ」

「たかがEクラスにかける苦労はねぇよ!!」

「...ん?誰かいたか?」






「ねぇあれどうしたの?」

「聞いたところだとSクラスの人がやったんだって」


「あれってEクラスだろ、あんなにはなりたくないね」

「な、せっかく学園に来たのにEクラスになんかなりたくねぇよな」

「入学してから卒業まで虐められてばっかで卒業してもなんも出来ないしな」


「にしてもひでぇもんだな、意識ねぇだろあれ」

「あーあ、血もあんなに出てて、かわいそ」


「.........クソっ」


やられた、俺が校門に行くとそこにはリリのルームメイトの子がいた...ボロボロになった状態で...これが人のやる事かよ。


「舐めやがって」


俺はこの世界で生まれて初めて、止めどない怒りを覚えた。








あの後、俺は学園の休息所にこの子連れて行った前世で言う保健室的なところだ、保健室の先生はいないらしく俺が治癒魔術をかけた、傷は既に完全に治り、あとは自分で起きるのを待つだけだ、それにしても酷い傷だった、顔も腫れて体には痣だらけでとても放ってはおけなかった、回復魔術覚えて良かった。


「ん...」

「あ、起きたか?」

「...あ、貴方は」

「クロム...さん」


やっぱEクラスの中では俺の名前知れ渡ってんのか、なんか恥ずいな。


「体大丈夫か?痛むとことか」

「大、丈夫です...」

「誰にやられた」

「それは...」

「トラヴィスか」

「...」


黙るってことはそうなんだな、疑問が確信に変わった。


「俺の、せいか」

「違います!いつもどうりで」

「これが普通に感じるならおかしいぞ」

「でも...どうしたら...」


とりあえず今日は帰ることにした、既に日は落ちており、空は暗かった。


「本当に痛むとことかないのか?」

「はい、何もなかったみたいな感じです」


ならいいけど...回復魔術優秀すぎない?

学園に泊まることは出来ないらしく、帰らないとダメと言われたので一緒に寮に行くことにした。


「そういえば名前聞いてなかったな」

「あ、確かにそうですね、私はカヤと言います」

「俺は、って知ってるんだよね」

「はい、リリさんがいつも話してくれるので...でも最近は、なんだか元気なさそうで...」


リリについて聞きながら帰り、寮につくと誰かいた。


「カヤ!無事だった...ん、だね...」

「うん、私は無事クロムさんのおかげで傷もないよ」

「そっ、か...」

「リリ」

「......」

「後でまた会おう」


とりあえず今じゃない気がした。


「待って」


そう思ってたんだけどね。


「お願い、助けて...」


そんなこと言われたらもうやるしかなくなっちゃたよ。








「ってことなんだけどさ、なんか案ない?」

「どうして私に聞くのよ」

「え、ダメ?」

「ダメ、ってわけじゃないけど...他にいないの?」


部屋に帰った俺はダメ元ででシャルに聞いてみた、


「ミナは大変そうだし、ララは連絡手段ないし、そもそももう部屋出れないしでもう頼れるのはお前しかいないんだ!!」

「知らないわよそんなの」

「やっぱだめかぁ」

「...一つだけあるわ」

「詳しく」


シャルが提案してくれたのは()()という手段だった、魔術ありスキルあり殺しなしの一体一のタイマン、勝者には敗者にどんな事でもできるっていうやつだ、ただ、決闘には両者の同意が必要で、どちらかが同意しなかった場合には決闘は始まらない。


「決闘するとして、乗ってくるかな」

「乗ってくるわ、だってアイツバカだもの」

「バッ!?」

「しかも貴方トラヴィスに恨み買ってたじゃない」

「見てたのか...」

「見てなくても噂が広まっているのよ、トラヴィスは絶対にその決闘を受ける、貴族と自分のプライド、そしてめちゃくちゃなスキルがあるもの」

「あの、オーラみたいなやつか」

「あのスキル『無双化身(ヒィリアバール)』はとにかくめちゃくちゃなの、あの、オーラみたいなのはちゃんと実態があって、攻撃しながら防御も両立出来る強力なスキルよ」

「...勝てると思うか?」

「さぁ?だって私貴方がどれくらい強いか知らないもの」

「確かに」

「もう眠いから寝るわよ」

「あ、はーい」


翌日、俺はトラヴィスに決闘を申し込んでなかった、だって俺コミュ障だし、虐めっ子苦手だし..

なんて考えてたらもう昼になってしまった、どうしよ。


「あれ、今日は人いるんだな」


昨日と違い食堂には人が沢山いて結構驚いた、厨房を見るとアルマさんがいて、とても忙しそうに...してるのかな?

ものすごい注文の量で忙しいはずなんだけどアルマさんは簡単にこなしていく、しかもめっちゃ早く...何人分の仕事してんだあの人。

よく見ると昨日いなかった人達は少し着飾っているように見えたおそらく貴族だろう、多分あれかな、多数の貴族たちは舌が肥えてるだろうから少しでも美味しい物食べたいんだろうな(ド偏見)


てことはだよ?


「昨日のあの女の顔!!いつ思い出しても傑作だなぁ!!」

「あ、いた」


あっさりと見つかった、ガハガハでかい声で笑っとるわ、てかまだ昨日のことずっと言ってんのか。


「んじゃ失礼して」

「ぶはぁ!?」

「「トラヴィスさ〜ん!?」」

「て、てめぇあの時の!!」

「お前に決闘を申し込む!!」

「「!?」」「決闘?」「決闘だって」「決闘ってあの?」


我慢できなくなってつい殴ってしまったが、周りの人達がざわめき出す。

これはあとから聞いた話だが、決闘はなんと12年振りに申し込まれたらしい。

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