第13話 ちっちゃな壮大過ぎる戦い
「模擬戦ってこと?」
「そうよ、先に一撃当てた方が勝ち」
「「勝った方はなんでも言うこと聞く」」
「お、おうそうか...なんでも?」
「そう」
「なんでも」
「...なんで、こんなことするんだ?」
「「.........」」
「...クロムちゃん、乙女には聞いちゃいけないことだってあるのよ」
「と、言われましても...」
なんでもって...何させるつもりなんだよ、それにララもリリもこんな野蛮人みたいなことは言わないはずだし...いや、割と言うかも。
「クロム、どうかな」
答えを催促される。
冷静に考えれば俺にこの提案を受ける意味は無い
ただ...
「...分かった」
「ホント!?」
「...良かった」
「それじゃあ決まりね、ステージは私が作ってあげるわ」
「作る?」
そう言うと村長は一瞬で詠唱をして結界のようなものを張る。
「これは周りに影響が出ないようにする結界よ」
結界だった。
「それと、付与魔術もかけておいたわ」
「付与魔術?」
「ええどんな攻撃も一撃は耐えられる効果を持つわ」
そんなものもあるんだなと思っていながらララとリリの方を見る、2人とも準備は出来ているらしく覚悟が決まったような目をしていた。
「...それじゃあ、始めるか」
その瞬間2人から高い魔力を感じる、この2人は村長に魔術を教えてもらって半年になる。
大人ほどじゃないが動きはしっかりしている、魔術だって結構上手い。
「『閃光』!!」
「『闇手』!!」
そんな中ララが得意な魔術は光、リリは闇だ。
闇魔術が得意ってことは性格が悪いってことじゃない、光魔術を持つ悪人だっているし闇魔術を持つ正義の味方はいる、ってことを言っておこう。
ちなみに『光輝』は目眩し、閃光弾みたいなもので、
『闇手』は地面を伝って手のようなものを作り、攻撃する魔術だ、術師本人をどうにかしない限り永遠に追ってくる。
はっきり言おう。
子供が使えて言い訳ねぇぇぇだろぉぉ!!
とっさに目を隠しながら右手に魔力を込める。
「『火の矢』!」
「ララ!」
「大丈夫!外した!!」
っと言ってもしっかり見ていないのでやっぱり外した。
リリの手が俺を掴む時、大きく飛び上がり、腰に持っていたナイフを鞘ごと引き抜きリリに向かって走る。
「させないよ!!」
ララはそれを止めるために魔力を込める
それを俺は見逃さなかった。
「そこ!」
「え?キャ!?」
「ララ!!」
さっき引き抜いたナイフをララに向けて投げた、ララは俺がリリを狙っていると思っていたためそのまま頭に直撃した、それに驚きリリは『闇手』を解除した。
「ララちゃんアウト!」
「え!?まって!!」
「ララ...」
「次は、リリだよ」
「負け、ない!『闇弾』」
黒い泥のようなものが俺に目掛けてとんでくる、村長は1人づつ違う授業をしているため俺はこんな魔術を知らない、なんならさっきのやつも聞いただけで見たことは無かった。
だからララも、リリも俺の魔術を知らないはずだ。
「ララちゃん」
「?」
「私から離れちゃダメよ」
「...え?」
「当たって!!」
「...悪いな」
こっちには転生っていう最強のズルがあるんだ。
負けるわけには、いかないんだよ。
「『広範囲氷結魔法』」
その瞬間、結界内のの全てが凍りつき、その後すぐ村長の付与魔術が砕ける。
「...あ」
「勝負あり、ね」
「...ふぅ、」
「...負け、ちゃった...」
あ、やべそういや魔術の影響のこと全く考えてなかったけど...ま、いっか。
サルム視点
アルカさんの娘である双子がにユニークスキルを持っていたと聞いた。
クロムはあの子達と仲がいいことは知っている、だから心配なのだ。
仕事が終わり、家に帰るとアイリと母上がくつろいでいた。
「アイリさん、少しだらしないですよ」
「あ、ごめんなさいお義母様」
最近アイリは体調が悪いらしいので最近は1人で仕事をしている、冒険者の仕事だ。
冒険者は稼げる依頼が多い、しかし常に危険と隣り合わせ出ある事から人気は無い。
ムルース家、もとい私が生まれた家では他の貴族とは違い、実力をつける事を義務としてきた。
そのため私は幼い頃から父様に修行だなんだと言われ力を付けさせられた、おかげでギルドではかなりの力を持つものとされ、ある程度の優遇はされるようになった、父様には感謝すらしている。
アイリは元々幼い頃から私の専属メイドとして働いていた。
そのため私よりは劣るが、他の冒険者と比べると相当な実力である。
私はモアラ王国の中で上位貴族であったそのため自衛手段を持たなけれならなかったそのため少しでも実力を付けることが必要だった、
しかし、クロムは違う。
あの子は王族や貴族のどろどろとした諍いに関わらせたくはない。
「サルムお疲れ様、ご飯出来てるよ」
「ああ、ありがとう」
ミラはあの後、我が家に住んでいる。
私やアイリと違い、戦いとは無縁なため冒険者にはならなかったが、家事については出来る方なのでほとんどの家事を任せている。
クロムにはミラとの関係はなにも言ってはいない、もし伝えてしまった場合どれほどかなりのショックを受けてしまうことは分かる。
ミラが連れてきた子供であるエルトには正直なんとも言えない感情が湧いてくる、...憎しみでは無い、しかしエルトはクロムと間違いなく血が繋がっている、お互いに成長したら良い兄弟になるかもしれない。
そういえば...
「クロムはどうしました?」
「さっきララちゃんが来て連れていったわよ」
「連れていった?」
お別れの挨拶のようなものだろうか、あの子たちもやっぱり寂しいと思っていると思うとクロムはどう思っているのだろうか。
すると外がいきなり明るく光った。
「え、何!?」
「何、が」
その光はすぐに消えたが窓から光の方を見る。
「何...あれ?」
「...分からない何なんだ、あれは」
例えるならば黒い沼だ、森中を囲みかなり不気味に蠢いている。
しかしあの沼は直ぐに消えた。
「あ、あれ?」
「一体何がどうなって_____」
その瞬間少しだけ寒気がした、そして一瞬で森は氷に包まれた。
「これは、氷上位魔術!?」
「何が起きてるの?」
「...あの森で、一体何が?」
「さて、それじゃあなんでこんなことしたか聞かせてもらおうかな?」
「「......」」
模擬戦という名の戦闘が終わったあと、俺は2人に聞いた。
理由は言わずもがな、今回のこの戦闘のことだ、怒らせてしまった記憶はないし、頼み事なら大抵はやってやる、だから今回のことはよく分からない行動を取るララたちに疑問があるのだ。
「...私、は....」
そこで俺は気づいた、ララの目から大粒の涙が溢れ出ていることに。
「ら、ララ?」
「__だ」
「...え?」
「いや、だ」
「...ん?何が?」
「嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「ちょ!?ララ!?」
ララは座り込んで号泣しだした、とりあえずリリになんでララが泣いているのかを聞こうとする。
「リリ!!説明を、ってお前もか!」
「ひっぐ、ふっぐ...」
リリを見ると静かに大粒の涙を目に貯めていた、ララとリリは2人とも泣き出しとても事情を聞けるような雰囲気じゃなかった。
「えっと...村長、説明」
「あら、私から言わなくちゃ行けないかしら?それだと意味ないんじゃないかしら?」
「なんの意味だよ」
「いつかわかるわ」
「...なぁララ、リリ、なんでこんなことしたんだ?」
「うっ、ひっぐ...離れ、たく...ない、」
「...え?」
「ずっと、一緒にいたいよ...」
「それ...って...ねぇ村長、ララとリリはどこ行くの?」
「そうねぇ...学園都市ヴァルキリア、一応言っとくけどそう簡単に行ける距離じゃないわ」
「学園?」
「あら、そこからかしら?」
「ああ、いや学園は知ってる」
驚いたのはこの世界に学園があるのかって事、後は学園都市、って...なんかわくわくする。
違う気になるのはそこじゃない。
「強制じゃないんだろ?行きたくないんだったら行かなければいいだろ?」
「強制じゃないという名の強制よ、そうねぇもし行くのを断ったら殺されるわ」
「え?なんでそんな急に」
「ユニークスキルはそれほど脅威なのよ、国1つ滅ぼせるくらいには、ね」
あぁ、なるほど...学園という名の調教か、ユニークスキルの使い方とかかな
そう、だな...よし。
「大丈夫だよ、ララ、リリ」
「...え?」
「......?」
「俺も行くよ、ヴァルキリア」
「......いい、の?」
「ああ行くよ、まあ行くとしたら来年かな?」
「でも...」
「大丈夫だよ、ほらお前たちにも勝ってんだから、俺もユニークスキルもってるに決まってるだろ」
「そ、っか」
「ああ、絶対行くよ」
悪い2人とも、俺は...
「じゃあ約束!!」
「あ、ああそうだ約束だ」
そう2人に約束し、俺は家に帰った。
「クロム!無事か?」
「え?父様どうしたの?」
家に帰るとサルムがものすごい青ざめた顔で迫ってくる。
「先程あの森で奇妙な現象が起きていたのだ、あれは魔力を帯びていた...明らかに人為的なものだ」
森、奇妙...
「とりあえずクロムもあの森に近ずいては行けない」
なるほど、これからはちゃんと周りを確認してからにしよう。
「ああ、さっきの魔術ですかあれはクロム様の魔術ま違いないですよね」
「..............」
「...」
「...クロム」
「...はい」
「話を、聞かせて貰えるかな?」
「...」
怖いよ父さんその笑顔...
この世界では貴族、王族以外で苗字みたいなものは無いです。
けっっっっっっっっっして考えるのがめんどくさかったって訳じゃないです。




